「継承された想いの重み」キングダム 大将軍の帰還 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
継承された想いの重み
"キングダム(実写版)" シリーズ第4作。
TC PREMIUM THEATER(ドルビーアトモス)で鑑賞。
原作マンガは未読。
間違い無くシリーズ最高傑作と云うことだけでなく、「日本映画史上最大の決戦」と言っても決して過言では無い、圧巻のスケールで描かれる戦いの迫力がとてつもなかった。
最終章に相応しい壮絶な戦いがシネスコ画面にダイナミックに展開する。まるで戦場に放り込まれたような臨場感だ。
スラダンの山王戦の感じである。一緒に観た友人曰く、原作ではこの先これ以上の戦いが描かれるらしいが信じられない。
とにかく、ずーっと戦のシーンが続く。しかしドラマは端折らない。そんな絶妙な塩梅の脚本の手堅さは、数々の名作を手掛けて来た黒岩氏と原作者・原氏の共同作業の賜物だろう。
始めから終わりまでクライマックス状態を維持して息つく暇無し。シリーズ最大級のアクションとエモが怒涛の如く繰り出されるのが最高で、筆舌に尽くし難い興奮と感動に包まれた。
今まで鉾を一閃するに留まっていた王騎の本格的なアクション・シーンがついに解禁。5年間、この時を待っていた!
王騎とホウ煖の一騎打ちは、日本映画史に残るスピーディー且つ超重量級のアクションで構築されていて手に汗握る。
心を捨てた武神と想いを強さに変えた大将軍の戦い、とにかくアツくとにかく尊いのだ。こんな戦い見たこと無い!
本作の主役は間違い無く王騎であった。否、これまでも実はそうだったと言えそうである。天下の大将軍としての凄まじい威厳を体現する大沢たかおの演技の集大成を見た。
大勢の敵が迫る中、疲弊する兵士たちに、自らも満身創痍にも関わらず力強い声音で、「あなたたちの後ろにはこの王騎がついてますよ!」と檄を飛ばすシーンは、スクリーンを飛び越え、私に向かって檄を飛ばしているように錯覚して、全身が奮い立ち、胸がアツくなって泣いてしまった。
大沢たかおの渾身の演技があったからこそ、王騎の名ゼリフや将としての器の大きさが伺える行動の乱れ打ちにカタルシスが生まれ、心がこんなにも震えたのだと思う。
信と王騎の関係の終着点にも涙腺崩壊。天下の大将軍とは何かと云う教えと、たくさんの想いと共に王騎から託された鉾を携え、ようやく物語の主役となった信の今後が気になる。
1作目から、シリーズの牽引役として絶大なる存在感を示していた王騎の死によって、確かに物語は一区切りがついた。しかしまだまだこれからだ。このまま終わって欲しくない。
本作の大ヒットによるさらなる続編に期待したい。
[余談]
サブタイトルが回収されるラスト・シーンも最高だった。
最後の最後まで泣かせようとするのがめっちゃニクい。