「悪くはないが」キングダム 大将軍の帰還 桜春さんの映画レビュー(感想・評価)
悪くはないが
原作未読。これまでの3本の映画は全て映画館で複数回鑑賞。それなりに評価していたのだが、今回はあまり楽しめなかった。
理由を考えたのだが、1つは似たようなアクションシーンが続いて個人的に少し飽きてきた気がする。前作3本の映画を何回も見た事も影響しているのかもしれない。実はるろ剣も同じ感じだった。熱量は凄いのだが、同じような熱量のアクションが続けば却ってまたかの感情が湧いてくるようなのだ。緩急が必要な気がする。それで言えば第1作は坂口拓の電光石火の殺陣やはしもとじゅんの吹き矢刺客やアクションシーンもバラエティに富んでいて良かった。今作は戦場シーンが多いのだから個別の特色ある戦闘シーンにならないのは仕方ないのかもしれないが。
もう1つは今作の肝である王騎将軍の戦死シーンが冗長過ぎてさほど悲しくならず不完全燃焼で終わった事だ。三浦貴大演じる信の幼馴染みの死の方が泣けた。原作者が脚本に名を連ねていたので原作通りかもしれないが、流石に死に際の王騎将軍が元気よく長話をし過ぎだ。まだ喋るの?と数回思った。
とは言え嬴政の最後の台詞「大将軍の帰還だ」は胸アツだった。李牧が将が死ぬ事で軍が意気消沈する事もあれば士気高揚する事もあり、王騎将軍は後者だから深追いはしないと言っていたが、最近テレビアニメで見た鬼滅の刃柱稽古編最終回のお館様はそれを利用した作戦だったなと戦術の普遍性を感じた。いや、鬼滅が古今の戦術から倣ったのだろうが。
全体的に退屈した訳でもなくつまらないとは思わなかったのだが、事前に王騎将軍の見せ場がたっぷりあり感動巨編になっているに違いないとハードルを上げたのも良くなかったのかもしれない。多分キングダムシリーズで初めて2度は見に行かないだろう。