「職人たちの荒ぶる魂」侍タイムスリッパー コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
職人たちの荒ぶる魂
1 幕末から現代にタイムスリップした侍の姿を通して映画制作の裏側や侍の高潔な魂を描く。
2 県内唯一の上映館で、休日午前の回に出掛けた所、座席が90%以上埋まっていて驚いた。
低予算でも作り手の工夫や情熱で面白い映画を作り上げれば、人が動く証明となった。
3 メリハリの効いた起承転結による物語の構成が秀逸だった。プレタイトルの門前のシーン(起)で一気に観客を引き付け、旧敵との思いがけない出会い(転)が話を転がし、呼吸を忘れるほどの壮絶な切り合いが緊張と緩和のカタルシス(結)をもたらしてくれた。そして、最後の落語で言うところのオチで仕上げた。
4 本作は、質の高い劇中劇のシーンが数多く出てくる。それを支えたのは、時代劇の撮影所、俳優や殺陣師、撮影、音響、美術スタッフなど多数の職人たち。それぞれがとても良い仕事をした。娯楽的な殺陣と切り合いの殺陣との違いが凄すぎた。無名ながら演出した監督のオリジナル脚本と熱量が、彼らを本気にさせ荒ぶる魂が結集した。
5 主演の俳優の顔付きや所作、剣さばきは侍そのものであろうと思わせてくれた。そして彼の節度ある行動様式や個人主義を排した思想信条は、日本人の心の源。助演の俳優二人は、重厚さと娯楽性の両面を表した。主演と旧敵との切り合いまでの自問自答と対話は苦悩と覚悟がないまぜとなり娯楽映画にない深みとなった。また、殺陣師の存在感とセリフは本物志向の作品であることと切られ役の悲哀を存分に伝えてくれた。寺の住職夫婦は狂言回しとして、絶妙なしゃべくりと空気感で本作の人情喜劇の側面を表した。
みかずきです
共感ありがとうございます
コショワイさんのレビュー、
作品を的確に詳細分析してありクオリティーが高いです。
文章毎に数字が付けてあり文章間を一行空けているので読み易いです。フォローさせて頂きます。
レビュー歴は長いのでしょうか?
私、10年程前から、キネマ旬報、kinenote、yahoo検索などに映画レビューを投稿しています。現在の目標は2回目のキネマ旬報採用です。
こちらのサイトには2022年2月に登録しました。
宜しくお願いします。
ー以上ー