「〝侍〟のカルト映画」侍タイムスリッパー ユートさんの映画レビュー(感想・評価)
〝侍〟のカルト映画
「侍タイムスリッパー」を観た。
何でこれを作ったか分からない。
〝侍〟というのが何なのか定義付けられて無いから〝なんとなくそんな感じがする〟でしか観れない。
「シャドウ・オブ・ザ・ヴァンパイア」を思い出したよ。それを〝侍〟に混ぜた感じ。つまりカルト映画。
「永遠の0」感はある。
日本アカデミー賞を獲りそうな作品ではある。
〝斬られ役〟というのが〝侍精神〟に於いて成功スキルとなっているのがよくわからない。
もっと言えば、劇中で真剣で斬り合うことが侍としての何を意味するのか意味が分からない。
この作品は現代というものを「いい時代になりましたなあ」という所では一貫している。倉本聰の「歸國」のようなことにはならない。その上で〝侍〟というものが登場人物の個人的なものだけということになる。
僕個人で言えば侍というものがイコール日本だとは思っていない。自己確立の一つの定義ではあると思う。
真剣で斬り合うことが面白くて良い、なのか死にたくて良い、なのか分からない。
何で作ったのか分からないというのは飛び抜けたアイデアがある訳でもないということでも思う。
要素として、描かないものを省いた形で進めたような脚本(例えば主人公は何故精神病院へ入れられないのか等)に後半から色々入れ込んであるのが分からない。
自分としては見切り発車にも感じられた。
この作品に於ける〝侍〟というのは所謂〝怪獣〟とか〝吸血鬼〟〝怪物〟等と変わらない。
そうしたものの見せ方はテレビ時代劇的と言えばそうなのかもしれない。
そういうカルト映画として、前半は少し面白いところがあって、後半はやけに真面目になり退屈した。
キャスティングは良かった。
(追記)
そうか、〝超低予算時代劇〟を作ろうとしていたのか。そりゃ何で作ろうとしたか分からない訳だ。
_φ(・_・