「「今日がその日ではない!」ま、タイムラグもあるからね。追記:監督の支払もタイムラグ?」侍タイムスリッパー Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
「今日がその日ではない!」ま、タイムラグもあるからね。追記:監督の支払もタイムラグ?
9月19日(木)
TVで、プロバスケットボールの選手が並行して米農家をやっていて年45トンもの米を収穫しているというのを放送していたが、いきなりこれから観に行こうとしている「侍タイムスリッパー」が出てきて、本作の安田淳一監督も映画監督と並行して米農家をやっているとの事。映画を観に行く前に意外な情報を得てしまった。
単館上映から拡大された「侍タイムスリッパー」をTOHOシネマズ日比谷で。
幕末の京都、会津藩士高坂新左衛門は家老から長州藩士を討つ密命を受け寺の門前で待ち伏せるが、出てきた標的の男と刃を交えた瞬間、刀に落雷し気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。武士の格好は撮影所に溶け込んで違和感がない。所内を歩いているうちに頭を打って倒れてしまう。助監督の山本優子に病院に運ばれるが、病院を抜け出して現代の町をさまよううちに徳川幕府は140年前に倒れたことを知り衝撃を受ける。過去には帰れない。頭を打ったので一時的な記憶喪失と思われて寺に居候させてもらった高坂は、助監督の山本に頼み込み、撮影所で切られ役として生きてゆくことを選択する。殺陣を教える師匠の思い。根が真面目な武士の高坂はそれを吸収して、優秀な「斬られ役」となって行くのだが・・。
いやー、参った。お見事と言うしかない。東映撮影所の協力で撮影出来たとは言え、チャンバラ愛、時代劇愛、撮影所愛、殺陣師愛、斬られ役愛、淡い恋心、そしてお米への愛から武士の魂への思いまでがあふれた作品だった。
高坂が、あまりにもあっさりと(過去に帰りたいと願うシーンはあるが)タイムスリップした自分の現状を受け入れてしまうのは少し疑問だが、それ以外は脚本が見事だと思う。
町をさまよい空腹の時に食べた白米のおにぎり、「こんなうまいおにぎりは食べた事がない」(これは米農家の安田監督が作った米らしい)。寺で出されたイチゴのショートケーキを口にして「これは・・?」「普通に売っているよ」「日の本の国はこんなに美味いものが普通に食べられる良い国になったのか」と感激する高坂。
旧会津藩の人々の窮状を時代劇脚本の改訂稿で知った高坂の慟哭、抑えきれない感情によるクライマックスの本気の斬り合い。タイムスリップの二重、三重のひねり。ラストの「落ち」には大爆笑だ。
クレジットには斬られ役の第一人者で、「5万回斬られた男」とも呼ばれ2021年に亡くなった福本清三さんが出てきたのも愛か。(IN MEMORY OF SEIZO FUKUMOTO)
良い脚本と映画愛が生み出した素晴らしい映画だった。
拡大公開されているのだから多くの方々に観て頂きたい。
追記:TVでも取り上げられ、監督も出演していたが、「拡大公開されロングランになるのは嬉しいが、興行が終わらないと支払いがされない」との事。映画製作に使って残高が7000円を切った通帳をまた出していたが、お米も映画も丁寧に作っている監督に早く支払いしてあげて下さい。
コメントありがとうございます。
福本さんの名前が出たとき、斬られ役レジェンドへの敬意の表れかと思ったんですが、当初は殺陣の師匠役として出演してもらおうとしていたと後で知りました。時代劇愛ですね。
カメ止め、俳優さん達がノーギャラだと話題になりましたからねー。
その件、書こうと確認したらカメ止め監督のXがHITして、あの後追加報酬払いました、と書かれていたので触れるのはやめたのです。
なるほど、カメ止めの影響でしたか。
蒲田、あら嫌だw
気付いてくださりありがとうございます。予測変換って勝手な造語を作ってくるから要注意ですねw
わたしは確信する、にコメントありがとうございます!
袴田さんの無罪、本当に良かったのですが失われた60年間と彼の精神の安寧を思いますとやるせない思いに胸が痛みます。
本作、興行が終わらないと支払われないのですかー!
そんな仕組みだなんて。新米の時期ですから少しはしのげるのかな、監督。
山口さんや冨家さんも今後もっと日の当たる大抜擢に恵まれると良いですね。
え〜っ⁉️
興行が終わらないと監督への支払いがされないのですか!
未来映画社の代表でもあるので、配給フィーが興収に対するパーセンテージ契約なのかもしれませんね。興収が固まらないとフィーも固まらないっていう…。
故福本清三さんは峰蘭太郎さんの殺陣の師匠でもありますね。
今晩は。
コメント、いつも有難うございます。
大先輩に褒められると嬉しいですね。今作は全くノーマークで、フライヤーも無かったのですが、気になっていて漸く観れました。
何よりも嬉しかったのは、ミニシアターだったからかもしれませんが、頻繁に起きる笑いと後ろの席の女性が涙を啜る音と、客電が上がった際に起きた拍手と若い人が多かった事でしたね。
多くの若い人に見て貰い、時代劇も観て欲しなあとも思いました。(劇場で時代劇を見る時には、間違いなく私が最年少の事が多いので。)
では。これからも、宜しくお願いいたします。
コメントありがとうございました。菊川は小さい映画館ですが、良い劇場です。ただ、安田監督の過去作は上映機会増えると思いますし、今後行きやすいところでも上映機会があると思います。
おはようございます!
コメントありがとうございます。
『ぼくのお日さま』があまり説明的ではない脚本かつ90分の尺であれだけ表現していたのを見たあとだったせいか、こちらの映画の雑なところが気になってしまったのかもしれません。
共感ありがとうございます。
脚本や設定を工夫すれば評価される作品になるのが喜ばしいですね。幕末でもあまりモテてなかったようで、30年の先輩風吹かされてましたね。
こんばんは。
コメント失礼致しますm(__)m
とても良い映画でしたね!
Mr.C.B.2さんのレビュー、共感ばかりでした。
私もおにぎりとケーキのくだりが印象的でウルっとなりました。
あのおにぎりが!ピカピカで真っ白のお米!こちらも監督の愛情がたっぷりなんでしょうね。
「5万回斬られた男」福本清三さん。存じ上げませんでしたが、斬られ役のレジェンドなのですね!クレジットにそんな粋なはからいがあったとは!又感動してしまいました。