「「いやぁ、映画って本当にいいもんですね」とはこういう映画を指すのかも。」侍タイムスリッパー hiroishiさんの映画レビュー(感想・評価)
「いやぁ、映画って本当にいいもんですね」とはこういう映画を指すのかも。
高評価を見れば、現代にタイムスリップした侍が切られ役を演じる中で繰り広げられるコメディ映画。で、終わるはずがなく、果たして如何様なモノかと映画館に馳せ参じた次第。
前半はわざとかもしれませんが、自主制作的なカット・音楽、演出を感じさせるも、脚本設定が上手くて、こんなタイムスリップして来た怪しげな人物(主人公・高坂新左衛門(山口馬木也))を鷹揚に受け入れられる人間は、日本では恐らく関西の「おとん」と「おかん」のみであり、そうした受け側家族の設定、また、新左衛門も教養ある武士ということもあってかこの事態への飲み込みも早く、いつまでも「ここはどこだ?」的な話は続けず、早い段階で「切られ役仕事の話」に進められたのは良かったと思います。
ストーリー中盤からは新左衛門の役者として日々成長していく姿を楽しみ、やがて現れる風見恭一郎(冨家ノリマサ)も、大スターでありながら、新左衛門を温かく見守り、互いの葛藤を共有し、新左衛門の思いに付き合う姿に魅力大であり、グイグイ引き込まれて行きます。お笑いシーンもありますが、この映画は総じて熱くて、”真剣”な映画であり、かつ温かいシーンも十分に散りばめられ、私は「この映画の中で創られた映画を観たい」とさえ思いました。そして終盤のヒロイン・山本優子(沙倉ゆうの)が見せた行動に涙腺開放…。
故・水野 晴郎さんの名セリフ「いやぁ、映画って本当にいいもんですね」とはこういう映画のことだと思わずにいられない映画でした。
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