侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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殺陣
ストーリー展開だけだと☆☆だけどなあ、と思いながら見ていました。
しかしベタな展開なのに心の中では☆☆☆以下にはならない不思議さ。
最後の殺陣は迫力満点。この人達は本当に江戸時代から来た、と思わせる殺陣でした。
時代遅れのおじさんは、最後のセリフを聞いて迂闊にも涙を流しそうになりました。今の人達にとっては、江戸時代も昭和時代も時代遅れの遠い過去かもしれませんね。
展開の詰めの甘さで☆一つ減。
殺陣だけでも見に行く値打ちはあります。
噂通りの面白さ!
安田淳一率いる自主制作映画集団「未来映画社」の最新作。
「未来映画社」や安田淳一さんは「拳銃と目玉焼き」で知ったんだけど、いわゆる自主制作映画特有の安っぽさを感じないクオリティーに驚いた。
そんな彼らの最新作で、しかも全国の映画館で上映されるほどの話題作ということで劇場で鑑賞したら、噂通りの熱くて素晴らしい映画だった。
時代の流れの中で衰退・消滅寸前のTV時代劇と、幕末の侍をリンクさせる発想も素晴らしいし、山口馬木也、冨家ノリマサという時代劇に通じたベテラン2人の文字通り熱演も見事。お二人とも時代劇を多く演じているだけに、殺陣も所作も発声もしっかり時代劇なんだよね。
序盤から中盤にかけては、今の感覚だとややテンポが悪く演出も冗長に感じるかもしれないんだけど、劇中のベタな笑いも含めて、もしかしたらわざと一昔前にテレビでやっていた人情ドラマのテンポ感や演出を意識しているのかもと思った。クライマックスの殺陣は圧巻。
真田広之の「SYOGUN」が世界中を席捲しているが、「時代劇」が好きな人は是非こちらも鑑賞して欲しい。
切られ武士の本懐
落ち着いた良い映画でした。
山口馬木也さん、冨家ノリマサさんの積み重ねてこられた演技力が垣間見れ、とてもよかったです。
また、切られ役の俳優さんを他の時代劇で探してみようと思います。
シナリオも飽きさせない感じでよかったし、映像もとても綺麗でした。
コメディシーンとエピソードが、少しコテコテ過ぎたと思います。
「東京に下らはった。」と言うセリフが京都ぽかったです。
山口さんがケーキを食べるシーンが印象的でした。
ラストのバトルシーンの静寂の間合に緊張しました。
蛇足ですが、真田宏之さん、エミー賞の日本語挨拶ありがとうございました。
泣きそうになりました。
リアリティがある!
江戸時代末期からのタイムスリッパー。
時代感覚の違いも、現代へと融合していく様が非常に良く表現されていた。
安易な時代劇では無い、真の武士の心意気が入った作品。
ここまで面白い作品は久々の出会いで有る。
この作品の続編が出来ればまた拝見したいと思った。
真摯に与えられた役目を精一杯に努力して行く生き様は万人に感動をもたらすと思います。
是非続編の制作を検討してください。
“真剣”とは
よいという評判だったが、個人的にはよさがわからず。冒頭の江戸時代という設定のシーンからして江戸時代に見えないから没入できない、タイムスリップしてからすんなり現在に馴染んでいるのも映画のメッセージを毀損する方に働いていると思った。すべてが軽いのである。侍の精神は時代劇に受け継がれていると言いたいのなら、リアリティラインをもうちょっと緻密に設定した方がいいんではと思った。/切り捨て御免の侍が現代の価値観に生きてみたら、切り捨てたことをトラウマとして体験することになった、というところは面白かった。でもそれに打ち勝つ方法が真剣を持ち込むことっていうのはどうなんでしょう。『バッド・ボーイズ ride or die』でパニック発作を起こすウィル・スミスにビンタかましてたのと一緒でいただけないし、どこまでリアルなものとして“真剣に”見ていいのか分からなくなるのである。/しかし邦画ってのはどうしてなんでもかんでもうっすらコミカルにするんだろうね。“真剣”とはなんだろうね。
コメディ要素もあり
最初はコメディかと思って観ていましたが、割とシリアスなシーンもありとても面白い映画だと思います。
当然、コメディ要素もチョイチョイ出てきますが、バランスが凄く良く、くどすぎ、ポイントを掴んだ笑いだと思います。
全体的にバランスのいい映画です。
武士の本懐
雷に打たれ現代にタイムスリップしてしまった侍が、この時代で生きる為に時代劇役者として活動し始めるが…といった物語。
幕府がとうの昔に倒されていたことに悲しみつつ、時代劇の切られ役として本領を発揮していく主人公。
侍と現代のアンマッチがいくつもの笑いを提供してくれますね♪そんな中、ある意味プロの新左衛門は名を馳せていき、大作出演のチャンスが舞い込むが…
後半はネタバレ厳禁の超展開!!
まさかそうくるとは…。アツ過ぎるとともに唸らされるアイデアですね。
単なるお笑い映画と舐めてかかれば辻斬り必至の緊張感と大きな感動。…それでいてやっぱり笑わせてくれる流れは見事の一言!
そうですね、まだその日では無いようで…(笑)
んで、師匠の切られ役の儚き夢の話はグッと来たなぁ…。
コメディ作品ではあるが、一人の男の成長物語でもあるし、どんな時代でも生きることの厳しさ、変わりゆく時代の切なさもジンジンと感じさせてくれる傑作だった。
沙倉ゆうの助監督に乾杯
安田監督作品で主演をしているくらいなんでというか、自主製作のいろんな兼任を頼まれてというのか、映画の役柄の助監督山本優子だけでなく安田監督の下の助監督やその他いろんな雑用を実際やっていたように感じたエンドロール。
何度も沙倉ゆうのの名前を見て本当に映画製作が好きなんやなぁというの、もしかしたら映画の中で山本優子が言うセリフの内容は全部沙倉ゆうのさんの映画製作好きのエピソードなんじゃないでしょうか?
山口馬木也さんの主人公の高坂新左衛門の記憶喪失説。寺の夫婦がそうじゃないかと疑っていたけど、有名になって戸籍どうしたの?と突っ込みたくなる。寺の夫婦の子供にでもしてもらったかな?
映画を作るということ
映画が配信を前提にビッグバジェットで作られ、各家庭で鑑賞出来るとても便利な時代。
本作は自主映画のような私費で作られ、IMAXの高画像でもなければ音割れしているような音声の出来。ストーリーも言ってはなんだが、"ウェルメイド"だ。
でも、劇場まで足を運び見た作品は、主人公たちが真剣で対決したいと考えたように、製作者たちの本気がそのまま映し出されてます。
このような作品が作られる限りは、劇場から映画がなくなる日は「今日はその日ではない」と言えるのでは。
奥が深い
もっとコミカルなものを期待していたのですが、そこは少しすべってたりw抑え気味だったりして、それよりストーリーと設定がかなり奥深くて感心しました。もちろん映画としてとても面白かったです。
今流行りの転生モノなどは仮想へ行く仮想の話なので良くも悪くもペラペラなものが多いですが、この映画はタイムスリップものとして史実に基づいた設定でちゃんと歴史に向き合って、それを取り入れているところがすごく良いです。
あと、迫力のあるラストシーンは見事で惹きつけられました。息を呑みます。そして、伏線を見事に回収しています。
前評判通り、今観ておくべき映画だと思います。
ここまで褒めておいて私的に若干辛目の点数になったのは、音がちょっと悪かったのです。そもそも単館用に作られたのでミニシアターのための音響なのでしょうが、自分が観たシネコンの設備にはあまりにも合っていなかったようです。これは映画館の問題でもあるのかもしれませんが。
オープニングのSEもエンディングの曲もゲイン全部上げたような音でキンキンシャリシャリしてました。劇中も布ズレや環境音・機械音が妙に耳に入ってくることが多く、役者さんの声はいいのに台詞が頭に入ってこないところがありました。
音に関して言えば、ミニシアターで観るべきなのかもしれません。
真剣の重み
一時代劇好きとして胸熱に胸熱がすぎる映画だった…
脚本の素晴らしさはさることながら、その無茶なストーリーに抜群の説得力を持たせる殺陣シーンがあっぱれ…!
冒頭の討ち入りシーンで引き込まれ、坂本龍馬相手の立ち回りで引き込まれ、、
エンドクレジットに時代劇の影の立役者、福本清三氏の名を見て納得。本作のテーマ同様、こうやって熱い志や技が受け継がれているんだなとますます胸熱。
奇しくも最近朝ドラの再放送でオードリーをやっていたり、SHOGUNの真田広之のエミー賞スピーチがエモすぎたり、ここからまた時代劇の波が来るんじゃないかと期待してしまう。
日本に育った人たちは多かれ少なかれテレビや映画で時代劇に触れてきて、たとえファンでなくともそのコンテキストがあるからこその本作のエモさやヒットがあるのかなとも思う。ドリフ感あるお決まりのギャグもまたしかり。
何故時代劇が好きかって、侍たちの生きざまが好きなんだよね。
いつの時代も家族のため、世のため、未来のため、信ずべきと決めたもののため、懸命に愚直に真面目に生きている人がいる。かつては、命を賭すほどの真剣さで。
侍の文化や様式美も魅力だと思う。
「真剣勝負」って今もなお日常的に使われる言葉で、自身もごくごく普通に使っているけど、その言葉の本来の重みをこんなにも感じたことはいまだかつてなかった。
素晴らしいラストシーンだった。
ハードボイルドな時代劇は過去からもたくさん良作があるけど、コメディ要素も強くて、舞台も現代メインで、それでもなお、侍の生きざまのかっこよさや、かつての侍たちの想いや、時代や国を創ってきたものたちへのリスペクトや、そして時代劇文化への愛しさとリスペクトまでもが、この短い映画の尺で表現されてることに感動。今だからこそなしえる、時代劇への愛と新しい表現を堪能させてもらいました。ブラボー!!
高坂がショートケーキを食べて涙するシーン、滑稽なシーンなのだが、私は幕末を生きた高坂の人生や、自身の祖父母の時代までもを想起させられ笑えなかった。あなたたちが懸命に生きて命を繋いでくれたからの今なのだな、とぐっときた。あのシーン、高坂らしさが目一杯表現されていてとてもよかった。
けして有名な役者さんではないけれど主役のお二人には渡辺謙vs北大路欣也 を思わせるような瞬間もあり。高坂役の山口馬木也さん、めちゃくちゃハマり役でした。格好いい役者さんで雰囲気もあって。ハードボイルドな作品だとハマりすぎて難しいかもしれないけど、本作の高坂の生真面目さが滑稽にみえたり、真面目さゆえの朴訥さや不器用さもとってもチャーミングだった。
本作内での2人の立場と、リアルでの2人の立場がオーバラップしていて。名もなきカッコいい人たちにスポットライトが当たるのもまた胸熱ポイント。
侍姿の高坂が現代の街を彷徨うシーンも個人的な激萌えポイント。侍百景的な。
私も監督だったならいろんなシーンに配置して侍を愛でたい。
リアルとファンタジーの絶妙な匙加減
幕末から、
大政奉還から140年後の
スマホがまだ出ていなかった未来へ
(2007年か2008年)
武士(会津藩士)がタイムスリップしたら
のお話。
多分映画で描かれている現代は、
今から20年弱前。
当時の時代劇の置かれていた現状と
問題を描いているんだなと思って見ていた。
後半で主人公は
大きな映画の準主役に抜擢されるけど
そのタイトル
世界的に有名な某映画の和訳みたいなタイトル。
他のお客さんが笑っているシーンで
自分は泣きそうになっていたり、
その映画の台本の中で、
会津藩の行末を知って泣くシーンは
自分も号泣しそうになった。
実は実際にこんな人いるんじゃないか
と思わせてもらうほどには、
楽しませてもらいました。
見に行って損はないです。
ぜひぜひ。
チャンバラが本物
普段、インディーズ映画を劇場に観に行くことはないのですが、「剣客商売」で剣客、秋山小兵衛の息子で同じく剣客の秋山大治郎を演じ、最近では「鬼平犯科帳」の長谷川平蔵の剣友、岸井左馬之助を演じている、山口馬木也が主演と言う事に興味を覚えて観に行きました。
また、時代劇はお金がかかる割に、視聴率が取れないので、民放での連ドラは絶滅し、芸人をひな壇に上げたバラエティーばかりになっている日本。一方で、莫大なお金をかけてハリウッドで撮った「SHOGUN」がエミー賞を受賞する。そんな昨今で、低予算のチャンバラ映画が話題になった事で、何か感慨めいた気分だったのも観に行った動機です。
もちろん、チープさは否めません。エンドクレジットでは、監督が照明、音響、編集、VFX等を兼務し、ヒロイン役の女優さんまで各種裏方もやっている。スタッフが10人くらいしか居ないんじゃないでしょうか。
それでも、それなりに観せるのは、「剣客商売」ではそんなに演技が上手い印象はなかった、山口馬木也の演技。シリアスとコメディーの間が絶妙(もちろん、ノリは吉本っぽいですけど)。それと、時代劇の部分、特にチャンバラが「本物」だったこと。殺陣で使う「竹光」と「本身」(使ったのは「ジュラ刀」でしょうけど)の演技での質感の違いなど、時代劇ファンの機微をくすぐる部分(時代劇の小道具は東映京都撮影所が「破格」で貸してくれたとのこと)。
「SHOGUN」がリアルな時代劇を撮ったのに対して、この映画は時代劇をリアルに撮った感じです。
また、観ながら「そうか。東映京都撮影所は山口馬木也にとっても、ホームなんだなぁ。」と、彼の演技がよかったのも、そこにあるのかとも感じました。
あと、タイムスリップしたのは「現代」と言う事ですが、たぶん2008年頃(維新から140年なのと、助監督が二つ折り携帯、テレビの横に伊丹十三作品のビデオが並んでた等)だと思います。まだ、民放時代劇が絶滅してはいない頃という事なのでしょうか。
全てがフレンドリーで優しくなれる映画
音楽に例えたとして、オーケストラでは感じられなかった奏者の方々個々の技術や存在感が、小編成のアンサンブルで聴くと奏者(演者)一人一人の技巧や 奏でられる一音一音やメロディーが際立って感じられるみたいな。
大げさな仕掛けや小難しい理屈を廃しているからこそ役者さんの本気の生の演技・監督さんや制作さん達の情熱を感じられる作品に仕上がったんじゃないかって感じました。
ほろっとさせてからの笑いは吉本よりも藤山 寛美さんの頃の松竹新喜劇に近いかも知れません。
なんせ、全ての間が絶妙です。おむすびを食べるシーン・切られ役の稽古のシーンなどボケとツッコミの間。そして最後の長い長い無音の間。笑いも緊張感も最高の間からもたらされた職人技です。
それに登場人物に悪人がいないのも大きな魅力。後半に少しだけチンピラが出る以外登場人物全てが優しいんです。今時なかなかこういうのって無い気がします。
そしてそれは作品の外・鑑賞し終わった後までしっかり続いてるんです。
作品の感想をX(Twitter)で軽くつぶやいたら
監督さんをはじめ主役の山口馬木也さんの事務所公式さんやヒロインの沙倉ゆうのさん・冨家ノリマサさんなんて方々から普通に「いいね」が。
とんでもなくフレンドリーでアットホームな距離感じゃないですか。驚きです。
映画好きにとってはこんな素敵なご褒美はありません。
こういう 作品に関わる全ての方々の温もりや優しさが作品からにじみ出ているような気がします。
たくさんの人に観てほしい
インディーズに留めておくにはもったいない才能だ!
脚本の出来が素晴らしい映画だった。飽きさせない構成、どんどん話が進んで中だるみがない。
お気に入りのシーンはショートケーキのシーン。かわいいな、このおじさん。
因縁の相手との関係性とよし。
現代にだんだん馴染んでいくのに、口調だけはそのままな侍。良い。
拡大上映も納得です。
ネタバレをするのはもったいないので、多くは語りません。ぜひ映画館で見てほしい。
トーホーの日比谷でみましたが、大きな箱を用意されていた上に、8割がた埋まっていました。ブラボー。
監督の次回作にも期待しています。
ところで、トップガンマーヴェリックのオタクなので、最後のあのセリフには笑っちゃいました😂
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