「今を生きる侍」侍タイムスリッパー R41さんの映画レビュー(感想・評価)
今を生きる侍
時代背景
作中登場するガラケー
時代背景が2007年ごろになっていることで、当時の作品かと思っていたがごく最近の作品だった。
しかしなぜ現代を2007年ごろにしたのだろう?
携帯電話がガラケーの時代
いまでこそ時代劇というものが再認識されている背景があるが、当時は廃れる一方だったのだろう。
その復活の理由としてこの物語を置いたのかもしれない。
特に「SHOUGUN」によって今世界中が時代劇を注目している。
その背景こそ、本物の侍の力によるという設定はなかなか興味深い。
そのためのSF
そこに利用したのは、2001年にティム・バートン監督によって制作された「PLANET OF THE APES/猿の惑星」の型
チンパンジーが初めて宇宙へ行く話
そして起きた時間差でのタイムスリップ
これをこの作品の設定にした効果は非常によかった。
幕末の侍が現代へやってきた場所が京都撮影所というのも素晴らしい。
主人公新右衛門は徐々に自分の現在地を理解していく。
現代人であれば必ずあるはずの狼狽
しかし侍は狼狽えながらも自分自身にできることを探し始める。
自分自身に起きたことを他人にも話さない。
そしてこれが自分自身に起きたことであることで、他人に余計な心配をさせないまま自分で身の振り方を考える。
何もかもが驚きの連続でありながらも、自分自身を見失わない。
そして見つけた仕事が斬られ役
殺陣の稽古でどうしても師匠に勝ってしまうシーンは面白かった。
やがて巡ってきたチャンス
そしてまさかまさかの時間差 30年
果たせなかった藩命と変わってしまった世の中
敵同士の静かな会話
しかしどうしても折り合いがつけられない主人公
殺陣に使用する真剣
そこにあったのは殺陣ではなく試合
試合に勝った新右衛門は、最後に自分の中の葛藤を斬ったのだろう。
この二人のことは誰も知らないという設定もまたよかった。
そしてオチには、さらに時間差でタイムスリップしてきたもう一人の侍
おそらくこの三人の侍が日本の新しい時代劇を作り上げていくのだろう。
本物故に演技にスキがない。
見るものを驚かせる。
「拙者には何も失うものなどない」
この意気込みこそ新しい道を開拓する力になる。なったのだろう。
侍とは常に「いまここ」を生きている人物
そして、
「今日がその日ではない」という葛藤と適応しようとする人間味あふれる言葉
中々素晴らしい作品だった。
共感ありがとうございました。
それにしてもR41さんのレビューの切れ味が実に素晴らしい。お見事です。
ところで先日この作品に作品賞を与えた日本アカデミー賞にも敬意を払いたいと思いました。
他人に余計な心配をさせないまま自分で身の振りを考える。
驚きの連続でありながらも、自分自身を見失わない。 私も共感するその生き方に、時代を超え協調しようとする侍の人知れずの思いを想像して胸が熱くなる作品でした。
ー自分の中の葛藤を切ったのだろう。 なんと鮮やか👏
彼の人間味のある言葉同様いつもそう感じ読ませていただいています。