劇場公開日 2024年8月17日

「作り手の時代劇愛が起こした奇跡の一作」侍タイムスリッパー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0作り手の時代劇愛が起こした奇跡の一作

2024年10月19日
PCから投稿

クレジットロールでの、安田淳一監督と沙倉ゆうの助監督(沙倉ゆうのは作中でも助監督役で主演)が担った役割の多さからも明らかなように、ほぼ実写映画水準の制作体制と単館での封切だったにも関わらず、評価面でも興行面でも大躍進している本作、そのどこが素晴らしいのかは各種のレビュー、評論が物語っていますが、結論的に言うならば最終盤の状況を体感したいなら、劇場での鑑賞以外の選択肢はほぼあり得ない、と断言できます。

ドラマ部分の面白さ、熟達した時代劇俳優による見事な剣戟自体は、ホームシアターでも味わうことができるんですが、このクライマックスだけは、演出の特性上、劇場で他の観客と鑑賞体験を共にしている、という状況が必須となります。単に作り手の時代劇愛を表現するのではなく、こうした劇場でしか体験できない要素を入れ込んでいるあたり、映画巧者ぶりがうかがえます。

東映京都撮影所がロケーションの提供などかなり強力に支援しているおかげで、演技、映像共に隙が無い、どころか近年制作の優れた時代劇映画と比較してもかなりの高水準に達しています。少なくとも鑑賞中に、「やっぱ自主映画だね…」などと感じることはほぼありませんでした(序盤の音響に少し引っかかるところがあったけど)。

クライマックスに至る物語の運びと、非常に優れた役どころだった沙倉ゆうの扮する助監督の扱いが、この部分だけかなりおざなり、というかありがちだった点だけ引っかかったけど、作品全体の評価を左右するほどではないと感じました。まずは劇場で、主演の山口馬木也を愛でましょう!

yui
yuiさんのコメント
2024年10月21日

あのシーンはすごいですよね!時代劇愛だけで作った映画ではなく、ちゃんと映画館で観る必然性があるところが素晴らしいと思いました!

yui
みかずきさんのコメント
2024年10月20日

はじめまして、みかずきです

全編、非の打ちどころのない作品ではありません。
粗はありますが、
クライマックスの決闘シーンというストロングポイントが圧倒的な迫力で租を打ち消してくれます。
私は完全無欠な作品より、租はあるが圧倒的なストロングポイントがある作品が好きです。

ー以上ー

みかずき