「「つくる」ことへの愛情」侍タイムスリッパー キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
「つくる」ことへの愛情
クチコミで話題の作品が、ようやく我が町にもやって来た。
驚くことに、平日昼間の上映回、観客席はほぼ満席。平均年齢はゆうに60歳を超えていただろう。
幕末からタイムスリップして来た男が、現代の「時代劇」の現場で自らのパーソナリティを開花させていくお話。
ほぼ自主映画ということで、映像作品として細かな部分の「粗さ(特に気になったのは中盤辺りまでの「音」かな)」は散見されるものの、全体を包むグルーヴの中ではたいして気にもならない。
「タイムスリップ」なんて、使い古されたネタであることは確かだし、ギャグも吉本新喜劇的ないわゆる「ベタ」なノリで繰り出されるんだけど、ドラマパートはきっちり泣かしてくるし、時代劇の「殺陣」と、侍としての「覚悟」を物語に乗せたのは、本当に上手いと思った。
主人公たちは、多くを語らない中でお互いの気持ちを察し、ある目的のために覚悟を決めて最後の撮影に挑む緊張感ビシビシのラスト30分。
何より役者陣の素晴らしいこと。
登場するのは大半が中高年なんだけど、全員のキャラがすごく立ってて、愛らしい。(お寺のご夫婦や殺陣の先生とか最高)
そして、時代劇への愛情が全編に溢れてた。
今回はネットの話題で知ったけど、こういう出会いがある映画ってたまらないよね。
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