侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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映画が面白い事の再確認
生き抜くこと、生かすこと
現代人が戦国時代にタイムスリップする作品は枚挙にいとまがない。
一例では(TVドラマだが)、
「NHK少年ドラマシリーズ」の〔夕ばえ作戦(1974年)〕。
『光瀬龍』の原作で、今は「笑点」で座布団運びをしている『山田隆夫』が主演。
「おもしろうてやがて悲しき」ストーリーが心に残っている。
対して、その逆は珍しいかも。
自分の記憶では〔ちょんまげぷりん(2010年)〕〔サムライせんせい(2018年)〕くらいか。
後者のTVドラマ版と、共に主役が『錦戸亮』なのは面白い。
わけても〔サムライせんせい〕は、幕末の志士が現代にタイムスリップし、
文明に戸惑いながらも人望を得ると言う・・・・。
時は幕末、所は京都。
長州藩士を討つ藩命を受けた
会津藩士『高坂新左衛門(山口馬木也)』は敵と切り結ぶさ中、
落雷を受け百四十年後の現代にタイムスリップ。
気が付いた場所が時代劇の撮影所だったのは幸運。
その場に居ても違和感のない装束。
風貌や所作、言葉遣いまでも、
(時代劇での)武士道を極めていると
好意的に受け止められる始末。
騒動を起こし混乱しながらも、周囲に助けられ
次第にこの世界で生きて行く決意をかためる。
のっけから「繰り返しのギャグ」がさく裂。
撮影のシステムを上手く活用しており、笑わせてくれる。
が、以降は、文明のギャップから生じる可笑しさは、
意外なほど出て来ない。
寧ろ現代人にとっては当たり前の、
白米のおむすびやショートケーキを食べる件は、
幕府が滅び日本が豊かな国になった
主人公のレゾンデートルを揺るがすエピソードが頻出。
周囲は皆々良い人ばかり。
主人公が異世代の人間であることなど
考えもしない。
また『新左衛門』もすんなりと
現代の流儀に馴染んでしまうのは、
いかにも日本人らしいというべきか。
終わり方は元の時代に戻るのか、
現代で生きて行くのかの二択。
さて、どうケリをつけるのかと注視すれば
中盤以降に思わぬ展開が待っている。
良く考えれば、これはアリな設定で、
何故にここまでで気づかなかったかと虚を突かれる思い。
ここから物語は一気にシリアス路線に舵を切る。
豊かになった日本を理解はするものの、
そのために犠牲になった過去の時代の同志たちを思えば、
やり場の無い思いが去来。
そうした憤懣を背景にした、鬼気迫る技斗のシーンの迫力たるや・・・・。
一切の外連味を排し、ただ互いの思いをぶつけ合う二人に、
決着も併せ目が離せない。
恨みや憎しみが何も生まないことも、
説教臭くなく、余韻を以って提示する。
ラストのシーンも思わず哄笑が巻き起こる
心憎い流れ。
ただ、これも、考えてみれば
事前に仄めかされていたのだよなぁ、と。
エンドロールを見ていれば、
スタッフの各パートに同じ人名が何度も登場し
一人十幾つも役割で撮られていたのが良く判る。
が、そうした忙しなさと、
作品のクオリティには全くの相関は無し。
笑ってほろりとさせられる良作は、
多くの人の目に留まり、制作陣に相応のリターンがもたらされることを望む。
おじさんによるおじさんおばさんのためのおじさんの映画
幕末マンセー
200年前の侍がタイムスリップして、時代劇のアルバイトをやって生活するストーリー。明治維新当時の、会津藩と長州藩と、複雑な関係が伝わってきました。
もう一度観に行きたい
面白い!超お薦め映画
知らない俳優たちが輝きすぎ!
映画の可能性はまだまだあると納得させてくれる作品でした。出てくる俳優たちは、ほとんど見たことがない人ばかりなのに、何故あんなに輝いてインパクトがあるのだろうかと、不思議な感慨に襲われました。これはひとえに映画愛が作り出した稀有な映画なのかもしれません。主人公は会津藩の侍であり(同僚も含めて2人)、相手役は倒幕派の侍です。この3人が争っている時、雷に打たれて現代にタイムスリップしますが、それぞれに時間差が起こり、それがストーリーに何重もの深みを与えてくれているところは見事です(現代に生きて特に中心の2人は多くのことを学びます)。現代においての設定は、時代劇を撮影する京都撮影所が舞台です。その撮影所の中で過去から現代に来た主人公が、ひょんなことから時代劇の役者を演ずることになり、自身の中にある会津藩への思いを演技の中で爆発させるのです。まさに自身の中に溜めてきた正義感の爆発なのでした。しかし、歴史は大河の流れのように、善も悪も全て濾過して流れていくものなのでしょう。ラストは「許す」という寛容の精神が主人公の心を救います。憎き倒幕の侍を許すという自分を「許した」のです。ヒロインが主人公の頬を勢いよく叩いた時、見事に吹っ切れた気がして涙が出ました(他にもなぜか泣けるシーン多し)。いずれにしても、独特な雰囲気で始まったこの作品の没入感は半端ないです。あっという間にエンディングまで観てしまいました。その中でも、ヒロインの天使のような言動に癒されました(笑)。
こういうのに当たるから映画はやめられない
お見事でござる
ラストの緊張感、コメディー作品であることがまるでウソのよう。満員の場内が固唾を飲んで成り行きを見守る。
相手の初動を窺って静止画のように向き合う2人。ここでまさかのお預けエンドなんてことも頭によぎる長〜い時間が経過した後の怒涛の立ち合い。本物の時代劇がそこにある。
コメディーの文法通りというか、わかりやすいフリにわかりやすいツッコミ。なんだけど、笑いのツボが自然に押される感じで、思わず笑ってしまう。
さっさと逃げてしまった徳川慶喜の代わりに明治維新の生贄にされてしまった会津藩。その悲劇の前に高坂新左衛門は現代に召喚されてしまう。時代劇撮影所に現れた新左衛門のくだりは、予告で知っていたんだけど最高に面白い。このシーケンスは、リハーサルと本番テイクを上手く組み合わせていて、笑いの波が押し寄せてくる。
時代劇の切られ役として今の生活に慣れてきた頃に、新左衛門は会津藩の悲惨な行く末を知ってしまう。新左衛門の慟哭に、こちらも涙を誘われるが、この新左衛門の魂の叫びがラストへの大きな伏線となっているだけでなく、物語に大きな厚みを加えている。
この作品は、大勢の観客と喜怒哀楽を共有することによって、2倍にも3倍にも感動が深くなります。とにかく、劇場で観てみてください。最大限に推奨します。
で、彼らの戸籍はどうなってるんだ!?
レイトショー『侍タイムスリッパー』
当初1館だけで上映が始まったインディーズ系の作品が、口コミ効果で拡大上映!
なんとTOHOシネマズ西宮でも公開って事で観て来ました
昭和世代なので、時代劇の全盛期も知ってるだけに画角やアングル最高でした
ストーリー的には、タイムスリップモノなので、目新しさとビックリな展開はないかな^^;
ただ創る側の熱意と俳優さん達の所作は素晴らしい!!
主演・山口馬木也さん含めて、冨家ノリマサ・井上肇さんなど・・・
名バイプレイヤーとして、数々の映画・ドラマに出演されてるので画面の安心感ありです
話題の1本として劇場で是非!
で、タイムスリップして来て帰れなくなった彼らの戸籍はどうなってるんだ!?
侍は時代劇と映画館を救うか
改めて、俳優ってすごい。
メディアではあまり取り上げられてないですが、徐々に公開館数を増やしてるそうで。そして、インディーズ映画。
既視感‥。どこか、「あの映画」と似た香りがする。
たまにしか行かない、TOHO系列にて鑑賞。観客はほぼ中年以上。男性率高め。
レビューなんかみてると絶賛の嵐、恐らく「あの映画」と同じ様にネタバレ厳禁、爆笑の嵐の映画体験ができるのでしょうと期待大。
序盤、こてこてのギャグに、空振りもあるけどチラホラと笑いが出て良かったです。でも、「あの映画」の様に映画が2度始まる訳ではなく、あくまで王堂のストーリー。
後半はメッセージ性(先人たちの思い・未来への継承)強く感銘を受けます。「殺陣」に対する解説もなるほどと目を見張ります。
今作は、「あの映画」程、どんでん返し、爆笑などの要素はありません。しかし、普段はあまり見られない俳優(特に、山口馬木也さん、冨塚ノリマサさん、峰蘭太郎さん)のセリフ、拳の効いた一言は圧巻です。スクリーン越しに効いても迫力が凄いので、間近にみるとさらにすごいんだろうな。
インディーズ、自主制作作品としては素晴らしい出来。 ストーリーから...
熱く泣ける、そして意外と小ボケもいっぱい
侍が現代に現れるというストーリーは藤岡弘、の「SFソードキル」以来?何度も目にした手垢のついたプロットだが、本作は他とコンセプトや展開がしっかりと差別化されており、既視感なく新鮮に見ることができた。
ただ、この映画については「カメラを止めるな」同様、安田淳一監督の映像製作への情熱と、それに賛同し総製作費2600万円というほぼ手弁当状態で協力参画した役者陣、制作スタッフ、撮影所等をどう考えるかで評価は違ってくると思っている。
自分自身は撮影所や殺陣師らの時代劇への熱や思いがこれ以上ないくらいしっかりと受け止めることはできたことからも、この背景込みで評価させていただきたいと思ってる。
※監督曰く役者さん達にはちゃんとしたギャラを支払っているとのことでした
主演の山口馬木也は自分的にはほぼ時代劇の人で、失礼だが松平健の若い版くらいに思っていた程度だったが、間違いなく武士の所作、佇まいを見せ、淡い恋心を抱くシーン含め今まで見たどの侍役よりも侍だった。
初めて斬られた時に今までの事を走馬灯の様に思い出すシーンは泣きそうになった。
会津藩は徳川家と一連托生の立ち位置で、白虎隊はじめ幕末には最も悲劇的な末路を辿った藩だが、それだけに大政奉還後百数十年経った現代の姿を高坂新左衛門が目の当たりにした時の気持ちは想像に難くない。
ましてや「最後の武士」(ラストサムライ?)で会津藩の悲劇をより詳細に描写するような台本が追加されたのをみれば自分の無力さにどうして良いかわからなくなるというのは無理もない。
そんな高坂の心情と監督の思いやこの映画の舞台裏事情とが掛け合わさり、最後の殺陣は鬼気迫る迫力のあるものに昇華できたのだと思う。(最初二人が微動だにしなかったのは「椿三十郎」のオマージュか?)
次作「ゾンビ四谷怪談」の上映に期待。
こすり倒された設定だけど。
刺さった!
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