劇場公開日 2024年8月17日

「脚本が、MVP!MVP!」侍タイムスリッパー モッチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5脚本が、MVP!MVP!

2024年10月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

職場の映画好きな先輩から、この「侍タイムスリッパー」のことを聞いてから、ずっと気になっていた。

イオンシネマ太田で、観られるチャンスが巡ってきたので、早速観てきた。

観た感想を一言で表現すると、「脚本が、MVP!MVP!」。

大谷翔平が、敵地の球場のバッターボックスに立った時にかけられる声援、「MVP!MVP!」をパクってしまった。

映画の根幹を成す脚本が、練りに練られていて、素晴らしかった。

幕末の会津藩士高坂新左衛門が、タイムスリップしたのが、現代の時代劇撮影所。

侍としての経歴が、そのまま生かされる場所なのが、絶妙だ。

140年後の日本に来た高坂新左衛門にとっては、見るもの、聞くもの全てが、初めてのもの。

どうしたら良いのかわからず、途方に暮れる。

しかし、まわりの親切な人々の支えもあり、前向きに努力を重ねて、斬られ役として成長していく姿に、感動した。

斬られ役の殺陣のやり方を教わっている時、「ここで、こう斬られる!」と言われて、通してやっていくが、侍の性なのか、斬られるところで斬られず、かわして逆に斬っていたのには笑🤣った。

時代劇に対する、愛やリスペクト、衰退した現在の時代劇を、何とか盛り上げようとする熱量が、凄まじかった。

おばあちゃん👵っ子として育った助監督は、子供の頃祖母と一緒に時代劇を観て、大好き❤️になった。

小学生の頃のクリアファイルが、「暴れん坊将軍」だった、と聞いた高坂新左衛門は、「暴れん坊の将軍のもとで仕えるは、きつそうだな!」と、呟いていた。

ラストの緊迫感のある、鬼気迫る殺陣は、圧巻だった。

これを観たスタッフが、「本物の侍がいる!」と表現していたが、大袈裟ではないと思った。

この見事な殺陣を、上手く引き出したのが、高坂新左衛門が斬ろうとしていた、長州藩士との再会と、同胞の会津藩士達の、悲惨な最期を知ったこと。

高坂新左衛門は、この長州藩士一人が悪いのではないことは、重々承知しているが、やり場のない怒り💢💢💨をぶつけずには、いられなかった。

さらに掘り下げて見ると、タイムスリップのさせ方が絶妙であったことが、この名シーンを生んだと思う。

また、この絶妙なタイムスリップのさせ方は、お茶目なオチも演出した。

自主制作作品でありながら、東映京都撮影所の特別協力を得られた要因は、ひとえに脚本の面白さにあると思った「侍タイムスリッパー」だった。

モッチ