劇場公開日 2024年8月17日

「映画が丸ごとマジックのよう」侍タイムスリッパー ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5映画が丸ごとマジックのよう

2024年10月20日
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鑑賞方法:映画館

なるほど。なるほど、と思う。傑作ではないけれど、忘れていた何かを思い出す。そして『カメラを止めるな』を時折思い出したりして、この自主映画にあって、商業映画にないものを考える。同じ脚本で、別の監督、別の俳優でやったのではこの良さは出ない。そのくらい隙のない傑作とかではないが、その隙の部分にある思い入れと熱量に良さがある、というか、応援せざる得ない気持ちになる。

それから監督が娯楽映画好きなのだろうと思うが、『蒲田行進曲』『男はつらいよ』的なシーンがあるが、『カメラを止めるな』も同じく、なぜもこう大袈裟な、というかくどい芝居のオンパレードなのかとも思うが結構それが観客に受けているのもよくわかる。そしてそれら娯楽映画の伝統芸のようなものが商業映画になくて、自主映画の監督によって再現されているのもいろいろ考えたくなった。とにかく、映画が映画会社の企画だけでなく、作り手のアイデアのものが上映されてよかったと思う。

作品としては、タイトルそのままだけど、武士がタイムスリップして味わうギャップギャグのところはかなり粗い。ツッコミどころも多い。そして武士が撮影所敷地内にしかいないのはもったいないとも思う。ただこれのいいところは中盤からの、タイムスリップしていたもうひとりがいて、それが時代劇で有名な俳優になっていたという設定だろう。そこからもその設定には無理が、、と思うところも多々出てくるが、もうふたりの俳優が熱く、たぶん監督役なども大袈裟に熱いのであまり気にもならないというか、もう応援モードに入って特殊な満足感が襲う。そんな不思議なマジックを見ているような気になる。

ONI