「時代劇の魅力が満載の、時代劇を語る作品」侍タイムスリッパー バーバヤガーさんの映画レビュー(感想・評価)
時代劇の魅力が満載の、時代劇を語る作品
幕末。
ある長州藩士を『討て』とご家老から直々の命を受けて、宵闇の物陰に身を隠す会津藩の侍ふたり。
そのうちの一人はかなりデキそう。
もう片方はいかにも粗忽な足手まとい。
一方、狙う相手は精悍な顔つき、無駄のない所作。
もうこれだけで、次の展開がいくつも頭の中で高速回転する。
が、しかし、その予想のはるか上を行く大展開!
宿敵は何十年経っても憎い敵か。
命をかけて守ろうとした幕府が140年前に滅びていたとしても。
幕末からタイムスリップしてきた下級藩士が、
「日本(ひのもと)は、よい国になったのですな」と、ありふれたいちごショートを口にして涙ぐむ。
タイムスリップものにお約束の時代ギャップだけでない、確かな問いかけがここにある。
会津も薩長も、確かに日本をよくしたかった。
確かに。
維新、敗戦、震災を超えて、
戦争に参加せずに平和に暮らす日々を当たり前と思う社会は何ものにも代えがたい。
ありがたい、良い国になったのだ。
一緒にぶっ飛んだ(タイムスリップした)長州藩士は、会津藩士より30年前の時点に落下していたという設定には膝を打った!
おかげであの時の敵は、すでに30才年を取っている。
体力的にはこちらが上、勝ち目は五分と五分になっている。
そして、あり得ない真剣を使った決闘シーンの撮影、幕末の、あの日の斬り合いの続きへと突入していく。
とにかく脚本がおもしろい。
殺陣もすごい。
見ている方はもう、ハラハラするし、ウルウルくるし、ヒェーってなるし、えええ⁉︎ってたまげるけど納得するし、
最高。もう一回見たい!
▪️時代劇の魅力がガチンコで詰まっているけど、時代劇を作る令和の人たちを描くというスタンスを取ることによって、一歩引いた笑いが生まれている。
▪️斬られる役なのに、殺陣師の先生の打ち込みをついつい返してしまう場面、わかっちゃいるけど笑っちゃう。あまりに上手い。
▪️会津藩の最後を知って号泣する場面、劇場内ではもらい泣きする人がたくさん!それでも立ち直る姿にさらに胸熱で泣ける。