「お見事でござる」侍タイムスリッパー bionさんの映画レビュー(感想・評価)
お見事でござる
ラストの緊張感、コメディー作品であることがまるでウソのよう。満員の場内が固唾を飲んで成り行きを見守る。
相手の初動を窺って静止画のように向き合う2人。ここでまさかのお預けエンドなんてことも頭によぎる長〜い時間が経過した後の怒涛の立ち合い。本物の時代劇がそこにある。
コメディーの文法通りというか、わかりやすいフリにわかりやすいツッコミ。なんだけど、笑いのツボが自然に押される感じで、思わず笑ってしまう。
さっさと逃げてしまった徳川慶喜の代わりに明治維新の生贄にされてしまった会津藩。その悲劇の前に高坂新左衛門は現代に召喚されてしまう。時代劇撮影所に現れた新左衛門のくだりは、予告で知っていたんだけど最高に面白い。このシーケンスは、リハーサルと本番テイクを上手く組み合わせていて、笑いの波が押し寄せてくる。
時代劇の切られ役として今の生活に慣れてきた頃に、新左衛門は会津藩の悲惨な行く末を知ってしまう。新左衛門の慟哭に、こちらも涙を誘われるが、この新左衛門の魂の叫びがラストへの大きな伏線となっているだけでなく、物語に大きな厚みを加えている。
この作品は、大勢の観客と喜怒哀楽を共有することによって、2倍にも3倍にも感動が深くなります。とにかく、劇場で観てみてください。最大限に推奨します。
共感&コメントありがとうございます。
時代劇ファンにも、タイムスリップ物好きのSFファンにも観てもらいたいですね。
登場人物は大人ですけど、少年ドラマシリーズみたいな味わいが。
先に飛ばされた風見は、手にかけた者の記憶に時代劇を辞めてしまい、双方トラウマに苦しんでる所が新しい視点だったと思います。言い合いしてるのに、カメラは通い合ってる様に映ってるのも面白かったですね。
コメントありがとうございます。
奇を衒わずに面白いって、案外すごいことですよね。
普段は好みませんが、本作なら隣に人がいても逆に楽しめそう。
最後の“斬り合い”も大スクリーンで観て欲しい!!
>固唾を飲んで成り行きを見守る
まさに、俺もそうでした。
「真剣だから、間違ってかすっただけでも切れちゃうから、緊張するよな」って、観ている間ずっと本気で思ってましたからね。