侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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【デラックス版】だったから途中ダルかったのかな?
【気になったところ】
・冒頭シーンの口パクとセリフの音ズレ
・冒頭シーン迫力出したいのわかるけどBGMがデカすぎて絵面より主張強い
・初めてテレビを見た時の感想「絵が動いておる!」より「小さな箱の中に人が!」の方が自然だったのでは。アニメ見たんじゃないんだから…
・台本の改訂稿があまりに説明的すぎ。テレビや書物から高坂が史実を知る方がまだ無理がなかった
・優子の妄想シーン(フェンシングやら西部劇やら)は長くて中弛みした。高坂が想像もできない話にあんな尺要らん
・コメディシーンはシリアスで淡々としてる方が笑えたのにオーバーリアクションや古臭いSEで萎えた
・無音シーン長すぎ。あの長さ無音にしたいならスローパンくらいして。緊張感続かず飽きる
・同時期にタイムスリップしたのに転移時間に年単位の大幅なズレがあることへの説明なし
【好きだったところ】
・登場人物全員善人
・白米の握り飯に感動している高坂
・テレビで時代劇を見て大興奮している高坂
・現代では庶民も美味しい菓子を食べられると知り豊かな国になったことを喜ぶ高坂
・師匠との稽古で斬られなければならないのに斬ってしまった時の、怒鳴るわけではない師匠の「アホ」
・殺陣の動き全体的にとても良かった。時代劇ファンも納得のレベルの高さ
・芝居だとわかっているのに死ぬ間際に走馬灯が流れるところ。走馬灯で高坂の人生がよりわかった
・終わりを迎えそうな時代劇というジャンルと、終わってしまった時代の侍の悲哀の重なり
・突然知らない時代で生きることになっても自分のできることで生計を立てたいと前向きに頑張る高坂の実直な人柄
・高坂が現代のものを受け入れる早さや髷をあっさり切る順能力の高さ。話の展開早くて助かる
・真剣勝負のあと優子が駆け寄ってキスしなくて本当に良かった。ハリウッド映画ならしてた
・最後の高坂のセリフの言い方が可愛くて良い締めだった
全体的に作品を作っているスタッフの情熱や愛が余すところなく反映されていて良かった。ところどころ粗さやテンポの悪さで観客の集中を途切れさせてしまうので、技量をブラッシュアップしていってほしい。自分は笑いより感動して泣いた場面の方が多かった。本作はカメ止めほど人気は出ないだろうけど、次回作に期待。山口馬木也さんの今後の活躍にも期待大。
祝!メジャー系全国公開決定! 真面目に笑えて泣ける傑作、こういうのをもっと観たい
侍が現代にタイムスリップ、斬られ役で俳優デビュー。
正統派SFコメディーだけじゃない。
時代ギャップネタできちんと笑わせながら、無骨な武士の淡い恋心、斬られ役修行などを真面目に描いているのがいい。
地味なヒロインも好演。
滅んでしまった侍と、すたれていく時代劇を重ね合わせているのもうまい。
また、中盤で、敵役もまたタイムスリップしていて、それも主人公が飛ばされた時代よりも古く、時代劇の黄金期の大スターとなって再会する展開が面白い。
そして、幕府の滅亡の現実に打ちひしがれ、苦しみながらも生きていくことを決意。
クライマックスは、真剣勝負の見事な殺陣で魅せてくれる。
オチも決まって、最近貴重な、気持ち良く観れる映画でした。
ラスト時代劇
予告を見て、超低予算のB級 映画ということで、ほぼ期待ゼロで見に行ったのですが、予想外に面白かったです。
侍の世が終わりつつある幕末から現代へタイムスリップしてきた侍が、時代劇が衰退しつつある現代において、「最後の侍」という、おそらく大型時代劇映画としては最後になるであろう映画に出演するという、劇中劇のシナリオになっています。
全体的に「最後に残されたものの責任」と言うようなテーマで、
主人公は、現代に残された最後の侍として、時代劇という形でも、かつて生きた侍の魂を現代に残したいという志で映画に出ています。
この映画自体も、監督の「時代劇斜陽の現代において、残された時代劇監督として、『時代劇映画を作るという映画』という形でも、時代劇があったということを残したい」という情熱のようなものをヒシヒシと感じました。
そのような斜陽の中で叫ぶ主人公のセリフ「今日がその日ではない」は、まさに監督の心の叫びでしょう。
映画自体の評価としては、特に目新しい設定でもありませんし、低予算で取られているためか驚くような映像や音楽があるわけでもありません。
ただ、時代劇映画が積み上げてきたものというか、笑いあり涙ありの『お約束』の集大成のような映画で、水戸黄門の印籠のように安心して見ていられる映画でした。
最近めっきり見なくなった時代劇をまた見たくなるような、時代劇が好きだった人に見てもらいたい映画です。
ただ、そういう意味では、時代劇を見たことのない若い人にはサッパリウケない映画かもしれませんね。
あと、最低限の幕末の歴史を知らないと意味不明だと思うので、海外でもウケなそうです。
面白いけどツッコミどころあり
面白かったけれど、コメディではない意味でのツッコミどころが無かったわけではない。
主に気になったのは次の2つ
1つ目は、街のポスターを読み、江戸幕府が倒れて140年経ったことを知るシーン。
「140」のアラビア数字をなんで読めるんだと。まだ普及して無いだろと。
漢数字で書いてあったならよかったのに。
そんなこといったら、そもそも言葉自体が難無く通じてるのはおかしいだろという意見もあるだろうが、そこは気にならない。
なぜなら、冒頭の江戸時代のシーンで既に現代語でも通じる言葉で話をしていたからだ。
もし、言葉が通じないことを表現したかったら、難解なしゃべり方にして字幕もつけただろう。そうしなかったのは、昔でも今でも言葉が通じますよという暗黙の説明だ。
また、言葉が通じるかどうかは話の本筋ではなく、映画のテンポも悪くなるので、そこは許容できる。
時代は異なっても同じ日本語を話しているということもあるし、フィクションでは文化の違う者同士の言葉が難無く通じるのはよくあることでもあり、違和感はない。
しかしながら、アラビア数字は日本の数字ではなく、明治以降に普及した外来の数字であるので、江戸時代の侍がすんなり読めてしまうことには引っ掛かりを禁じ得ない。
2つ目は、主人公が雷雲に向けて刀を振り上げ、過去に戻せと叫ぶシーン。
なぜに君はタイムスリップしたきっかけが雷だと知っている?
雷に打たれてタイムスリップして現代で目を覚ましたことは事実だ。
だが、雷に打たれたことを彼は知り得たのか?
体に衝撃が走ったことは認識できたかもしれないが、突然のことでそれが雷のせいだとは気づけないはずだ。それなのに彼は雷に打たれたことで現代にタイムスリップしたと知っている。不思議だ。
もし、タイムスリップしたきっかけを知っているとするなら、たとえば対決相手が先に雷に打たれて消えてしまうことを目撃するといった、推測が成り立つシーンが無ければおかしい。
ただ、そのシーンを入れるのは困難だ。
なぜなら、それを見せてしまうと対決相手もタイムスリップしたことがバレてしまうから。
せいぜい、タイムスリップした時はこの場所でこんな雷雨のときだったなと嘆き喚くくらいだろう。
ほかにも、中盤がだれ気味で、最後の決闘の溜めは長すぎると感じた。
諸手を上げて賞賛できる内容では無いが、大筋では面白くおかしかったし、殺陣のシーンは迫力があって映画館の大画面で観れてよかったと思う。
「真剣」勝負の危うさ
幕末から現代の太秦にタイムスリップしてきた侍が時代のギャップに戸惑いながらも「斬られ役」として大成していくさまを描くコメディドラマ。
物語がサクサクと進んでいくテンポ感は見事なもので、2時間超の尺を感じさせない。にもかかわらず、いわゆる「使い捨て」の登場人物がいないことも非常に評価できる。それぞれの抱く意志とその顛末がほとんど余すことなく描写されている。
最大の見せ場はやはり終盤の剣戟シーンだが、面白いのは二人の剣の「構え」がちゃんと時代劇の文法に馴致されているところだ。高坂は「斬られ役」の師匠である関本に言われた通り、剣を後方ではなく上方に構えている。風見も同様だ。
歴史的怨恨を巡る文字通りの「真剣」勝負においても、彼らは無意識のうちに「侍」ではなく「役者」としての自分を選択してしまっていたというわけだ。となればその後の決着のつけ方についても納得がいく。
こういう細かい点を疎かにしなかったがゆえに本作はこれほどまでのリアリティを獲得できているといえるだろう。
時代劇の黄昏とも呼べるこの時代、敢えて時代劇を撮る意義とは何か?という劇中の命題を他ならぬ本作自身が証し立てているといえる。それくらいパワーのある作品だった。
とはいえ手放しに全てを肯定できるかというと、それも難しい。
気になったのはやはり終盤の「真剣」勝負のくだりだ。高坂と風見が演技に真剣を用いたいと申し出たのに対して、「誓約書があるから」という理由で監督もプロデューサーもそれを是認してしまう。唯一反対していたのは助監督の山本だけだった。しかし撮影が終わるまで、誰一人として彼女の声に耳を傾けようとしなかった。
もちろんここでの真剣の使用が単なるリアリティの強化を目指したものではなく、歴史的背景を踏まえた上でのある種の「落とし前」であることは自明だ。しかしその自明さは我々受け手にしか感知できないものである。
つまりあの現場の人々は単純にリアリティを強めるためだけに「真剣の使用」という危険極まりない手法に及んでいる。あまつさえ反対意見にも耳を貸さず、実際に決行させてしまっている。筆者自身がいわゆる「Z世代」だからなのかもしれないけれど、これはちょっとヤバいんじゃないか。
たかが映画の中の描写なんだからガタガタ抜かすな、と言われればそれまでなのかもしれないが、「映画を撮る映画」という、通常のフィクション以上に現実とフィクションの間を隔てる壁が曖昧なジャンルの作品だからこそ、こういう描写にはもう少しセンシティブに臨んでほしかった。
それこそ、勝負が始まる前に何かパンチライン的な一言を山本に紡ぎ出させれば、真剣を使用しないような決着のつけ方も可能な局面だったのではないかと思う。これだけ見事な脚本力があればそのくらい余裕だろう。
ウダウダと苦言を呈してしまったが、概して非常に完成度の高い作品だった。このたびシネマロサでの単館上映から一挙に全国へと大波及するとのニュースが入ってきたが、何も不思議はない。このまま『カメラを止めるな!』的なインディーズ旋風を巻き起こしていってほしい。
今日がその日ではない
知ってる役者は出てないし、内容はお約束の範疇でしかない。
しかし、その積み方でこれだけ面白く、強度のある作品に仕上がるとは。
序盤から先の読めるベタベタのコメディ展開なのだが、不思議と笑える。
表情や台詞回しに動作、カメラワークにBGMやSE、その他すべてが噛み合っており、安心感すら覚えた。
かと思えば、横文字だけでなく伝わり難そうな単語には高坂がしっかり眉を顰める細かさも。
同じ殺陣を繰り返しても、しっかり芝居の重さが変わっているのが伝わるのも見事。
実戦と芝居の違いにもしっかり言及してくれる。
また、物語としてだけでなく、制作陣の時代劇愛もしっかりと刻まれている。
物語の最後には高坂が、侍としての想いに加えて役者や時代劇への想いを昇華する流れも素晴らしい。
その熱さのある展開へ、コミカルな流れを壊さず繋げた手腕にも唸らされた。
最後の殺陣、いや“斬り合い”の熱量は、本当に真剣を使っているかのよう。
細かなツッコミどころはいくつもあるが、どうでもいい。
単純なのに奥深く、笑えるのに沁みる。
登場人物はみな善人で悉く愛着が湧くが、やはり高坂のカッコよさと可愛さのバランスが絶妙。
優子や住職夫婦、風見などとの関係性も素敵。
こんなに拍手を贈りたくなる作品も久しぶりだし、だから映画はやめられない。
やっぱり時代劇が好きだった
カメ止め以来の評価激高インディーズ映画。
時代劇+タイムトラベルなんて、戦国自衛隊とか信長協奏曲とか現代人が過去に行っちゃう系が多い印象だけど、今回は逆で幕末の会津藩士(ここがまた良い!)が現代の京都撮影所に、なんて絶妙!
脚本・キャスティング最高でした。
特に主演の山口馬木也さんの会津藩士然とした「凛」とした佇まい、朴訥とした話し方、役者さんとして滅茶苦茶好きになりました!!!(正座の時の姿勢の良さよ)
突然現代に来たお侍さんとしては割と早く馴染んでる感はいなめないけれど、そんな事よりも展開が面白くて最後まで笑って泣いて、手に汗握って、感動した!
私も子供の頃におばあちゃんと一緒に暴れん坊将軍見てワクワクしてたなと思いだしたり。
斜陽と言われて久しい時代劇ですが、作中にもあるようにどうか続いて欲しい。
パンフレットは制作中だったので、完成したらまた観に行きます!
安田監督の貯金が復活しますように!!
秀作
タイトル通りの内容で、だいたい予想したような展開になる。
それでも上映終了後には拍手喝采が起こる。
ワザワザ単館に観に来た甲斐があったなぁ、と満足できる。
最近では珍しいくらい起承転結がシッカリしている。
基本に則った起承転結のある作品は安心して観れる。
役者の演技が光る。
特に主演の山口馬木也さんが渋く光る。
いぶし銀と辞書で引いたら「山口馬木也の演技」と書いていても良いレベル。
大迫力とか、大興奮と云った映画ではないので、その辺りは注意。
悪く言えば、極上の二時間ドラマで、映画館で観る必要あるの?と聞かれたら上手く返しにくいかも。
ただ、映画の醍醐味である大勢と一緒に観ることで生まれる共感による幸福感をここまで味わえる作品は非常に稀有である。
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