劇場公開日 2024年8月17日

侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価

全1208件中、301~320件目を表示

5.0武士・時代劇へのオマージュと佐幕派(会津藩)の悲運

2025年1月11日
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鑑賞方法:映画館

高坂新左衛門が思わず商店のシャッターから引き剥がして見入ってしまったポスターに書かれていたように、自潘が命を懸けて従おうとしていた幕潘体制が崩壊してしまってから140年も経った日本に降り立ってみれば、幼少から磨いてきた剣術の腕前は、時代劇の斬られ役くらいにしか役に立たない-。
その寂寥感は、並大抵のものではなかったことでしょう。

そういえば、本作を観終わって考えてみると、ひところはテレビの定番とも言えた「水戸黄門」も「遠山の金さん」も「大岡越前」も、放送終了になって、もう久しくなってしまってもいたようです。

本作は、いわゆる武家社会の「担い手」として、武芸(剣術)に生きた武士や、その武士の生き様(ざま)、そして武士を主役とした時代劇ドラマへのオマージュとして、素晴らしい一本でもあったと、評論子は思います。

本作の題名は「タイムスリッパー」ではあるのですが、「どっこい、時代劇はタイムスリップ(時代錯誤の遺物)なんかじゃぁないんだよ」という、時代劇・斬られ役の魂がこもった一本だったことも、間違いがありません。

「素直な気持ちで「観てよかった」と思える作品」とは、評論子が入っている映画サークルの先輩会員の、本作に対する評でしたけれども。
その先輩会員の評どおりに、十二分な優秀作ということだったと、評論子も思いました。

(追記)
長岡潘は、かつての盟友であった会津潘攻撃の尖兵として官軍(明治政府軍=薩摩・長州を主体とする連合軍)に利用されることを拒んで、官軍から壊滅的な打撃を受けてしまいます。
(この間の事情は、別作品『峠 最後のサムライ』に詳しい)。
当然、会津潘の方でもそういう事情は知悉していたので、長岡潘の手前、簡単に官軍の軍門に下ることもできない。
そして、他方の官軍としても、いわば「官軍に楯突く不届き者」に対する、いわば「見せしめ」として、作中の高坂新左衛門が目を通した台本でも言及されていたような、酷(むご)い仕打ちを、あえて会津潘に行わなければならなかった。

そして、後にそんな仕打ちを受けるほど、佐幕派(会津潘)の薩摩・長州の両潘に対する恨み(敵愾心)には、お互いに骨髄に染みるような相当に根深いものがあったことは、想像に固くありません。

本作でも、高坂新左衛門と風見恭一郎との確執にも、上記のような背景を考えると、締めつけられるような胸の痛みを感じます。
(正直に自白すれば、そのことに思いが至り、鑑賞中には、何度も涙が出そうになった評論子でもありました。)

そして、それが、武士や武士道(そしてその流れを汲む時代劇)に対するオマージュと並んで、本作のもうひとつのバックボーンを構成していることも、また疑いのないことだろうとも、評論子は思います。

(追記)
本作は、自主製作の作品として単館上映から全国公開に拡大した作品ということですけれども。
その故もあって、いわゆる「豪華俳優陣」が主役を演じたり、脇を固めているわけではなく、言ってみれば「あまり顔なじみでない俳優さんたち」が演じているだけに、「芝居くささ」を感じることなく、そのぶん素直にストーリーに感情移入できたという要素はあったかと思います。
変に「豪華俳優陣」に引っ張られていないという点も、本作の美点として指摘して良いのではないかと、評論子は思います。

(追記)
幕府の治世を是と信じて、新政府(薩長連合軍)と血みどろの死闘を繰り広げ、劣勢を強いられた佐幕派(会津藩)は、態勢挽回の、いわば切り札として、長州藩士・山形彦九郎の暗殺を計画。その刺客として高坂新左衛門が差し向けられる―。まさに血で血を洗うような争いを繰り返していたものの、140年余りを経てみると、庶民にもイチゴのショートケーキが日常の茶菓として用いられるような国になっていた。

高坂新左衛門にしてみれば、あの死闘の日々はいったい何だったのかという寂寥感・徒労感に、さぞかし苛(さいな)まれていたことでしょう。内心では。

しかし、このことはおくびにも出さず、140年後の世界では、その140年後の世界で、果敢に時代劇の「斬られ役」としての居場所を求めようとする。

武士は、他人に内心の動揺を知られることを「恥」と認識したと聞き及びますけれども。
そして、それ故「武士は食わねど高楊枝」ともいいますけれども。
やっぱり、高坂新左衛門もその意地があり、彼も間違いなく武士であったということなのでしょう。

本作のビジュアルにある襷(たすき)がけの高坂新左衛門の後ろ姿からは、その意地が、オーラのように立ち上っているように思えて、評論子には、なりません。
(そして、それ故、あのイチゴのショートケーキは(会津磐梯山に降り積もった雪のように白い握り飯と並んで?)、本作では意外と重要なアイテムだったのではないかと、評論子は思います。)

(追記)
ちなみに。評論子の祖先も武士だったと聞いています。
仙台地方を治めていた亘理伊達藩が、藩財政の立て直しを北海道の拓殖にかけて入植してきた当時、その亘理伊達藩に仕官しており、当主とともに北海道に移り住んで来たようです。
(評論子が北海道で生まれ育った理由が、それで分かったりもしました)

侍ですから、やっぱり腰に大小はぶら下げていたとは思うのですけれども。
しかし、お役目が「物書役(ものかきやく)」ということで、今ふうに言えば「財務会計係」ということでしたから、別作品『武士の家計簿』のような、いわゆる算盤侍(そろばんざむらい)だったようです。

それ故、そちらの方面は、高坂新左衛門のような「藩内随一の使い手」どころか、おそらくは、満足に抜いたこともなかったのだろうと思います。

抜くどころか、生活苦から「武士の魂」も売払ってしまい、腰に差していたのは、とっくの前から竹光だったと言うのだけは、その末裔である評論子としては、「なし」にして欲しいところです。

そして、その末裔である評論子も、いっときは財政再建団体転落も必至と言われた、さる貧乏自治体に奉職(仕官)してしまっているわけですから、「末裔よ、お前もか。」とばかりに、さぞかし草葉の陰で苦い顔をしていることでしょう。

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talkie

4.0色々な❓は正直たくさんあったが、胸熱くなるところあって、結論面白か...

2025年1月11日
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色々な❓は正直たくさんあったが、胸熱くなるところあって、結論面白かった。もう少し笑いのつぼが自分にはまったら、もっと良かったとは思った。

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おれ

4.0思ったほどコメディではないな

2025年1月8日
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笑える

最初はタイムスリップお決まりのコメディ、どんどん徳川幕府の終末を知った侍の悲哀へシフト。
粗は目立つけど面白かった。

ドラマも邦画もあまり見ないので知らなかったけど、主役の人めっちゃいいね。うまいしイケメン。

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ゼリィ

5.0素晴らしい作品

2025年1月8日
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鑑賞方法:映画館

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楽しい

タイムスリップものは今まで他にもいくつもある中、あまり大きな期待をせずに観たら、もう想像以上の素晴らしい作品でした
何より役者たちの演技がいい、上手い、巧い、とにかく惹きつけられる
それは優しさ、面白さ、悲しさ、温かさ、あらゆる面で光っていて、最後の決闘シーンの迫真の場面はもう言葉が見つからない程に眩しい
そして、コメディの形を取りながら、熱いメッセージを感じる脚本がスゴいと思った、これはもうお見事!
全く飽きさせず一気に駆け抜けていく時間、ひさしぶりに味わう爽快感、もうこれは大好きな作品になりそう
槇矢さんのお人柄も良く現れていて、あらためて映画の魅力を堪能させて頂きました、ありがとう♪

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stomp

3.5ケジメ

2025年1月7日
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高坂には髪を切っても洋装になっても譲らぬ誠実さや純粋さが貫く。それがコシになっている。その世界が失われても自身を失わぬ者が、形式化した時代劇に斬り合いの意味を吹き込み直す。最後の殺陣のクオリティはその目的に見事に沿っている。
実世界では真田広之が証明している訳で、テレビ時代劇を時代劇として良い訳ではないが。

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Kj

4.0笑って、改めて考えさせられる

2025年1月7日
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鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

幸せ

昨年の公開時は体調不良だったため、やっとこの話題作を観ることができました。

製作費3千数百万円というインディーズ映画とは思えない完成度で、散りばめられたギャグも効果的で劇場内でも笑いが起こっていました。

中盤以降、どのように話が展開するのかと思っていたら、意外な人物が登場し、また歴史的事実にも触れて、主人公はある決断をするのですが、その画の迫力がすごかった。まあ、この手段に賛否両論はあるだろうけれど…
とにかく、観て楽しく損はしないこと間違いなし!

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矢吹 貴

3.5君は真剣を持ったこと有るか?

2025年1月6日
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単純

興奮

京都の見慣れた風景がちらほら 太秦や三条商店街 あの決戦の寺は知らんけど… 真剣で竹を切るイベントに参加したことあるけど、めっちゃ重い…多分鍛えてないとあこまでの殺陣はできない 流石に迫力はあったが… ちなみに手裏剣✋➰💠も重くて、中々突き刺さらない… 確かに時代劇は減ったよね
時代の流れなんだろうけど…

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ろくさん

4.0映画館で観れてよかった!

2025年1月6日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

殺陣のシーン、そこにすべては詰め込まれている。そして、それが素晴らしい!
そのための前置きの話。

これは映画館でみる必要がある映画。当地では一旦は上映終了してしまい、ネットかディスクになるまで待つしかないか、と諦めていたら、なんとリバイバル上映!('25.1.6時点では、~1.9迄となっていたのが再延長で~1.16になってる)  日曜日ってこともあったけど、そこそこの人が入ってたから、まだ観たい人がいっぱいいそうだな、とは感じていた。

素人が言うのもなんだけど、脇の役者さんの演技が・・・とはなったけど、主役・準主役・ヒロインがしっかりしているからなんとかなっている。というか、主役・準主役のおふたりはすごい!脚本が良かったから引き受けた、的なコメントを公式からみたけど、確かに良く出来た脚本だと思う。そして、それをしっかりと映像に落とし込んだ、この監督もすごいと思う。

安田監督の本望かどうかは分からないけど、個人的には、お金をかけるのは映像美じゃなく脚本と役者さんってところを貫いていって欲しい。そういう監督が作った映画が、またみたい!

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しの

5.0また観たいですね!

2025年1月5日
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泣ける

笑える

楽しい

タイムスリップをする映画は数多くありますが、その中でも素晴らしい映画だと思います。笑いあり、涙あり、ユーモアあり、あっという間の2時間10分でした!また観たいと思ったのは私だけでしょうか?

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タッチ君

5.0この作品に出会えた事に感謝します。

2025年1月5日
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泣ける

笑える

興奮

人の使命感、誠実さ、全力で生きること、色々なことを考えさせてもらえる作品です。
登場人物すぺての人が皆 良い人でした。
俳優さんも凄い表現力で、観ていて作品の世界にグイグイ引き込まれました。
物語には 涙あり 笑いありの素晴らしい展開ですが、より多くの人に観てもらいたいです。
出会いって、人それぞれ色々な組み合わせで色々な形が有ると思いますが、この作品に出会えた事に感謝しています。
この場をお借りして、監督さんや俳優さん、スタッフさんや製作に関わった すべての人に御礼申し上げます。
素晴らしい作品を有り難うございました。

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ドラゴン

4.5泣けたー

2025年1月4日
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幸せ

良かった。
ラストは意外。
お金がかかってないようには見えない工夫がある。

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みったん

4.0緊張感はなかなかのもの

2025年1月4日
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北枕寝二

4.5やっと観られました。台詞は勿論「笑い」のセンスも良く、めっち

2025年1月3日
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やっと観られました。台詞は勿論「笑い」のセンスも良く、めっちゃ楽しめました。
今年一本目の映画に選んで大正解でした。

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NAO

5.0時代劇版バック・トゥ・ザ・フューチャー

2025年1月3日
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時代劇という、今や絶滅危惧種ともいえるジャンルをタイムトラベルエンターテイメントとして見事に甦らせた本作。
笑いと涙、ほのかな恋心、そして予想を裏切る展開が絶妙。クライマックスでは宿敵との緊迫感あふれるアクション(殺陣)。ラストも素晴らしい余韻を残し続編への期待が高まる作品。

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オーさん

5.0不器用だけれども誠実に生きる事って、とても大切な事なんだな…と考えさせられました。

2025年1月2日
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幸せ

主人公の侍は「自分は武士だ!ご先祖様だ!」と頑なに自己主張する訳でも無く、大きな葛藤の末に自分の置かれた状況を受け入れ、その中で自分が活かされる道を模索して努力をします。実直に頭を下げて人から教えを請います。
そういう姿勢って、とても大事な事なんだナと考えさせられます。

やがて怒濤のラストシーンへ!

時を超えた幕末の志士達の熱い思いが込み上げて来ます。文字通りの時空を超えた遺恨と…それから和解と。

ツワモノどもが夢の後…あるいはノーサイド。
会場のお客さんから拍手が起こっていました。こんな光景久し振り…。

例え有名な俳優が出演していなくても、例え潤沢な予算が無くても、それでも良い映画は創れるという事の好例です。

お正月から良いものを観せて貰いました。
こりゃあ、正月から縁起が良いヤ!
今年はキット良い事有るかしら…ww

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わいちゃん

5.0まさに「安田無双」!

2025年1月2日
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楽しい

幸せ

本作は埼玉県川越市にある、創業から約120年の歴史を誇るスカラ座にて鑑賞致しました。スクリーンは一つのみ、客席数124席のいわゆるコミュニティシネマです。

外観、内装含め昭和の香り漂うレトロな雰囲気。客席は段差があまりないフラットなタイプですが、スクリーンは割と大きく見やすかったです。場内暗転の際には「ブビー!」というブザー音が流れます。普段はシネコンでは上映されない作品や、過去の名作のリバイバル上映などやっています。

このスカラ座、資金難により早ければ2年後に閉館してしまうそう。現在「川越スカラ座閉館回避プロジェクト」を実施中で、LINEスタンプや川越スカラ座グッズの購入による支援が可能です。(詳細はHPにて)館内にて募金も行っております。ご興味を持たれた方は是非、この独特な雰囲気の映画館を体験してみてください。

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本日より、絶賛の嵐の話題作がついにスカラ座で上映!客席はほぼ満席。今まで地元で上映されなかったので、上映を熱望していた観客達で券売所に行列が出来てました。券売所の対応が間に合わず5分程上映が遅れる事態に…。この作品への期待の高さのあらわれですね。

始まってみると…低予算をまったく感じさせない映像のクオリティ。俳優達の見事な演技。さらに衣装やセットにもこだわりを感じます。演技については、主演の山口馬木也は言うまでもなく、その他助演、脇役に至るまで、皆さん本当に素晴らしかったです。特にクライマックスの緊張感は黒澤明の「椿三十郎」を彷彿とさせるほど。

そしてなんと言っても脚本。前半、普通に面白いコメディだなぁ、と思って観ていたのが…あるシーンを境にとんでもない展開に!これはすごい!絶対面白くなるやつ!作品に深みが増し、胸が熱くなる展開。絶賛されている理由がよくわかりました。

終了すると多くの人の拍手が。上映中も皆さん大いに笑って、泣いていました。本当に素晴らしいエンターテイメント作品でした!

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吹雪まんじゅう

4.0祝・大ヒット! 2024年100本目にしてラストの映画は、時代劇愛の塊のような映画でした。

2025年1月2日
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じゃい

3.5てんやわんやはない、人情モノ

2024年12月31日
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幸せ

侍が現代にタイムスリップするという設定からドタバタコメディかと思っていたら、コメディテイストは散りばめつつも全くそんな映画ではありませんでした。
未来に来てしまい戸惑いながら暮らしつつも、侍としての矜持は譲れない主人公の諦念と信念が描かれた佳作です。
こういう映画が口コミで評価が広がり上映館が増えていくのはいい事だと思う。

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コーイッヒ

3.5設定はよかったものの

2024年12月31日
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ここでの評価が高かったので気になって見てきました。侍が現代にタイムスリップして切られ役になる。設定はよかったのですが、至るところでセンスの古さが気になってしまいました。そういう映画なんだと言われればそれまでなんですが、今の時代でヒットする時代劇を目指しているのならもったいないと感じました。

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むっち

5.0歴史系タイムスリップ映画の極北

2024年12月31日
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感想詳細については、こちらの動画版感想に記します。とにかく観れて良かった一作。福島県人であり会津の血を引く自分として、この作品に出会えたことを誇りに思います!

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ウラギリ
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