侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
全757件中、701~720件目を表示
シンプルで分かりやすいストーリー
幕末。会津藩の主人公が家老の命令で長州藩をうつよう言われる。戦っている時に雷が!?気付いたら現代の時代劇撮影の場所に?!
コメディ要素もありで日本のことを思う主人公の心情も良い。殺陣も良く見応えがあり。
山口馬木也と冨家マサノリの演技力の高さ!
評判のよさを耳にして、事前情報を一切入れずに鑑賞したが、めちゃくちゃ面白かった。
主演の山口馬木也、敵役の冨家マサノリの両名が、まず素晴らしい。失礼ながら、撮影所長役の井上肇などと比べて、様々な映画やドラマでよくお見かけするというタイプのお二人ではないが、この脚本に不可欠な演技力の確かさが、今作の質の高さを決定付けていた。これだけの演技をされる方々が、自分が知らないだけで、まだまだたくさんいらっしゃるんだというのが驚きだったし、それだけ演技の世界というのは層が厚いのだということを思い知らされた。
それにしても、監督他何役もこなして今作を自主制作した安田淳一に敬意を表したい。彼の熱意が、東映の撮影所などを動かしたとのこと。これを「予算の都合で」という理由からチープなセットや衣装などでまかなっていたとしたら、目も当てられない作品になっていただろう。エンタメに振り切りながらも、個の信念や国のあり方や時代の趨勢など、観客にハッとさせたり考えさせたりする仕掛けを織り込んだ、骨太なテーマを根底に置いていることが、参集したスタッフの皆を惹きつけ、結果としてこの作品をここまでに押し上げたのだと思う。映画に登場する助監督は、ある意味自己投影か。彼女の純粋さやひたむきさも、今作をより清々しいものにしている。
とにかく、気持ちよく笑えて、じーんとして、元気をもらえる映画だった。
自分が観た時は、地方の劇場で朝一だったためもあってか、観客が4名しかいなかったが、多くの人におすすめしたい作品。
温かみのあるコメディ時代劇映画
映画愛に溢れた時代劇へのラブレター
山口馬木也が、役にピタリとハマっている。
バイプレイヤーとして、その顔と名前は認知していたが、チョンマゲ姿の時はもちろん、ザンギリ頭になっても「会津の侍」にしか見えないところなどは、まさに役になり切ったような名演で、これほど良い俳優だとは思わなかった。
その他の出演者も、どこかで見たことのあるような、ないような役者ばかりだったが、誰もが皆、「良い味」を出している。
確かに、映画としての拙さや物足りなさを感じるところが無い訳ではない。
例えば、主人公が現代にタイムスリップして、時代劇の撮影現場に居合わせるくだりとか、撮影現場でスタッフが斬られ役のエキストラを探していて、主人公を見い出す場面では、もう少し上手い見せ方ができたのではないかと思うし、イチゴのショートケーキだけでなく、もっとカルチャーギャップのドタバタがあってもよかったのではないかとも思う。
だが、この映画から感じ取ることができる映画作りに対する熱い思いや、廃れゆく時代劇に対する惜別の念は、そうした拙さを補って余りあるほど強く胸に突き刺さってくる。
物語としても、冒頭で一緒に雷に打たれた侍はどうなったのだろうと思っていると、ちゃんと「なるほどね」という展開になるし、彼の出現によって、幕末の幕府側の侍たちと、時代劇を作る映画人たちの「失われゆくものへの想い」がシンクロしていく作り方も、よく出来ていると思う。
特に、ラストの、正真正銘の「真剣勝負」は、2人の武士の決着の付け方として説得力があるし、「はたして、どのような結末になるのだろう?」という、手に汗握るような緊迫感が味わえて、非常に見応えがあった。
それと同時に、「カメラを止めるな!」みたいな雰囲気になったり、「トップガン マーヴェリック」と同じ台詞が出てきたりと、他の作品へのオマージュみたいなものも感じられて、思わずニヤリとしてしまった。
二段構えの結末には、「やはり、そうなるよね」と納得できるし、エンディングで映し出されるオマケ映像も心憎く、とても軽い足取りで劇場を後にすることができた。
それは「今日」ではない
侍の心に感動しつつ、制作者の時代劇への熱い思いにも感動
時代劇に一言
面白いし考えさせられた 役者も良いわ
いろいろと解釈がおかしいので…。
今年326本目(合計1,418本目/今月(2024年9月度)12本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
この作品はもともとミニシアター数館でのみ放映されていたものが口コミなどで話題を呼んで大手シアターで流されたという経緯があるので、元はインディーズ映画であるという点はある程度は理解しますし、そのような発展を遂げたものに、ベイビーわるきゅーれ等があることもご存じと思います。
ストーリーとしてはかなりわかりやすいほうで、日本に適法に在住する外国人の方々にも江戸時代や時代劇といった観点でもおすすめはできます(一部気になる点は後述)。
ところどころフィルムのつなぎが変なのかな?というのは思いましたが、そこはインディーズ映画である点までも考えてあまり考慮はしていません。ただ、個々気になる点はいくつかあります。ここをどうとるかに大半尽きるのではないかな、と思います。
採点に関しては以下のようにしています。
--------------------------------------------------------------------
(減点0.5/病院に運ばれる部分の根拠)
もっともタイムスリップものでこの話をするのかという問題はありますが、業務内なら労災、業務外であれば健康保険でかかるのが原則であるところ、当然タイムスリップものなので法律を適切にあてはめることは不可能です。ただ、日本に旅行に来られた方が適切に手続きをする「前に」何らか怪我などをしても、とりあえず救急車は来ますし病院にも入院できるので、その制度が類推されているものと思います。
(減点0.5/銃刀法に関して)
二つの論点がありますので分けてかきます。
・ 真剣(←模造刀に対義する語)を用いることを複数人が同意しても不法な行為であり、無効にしかならず(民法132条)、絶対的無効なので追認によっても新たな行為となることもありません(119条、90条)
・ それでも真剣を用いたい場合、このように時代劇のような撮影の場合、一定の許可のもとには可能ですが、これには当然手続きが必要です。以下に該当するからです。
-----
演劇、舞踊その他の芸能の公演で銃砲又は刀剣類を所持することがやむを得ないと認められるものの用途に供するため、銃砲又は刀剣類を所持しようとする者
-----
ただ、この許可を取るには自身で行うのでない限り、行政書士の独占業務です(弁護士はオールマイティなので可能)。この点が完全に抜けているのはどうなのか…と思いました。
※ ただ、映画を最後まで見ると「英語版字幕だれそれ~」と描かれるところ、この映画は隣国である韓国、中国、台湾は別にして、アメリカやイギリス、フランスほか、日本の文化になじみが少ない国での放映も想定できるところ、日本のように弁護士以外に司法書士や行政書士、社労士…といった資格に分かれている国は少なく(日本と韓国、台湾くらい)、それでも外国から見た日本で行政書士は immigration lawyer (移民法律家/弁護士) とくらいにしか呼ばれず(海外から見ると、ほぼ「在住許可などを扱う専門家」という扱い)、なぜその資格の人が「刀剣類の許可申請の代行をするのか」が理解しがたいのは確かであり、これはまぁ仕方がない部分はあります。
--------------------------------------------------------------------
(減点なし/参考/外国人などへの配慮について)
海外進出を考えていることは字幕からもわかりますが、「土佐」「長州」「会津」などはタイムスリップものでもありますし、「現在の」どこであるか程度は示すかセリフ内に入れておいても良かったかもしれません(こういう細かいところからでも観光客は来ますからね)。
研ぎ澄まされた脚本と映像の素晴らしさ
自主制作映画でこれだけ魅せるってすごいし素直に楽しめる作品
個人的時代劇愛を差し引いてもすごく楽しめる作品だと思った。タイムスリップもののベタな展開だけでもなく、人の優しさ、コミカルな場面、恋心もあったりで、いろんな側面が丁寧に描かれているし、ラストまで展開から目が離せない脚本も魅力的。自主制作映画ということで、見慣れない俳優さんがたくさん出られているけど、自然体ではまっていて逆に新鮮味を感じてそこも効果的だった気がする。
個人的にはケーキのシーンでグッときて、ちょっと泣けた。良き時代に生きていることを高坂新左衛門に教えられた気がする。
会津の高坂新左衛門がどこか壬生義士伝の吉村貫一郎味があって、朴訥で素直。さすが山口馬木也さんは時代劇慣れしておられて安心感がすごい。会津なまりも良くて殺陣も見応えあり。
時代劇、鬼平犯科帳の舞台挨拶で柄本明さんもおっしゃってらしたけど本当に日本の宝だと思ってるので、これからもどんどんいい作品を観たい!
なぜか、沁みる
なんだこれ・・・
起承転結の転がおもしろすぎる
画作りについて は、
緻密なレイヤー分けをしているのかのように、
時代と現代がフレーム内で鮮やかに対比されている。
例えば、伝統的な建物のフレームの中に、
ピンクや緑の公衆電話が置かれたり、
時代劇の街並みで殺陣師のジーパンが唯一の現代の物、
かと思えば、
現代の家の食卓ではちょんまげが唯一の時代の物、
両側に建物、建具を配置するのは小津安二郎のフレーミングのようでもある。
手前に格子、
全体にグリッド線の意識、
パースの構成、
この一見すると不釣り合い、
あるいは一定の法則に基づいた組み合わせが、
観客の視点を誘導し、
登場人物のセリフに気持ちにシンクロしていき、
なおかつ、タイムスリップという、
物語の世界観を豊かにしている。
加えて、
主人公が自身の姿勢や襟を正したりする姿や、
些細な動作が、
異質な世界の中で懸命に生きようとする彼の心の揺れ動きを静かに表現しており、
観る者の心をじわじわと掴んでいく。
音楽も手でたたくボンゴやジャンベのような、南米やアフリカのような、
遥か地球の裏側の雰囲気と、
太鼓を太いばちで叩くような純和風の雰囲気とか、
細かくシークエンスによって使い分けられていた。
精密に計算された制作作業である。
精密で膨大なアイデアを具現化するためには、
キャストやスタッフとの綿密な打ち合わせと、
リハーサルと準備と試行錯誤が不可欠だ。
その綿密な全カットは、1枚1枚が丁寧に作り込まれており、
その凄さを全カット説明したい気にさせるが、
百聞は一見にしかず、ぜひ劇場で。
余計なお世話だが、
海外向けの英題は、すでに決定しているのだろうか。
ちなみに「蒲田行進曲」の英題が「フォールガイ」だったように、
「ラストサムライ」とか、
「サムライダンディー」
画作りと異世界に飛ばされるので「OZ」とか・・・
色々と勝手に考えたくなる作品だ。
じんわり染みる良さ
常に笑い。最後のオチも良し
必見!リスペクト溢れる傑作!
幕末の会津藩士が決闘中に雷に打たれ(?)現代にタイムスリップし、行き着いた先が時代劇の撮影所で、チャンバラの切られ役として奮闘する話。
大変失礼な話ですけど、何度か上記のベタな設定を敢えて晒した予告編を拝見したり、聞いたこともない制作会社のテロップを映画冒頭で流された段階では、自主制作のいわゆるB級映画なのかな・・・と、不安が先に頭をよぎる感じでした。
しかし、鑑賞直後、数年ぶりに周囲の観客につられてではありますが、思わず拍手してしまった次第!
特に役者さんの熱量、気迫がすごかったです!
時代劇、そしてその殺陣(チャンバラ)、斬られ役、幕末の名もなき志士達へのリスペクトで裏打ちされたストレートで濁りのない脚本、演出は感涙ものでした。
基本コメディタッチなのでここだけはB級のノリ(笑)なのですが途中から上記の理由で引き込まれ、胸が熱くなり、時に主人公にシンクロし悲痛さえ味わい、最後はハラハラドキドキの連続、手に汗握ってました。
あと、エンドロールの制作陣で、一人で何役もこなした方が居て本当にご苦労と申し上げたいです。映画で助監督だった優子ちゃんも本当に助監督で俳優もされてたんですね。大和撫子っぷりが本当に素敵でした!
これは間違いなく日本映画の傑作であると断言します。監督や役者の名前だけ、制作規模の大きさだけの凡作に埋もれたりせず、どんどん上映館を増やしていただいて沢山の映画ファンにご鑑賞いただきたいです。
では。
使い古されたアイディアながら
幕末の侍が現代にタイムスリップ、ってめちゃくちゃ使い古されてそうなアイディアを、10人程度のスタッフで自主製作した映画。
なのに脚本が面白くて、惚れ込んだ東映太秦撮影所が全面協力。その結果、とても自主映画とは思えないしっかりした作品に仕上がってる。殺陣なんてマジものの迫力。
「カメラを止めるな」にも比較されるような、単館から全国への拡大公開の展開だが、あれよりもっとしっかりしてる。ただその分、演技も演出も落ち着き過ぎちゃってるところはあるのだけど…
注目すべきは、使い古されたアイディアながらもそこに会津と長州の確執を現代まで持ち込むことで生ずる緊張感と、劇中の時代劇の助監督かつヒロインでありながら、実際に本作の助監督や小道具を兼務した沙倉ゆうの。
9月下旬から全国拡大公開となりますので、是非!
全757件中、701~720件目を表示