「フィクションの中のリアリティ」侍タイムスリッパー サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
フィクションの中のリアリティ
上映館たったの1館で始まり、クチコミで大きな話題を呼んだことで全国での上映が決定。こんな風に小規模でも面白い映画がしっかりと評価されているのを見ると、もうそれだけで心が温まるし、全国にはたくさんの映画ファンがいるんだなとすごく嬉しくなる。
しかも、本作のテーマが時代劇という『伝統の存続』であったため、こうして多くの人の手に渡っていったことがそのテーマと偶然にも重なり、とんでもなく胸が熱くなった。監督はもちろん、制作に関わった全ての人の映画愛、そして時代劇愛が作品に反映されており、観客はそれを見て打ちのめされる。やっぱり、映画って最高だな...。この映画を見てそのことをとにかく痛感させられた😭
この映画は何の情報も得ずに見て欲しい。色んな仕掛け、様々な映画愛、さらには客層の暖かさにまで驚かされる。タイムスリップとして見てもよし、時代劇として見てもよし、流行に乗っかってみようと見てもよしで、どんな方面から見ても想像を超える楽しさがあり、そしてこの映画にしか出来ないラストが待っている。
山口馬木也が表現する武士の解像度の高さが異常と言える程で、タイムスリップコメディとしてとにかく笑える。しかもしつこさはなく、程々に押えておきながら、監督・制作陣が伝えたかった想いをゆっくり、しっかりと語っていく。このバランスの良さこそ、本作が低予算ながらに高く評価されているところだろう。
大好きな時代劇。この映画では大物俳優の起用により注目を集める、という設定であるが、現実はなかなかそう上手く行かず、近年劇場公開された「仕掛人・藤枝梅安」も「鬼平犯科帳 血闘」もオールスターで傑作にも関わらず、興行的には苦戦を強いられることに。本作をきっかけに、少しでも時代劇に興味を持ってくれたら。
奇遇にもSTARチャンネルオリジナルドラマ「SHOGUN 将軍」が世界のドラマに贈る最高の栄誉・エミー賞を受賞したことで、時代劇というジャンルが国内に限らず、世界中から日の目を浴びることに。高坂も言ってたように、時代劇とは義理も人情も人の闇も苦しみも全てが詰まっている、最高のジャンル。どうか、どうかこれからも時代劇が制作され、評価される世であって欲しい。こんな映画を作ってくれたこと、そして全国上映に漕ぎ着けてくれた池袋シネマ・ロサの全ての映画ファンにありがとうと心から言いたい。
低予算でもここまで人の胸を打ち、感動させられるものが作れる。しかも、それが絶滅しかけている時代劇というそんな画期的な作品。大袈裟ではなく本当に、この映画が日本映画の今後を変えることになるかもしれない。
たしかに、低予算が故に安っぽさは感じるし、予算があればこの監督はもっともっといい物をつくれるはず。だけど!そんな中で、そんな中だからこそ、商業映画では絶対に見られない創意工夫が凝らされているし、この映画にしか出来ないことで溢れている。本当にすごい映画を作ってくれた。これから沢山、安田監督のような才能あるクリエイターが活躍できるよう、また安心して映画製作が行えるよう、日本政府はエンタメ事業にこれまで以上に予算を当てて欲しいと思う。今後の日本映画の革新を願って。
>山口馬木也が表現する武士の解像度の高さが異常と言える程で、タイムスリップコメディとしてとにかく笑える。しかもしつこさはなく、程々に押えておきながら、監督・制作陣が伝えたかった想いをゆっくり、しっかりと語っていく。このバランスの良さこそ、本作が低予算ながらに高く評価されているところだろう。
大いに共感しました。本当にこの役者さんが良かったです。恥ずかしながら初めて知りました。
>奇遇にもSTARチャンネルオリジナルドラマ「SHOGUN 将軍」が世界のドラマに贈る最高の栄誉・エミー賞を受賞した
国内ではこの映画のブレイクと、ほんと凄いタイミングですね。時代劇、盛り上がって欲しい!