「残念な」侍タイムスリッパー straydogさんの映画レビュー(感想・評価)
残念な
残念なレビューを偶然目にしてしまいました。ケーキを誰もが買えるだけで、豊かな国になった、という主人公のセリフがこの国の現実を反映していない、なのでこの映画はつまらない、という事でした。そこだけを取れば、そうかもしれません。しかしこの映画はファンタジーなのではないでしょうか。悪人は登場せず、登場人物は善人ばかり。現実の醜い面を描くための映画ではないのです。細かい事を言えば過去の人間が現代に来れば、直面する問題は無限にあるのです。実際に幕末の侍が現代にタイムスリップしてくることを前提に、リアリティを前提に描けば、どのようになるでしょうか?現代に来た主人公が周りに理解されず、精神病院に入れられ、生涯を終える・・。あるいはタイムスリップして、撮影所に来た瞬間、撮影所に同じ設定の場面があり、俳優を切り殺し、殺人犯として投獄される・・・。ネット中毒になり廃人になる・・。いくらでもありますよね。
そもそも現代で身分を証明できるものが何もない人間が、すんなり雇用されたりする筈がない。この映画はファンタジーとしての作りなので、リアリティを重視すれば、いくらでも突っ込みどころはあるのです。なのにその映画の趣旨も理解せずに、現実に即していない、というのはどうでしょうか。ひとつ知ってもらいたいのは、私の母親は戦前の生まれですが、幼少期は貧乏で、靴も買ってもらえず、はだしで何時間もかかって通学したそうです。また、お菓子など一年に何度か食べられる特別なものだったそうです。普段は野イチゴを取って、食べることが楽しみだったと言っています。現代の若い人には到底理解できない時代だったと思います。昭和でさえそういう境遇で育った人がいたのですから、幕末なら当時はどういった生活をしていたのか。それだけ考えても、主人公のセリフに私はそれなりの意味があると思いました。
あのケーキのシーンは現代の豊かさを表したというより、当時の会津藩や東北の惨状を表したものと見ました。天明、天保の飢饉では何万という餓死者が出ています。
現代を生きる我々は、食べられることを当たり前と考えていますが、ついニ、三百年前まで、人々が飢えずに安定して生きることは難しかったのです。
主人公のもつそんな時代背景を、あのシーンで伝えることで、映画に深みが出たと私は思います。
演劇を少しやっていた者としての感想。
主演の、名前も知らなかった役者さん。
自主制作映画で、おそらくは低ギャラ。それでも引き受けたということは、他に、これといった仕事がなかったのでしょう。
しかし、全く楽していない渾身の演技。役者生命を賭けているかのような、見事な演技でした。監督も言ってましたね。「彼は、こだわりが強くて、自分が納得出来るまで何回も撮り直してくれと言う。時間はないのに・・」
脚本も見事。有名ではないが、演技力は十分の他の役者さん達。
映画だけでなく、たとえば歌手の世界でも同じでしょう。実力はある。ただ、作品に恵まれていないだけ。
ある有名な声優さんが言ってました。この世界、「運が8割だ」
おっしゃる通りです!
僕もあのシーンはジーンときました。
そりゃ江戸時代の人間にケーキを食べてもらったら、そういう感想になりますよ。違和感なし!
くだらん事で揚げ足取る人は気にせず参りましょう😁👍
初めまして。
評価の★がゼロなので、残念なレビューなのかと思いました。
読ませていただいたら、逆のレビューでした。
評価は編集できるので、評価の★を付けていただけたらうれしいです。