「映画作りへの情熱」侍タイムスリッパー sairiさんの映画レビュー(感想・評価)
映画作りへの情熱
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初めて見たのは昨年10月。あっという間に10回の大台に乗ってしまった。久々に楽しく笑えて泣ける映画に当たったので飽きるともったいないから控えようと思いつつ、癖になり、今に至っているのですが、初見では馬木也さんの見事な殺陣と演技力に惹きこまれた。いかつい暗殺者の顔がタイムスリップして、塩むすびに感動し、ケーキで日の本の豊かさに感じ入り、それにしてもよく泣く男に変貌して、楽しかった。ラストの殺陣は何度見ても見事で感動した。そして今、なぜ飽きないのか考えるようになっている。
最初は主役にしか目がいかなかったのだけど、鑑賞を重ねるうちに、この映画は、切られ役や端役に至るまできちんと演技していること、映画そのものに映画を作る情熱を感じさせることに気づかされた。タイムスリップして元の世界に戻れぬ孤独を心優しい人たちに支えられて、切られ役で生きていこうとするも会津の人たちの悲劇を知ってしまい、どうすることもできない悲哀を同じくタイムスリップしてきた長州藩士にぶつけて真剣で勝負することになる。脚本も上手い、安っぽさや嘘くささがない、低予算なんてすっかり忘れてしまう。
画面も美しい。日本アカデミー賞7部門受賞もうなづける。というか、自主製作で各大手映画会社に勝負を挑んでいる構図ではないですか。この情熱たるや、すごい。監督、俳優、スタッフ、一丸となって映画作りをしている。私はその熱気にあたるべく、せっせと映画館に通っているようです。
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