ラストマイルのレビュー・感想・評価
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すべてはお客様のために
テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」は観ていなくても、「ラストマイル」はオリジナル脚本で1話完結するストーリーなので、そのことが鑑賞の妨げにはならないだろう。
観客動員数、興業収入が記録を更新しているのは、そのドラマが根強い人気を誇っていて、続編を期待して、普段足を運ばないファンが映画館に来ているかららしい。
すべてはお客様のために、一見聞こえのいい言葉だが、それを実現するために、裏側ではとてつもない軋轢や歪みが生じているということを、経営元、物流センター、運送業者、荷物を配送する人と受け取る人まで描くことによって、白日の下に晒している、そこに労働者の1人として共感できた。
また、ノンストップムービーというところも、最近ダラダラ展開していくシーンが多いミニシアター系の映画ばかり観ていたせいか、そのテンポ感、スピード感がとても心地よく、飽きずに観通せた。
でも、サスペンスの部分は、なぜ従業員は飛び降りたのか、なぜその彼女は爆弾を仕掛け罪のない人を犠牲にしたのか、その動機がはっきりわからずモヤモヤした。そこは想像に任せるということなんだろうか。
この映画は、結局、過重労働が問題になっている。今私はECサイトの仕事に従事しているが、それよりも大学生の時に経験した巨大印刷会社の深夜の工場バイトを思い出した。365日24時間止まらないベルトコンベア、ストップさせることは許されない。資本主義のグローバル化は加速し、製造業だけでなく、流通業へと膨張し続けている。
巨大資本主義はなにもかも呑み込んで利益のために人を動かそうとする。資本主義と対決することは難しい。自分たちもその土台にのっていないと生活できないからだ。でも、資本優先になり過ぎた社会が明らかに歪んでいるのも確かである。
犯行動機はわかったが、腑に落ちない
巨大配送センターから出荷された荷物に爆弾が仕掛けられ死傷者が出る。
配送センター所長舟渡と梨本は一見無差別テロに見える爆弾魔を阻止できるのか、翻弄される配送業者や警察を描きながら、犯人の目的、動機誰の仕業なのか、伏線を配置しながら二転三転する展開は面白く、日本の配送の現状、問題点をからませながらエンターテイメントとして成立して評価できる。しかし犯人と犯行動機がわかった時、興が冷めてしまった。
飛び降り自殺を計り昏睡状態の恋人の復讐なのだろうが、どの家庭に届くかわからない荷物に爆弾を仕掛けるだろうか?それこそ幼い子供の命を奪いかねない。犯人の女性は初めの爆弾の被害者として自死してしまう。結末を見る前死ぬのとはどういうつもりなのか?つじつま合わせのような顛末だ。
犯人の心情をあまり描いていないので腑に落ちない。
下請け運送屋がいい味だしてる
宅配便の荷物、開けられなくなるわ。
前半、謎呼ぶ展開はワクワク感が止まらなかった。 中盤以降は種明かしになってくるので、サスペンス要素が減ってきて少しだが緊張感がなくなってきた。まあ、当たり前だが。
途中、満島ひかりが爆弾に触れてアタフタしているところに爆弾処理班が乱入してくるくだりは、ボーっとしてたのか正直意味わからんかった。
オープニングででてくる下請けのおっさん2人の運送屋はなんの意味があるのか途中わけわからんかったが、ラストの展開はハラハラしたのは事実だわ。
ドラマ「アンナチュラル」や「MIU404」と同じ世界線の物語として...
ドラマ「アンナチュラル」や「MIU404」と同じ世界線の物語として描かれてるとの事でNetflixでドラマを見て映画館へ。
間に合わなかったあとの物語を描く「アンナチュラル」そして最悪の事態になる前に間に合わせる「MIU404」。
この映画 「ラストマイル」はちょうどその中間をいく物語。
ドラマ2作品を見ていなくても楽しむことができるけど、やはり俳優さんらのキャラクターを知った上で見た方が絶対面白いと思う。
この映画、始終ヒヤヒヤ。
爆破も怖いし、犯人が誰かも怖い。
責任のなすりつけ合いな人間性も怖い。
鑑賞後…感想として犯人は確かに悪だとは思う。
けれども失くして、壊して、奪われた側でもあり、がらくたにされた被害者側だとも思った。
運輸関係者以外が知り得ない世界観。
これを題材として「ラストマイル」のような作品が出来た。
パフォーマンスやノルマ、どうでもいい数字を上げなきゃいけない不条理の中で、スピードまでもが求められる今の世の中。
がらくたにならないよう問題提起されてる気がした。
今まで利便性や効率性のことしか考えず、配送に頼った自分の生活スタイルも見直さなくちゃだ。
この業界の裏側を知りとても考えさせられるものがあった。
荷物が届くのは奇跡的なこと。そして敬意を表したい。
満足感あり!
アンナチュラルとMIUはほぼ出てこない
同業者として胸に刺さる作品
エンタメ性、社会性、観て損なし!
アンナチュラルが大好きでした。今回MIU404もコラボしているとのことで、しっかりドラマを見て予習完璧でいざ鑑賞です。
映画館は結構大きめな劇場でしたが、満員御礼!皆さんの期待値があがります。
結論からいうと本当に今の便利な世の中を支えてくれている物流業界の闇をみた感じです。でもそれもそれぞれの立場にその立場なりの正義があってとても難しい問題だと感じました。
予習した割にはアンナチュラルとMIUは本編にそれほどの影響はありません。未視聴の方でも全然楽しめます。ただ見ているとそのドラマを思って胸アツになるというオマケ的な感じ。
満島ひかりさんはこの役にすごくあってましたね。もう満島さんの存在感で最後までスピード感をもって観れます。岡田将生さんもちょっと斜にかまえた感じの役がいつもはまって大好きです。
野木さんの作品はエンタメ性もあり、社会問題も取り入れたりして本当に楽しめます。しかしアンナチュラル信者としてはここぞというときに米津さんの歌が流れるのが醍醐味だったわけで、映画だとそれがないのがちょっと残念。
ちなみにMIU404を見て、いいときに流れる米津さんの歌を聞いてやっぱりいい!となり、ネットでCDポチってしまったんですが、恐ろしい速さでうちに配達されました。
時の社会問題を平凡に描いた
結論から言えば、映画としては平凡だった。
タイトルの「ラストマイル」とは物流の最下流のことだが、事件はもっと上流の物流倉庫内でも起きていた。今、社会問題になっている物流業界の闇を取り上げている。外資系EC物流大手と日本の中小宅配業者という関係性は、この業界でなくとも世界の産業構造の縮図を見ているようで衰退した日本を憂う者の焦燥感をも誘う。離職率の加速や責任の所在が不明瞭な臨時社員を酷使する雇用形態。事件の背景にある社会問題をわかりやすく描いている点では共感を得やすい。
一方で、映画としては、平凡に過ぎない。爆発シーンの迫力こそは臨場感を感じたがそれ以外は普通のドラマだ。役者は、率直に言って満島ひかりが物足りない。主役の重要な役処を演じきれてない。さながら薄っぺらなキャリアガールのノリだ。実績のある女優だけに残念だ。対して岡田将生や星野源は役柄を違和感なく演じきっていて感心した。往年の二枚目(?)俳優の火野正平はこの手の役柄には妙にハマる。そして何と言っても「ラストマイル」を担う運送業者の関東局局長役の阿部サダヲの好演ぶりは微笑ましい。
余談だが、このような社会構造は古くから欧米にあったもので、塚原あゆ子監督には、これを日本に持ち込んだ政治家や経済学者の闇に切り込むようなテーマを題材にした社会派の映画作りに取り組んでほしいと感じた。
ハイスピードで見応えあり
私の中の「ベスト3」に入る感動作!
ぐっと ぐっと刺さった
ロジスティクスの世界の様々な人間ドラマを詰め込む
働く全ての人に畏敬の念を
この作品から何か教訓を得るとするならば、上記の言葉になるかもしれない。
本作は物流業界に携わる様々な立場の人間のそれぞれを細やかに描写することで、「資本主義」が引き起こす問題を提起する社会派映画だ。
良いサービスの裏には悪い労働環境がある。安いチェーン飲食店の従業員の顔はいつも死んだ魚のようだったことを思い起こした。
「すべてはお客様のために」
これは高尚なスローガンかもしれない。しかし、それは呪縛のように労働者の逃げ道を塞ぐ。消費者はその恩恵を受ければ受けるほど苦しさが巡り巡って(労働者としての)自分自身に返ってくる。
この作品における犯人はこの社会の仕組みなのだ。
しかし、このことの是非について語ること自体は建設的でない。
この映画を通して私は、全ての労働者に敬意を持つことで消費者として経済に関わり、一方で、自身の労働に誇りを持つことで生産者として経済に関わるべきなのだと学んだ。
意義ある問題提起をこのようなエンタメに落とし込めている点で素晴らしかった。
一方で(扱っている題材を鑑みれば、致し方ないが)、登場人物や場面転換の多さから破綻していないとはいえ、出てくる一人一人に感情移入することは難しく、物語としてのテンポが遅いことも気になった。
エンタメ映画としては、あまり面白いものではなかったように感じてしまう。
5.0 人生観を変えられる名作、宝物のような映画
4.5 何十回と見返したい傑作、何年経っても思い出せるほどの感銘を受けた映画
4.0 複数回見返したい秀作、自信を持ってお勧めできる映画
3.5 見返すほどではないがとても面白い良作、観る価値がある映画
3.0 所々ツッコミどころはあるが面白い佳作、観ても時間の無駄にはならない映画
2.5 全体として面白くはないが最後まで観れる凡作、暇であれば観る価値のある映画
2.0 頑張ってなんとか最後まで観れる駄作、観ても時間の無駄となる映画
1.5 寝てしまうほどつまらない愚作、作り手を軽蔑する映画
1.0 論外、話すに値しない映画
期待度△鑑賞後の満足度◎ エンタメの形を借りて私達の生活を支える物流業界とその問題、本当の犯人は少しでも早く安くという人間(勿論、私も含めて)の果てしない欲望であることを突き付けてくる。
※2024.09.01. 2回目の鑑賞(「TOHOシネマズ橿原」) 何故か気に入ってしまって連日で鑑賞。
①今回特に感心したのは脚本の巧みさ。冒頭十数分の間に殆どの伏線と手掛かりを散りばめている。
②あと、プロデューサーも女性でしたね。
③同じ仕事でメンタルになった経験のある女性を主人公にしたのも感心する。
女性ならではの視点ですかな。
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①少し日本映画界を見直した。
②二つのTVシリーズは観たことがないので、エライ豪華な出演陣と思ったらそういうことね。
③監督も女性、脚本も女性、主演も女性、犯人も女性、ラスボスも女性。
これからの日本はもっと女性のパワーを生かしていかないとね。
④バリバリ仕事する女性を描く一方、生活と子育てに苦闘するシンクルマザーを描いているのも女性ならではの視点とも言えるが、やや類型的なのとラストの一押しの為に付け加えた様な感じで少し惜しい。
⑤満島かおりは熱演はもとよりこの大作を一人でしょっている。頼もしい女優に成長したものだ。『愛のむきだし』や『悪人』の頃も好きだけど。(思い返してみたら、満島かおりと岡田将生は『悪人』で共演してるんだよね。今回は立ち位置が逆転していて何か面白い。)
出演陣の中では孫請の運送業者をやっている火野正平と宇野祥平のショウヘイコンビが良い味。
⑥『ラストマイル』の意味がわかったところは少し涙が出た。
いくら良くできた製品を作ったところでお客さん(消費者)のところに届かなければ意味がないのだ。
⑦ほぼ破綻なく大作を纏めあげた監督の胆力はなかなかのものだが、もともとTV出身の人だからか、演出やカメラワークに特にこの監督ならではという味がないのが残念。
芸術作品ではないから仕方ないか。
消費社会
物が多すぎて、大量な消費社会。
物欲にまみれてポチっと押すだけ。
現代におかれている社会問題をストレートに。
脚本、演出はさすがである。
アンナチュラル、MIU404のメンバーも出てくる。
そりゃ、映画を観に行くだろう。
伏せん回収も完璧だ。
個人的にはwしょうへいに殊勲賞を与えたい。
『いい洗濯機使ってますね』
この言葉が刺さる。
自分を排除した会社の製品を誉めるとは。
理想と現実、生産性も別物。
誰もが追い詰められるかも知れない
歪みを描いている。
この映画のすごいところ
簡単に言うと、オリジナルの映画というところだ。
原作は無い(下敷きにドラマがあるがドラマもオリジナルだ)現在の映画界では稀有な存在だ。売れるかわからない博打を打っている。しかし、過去のドラマがとても良い出来だったこともあり、勝算がないわけでは無いが。
あくまでオリジナルの映画がシネコンで大々的に放映され話題になっている。この映画に触発されて原作ありきの映画だけでなく、もっと挑戦的な映画が作られる流れになるとこの映画は映画史に残るかもしれない。
ラストマイルの世界線にあるドラマは2つとも見て好きだったので期待して見たが、期待に応えたと言って良いと思う。見応えはあるし、社会的な問題を考えるキッカケにもなる凄い映画だ。しかし、ドラマ見ていないと入り込めない世界観は諸刃の剣だ、観てなくても楽しめると思える映画が良いよなと、欲張りすぎだけど。
気になったのは、この映画は先ばかり見ている気がする、前のめりすぎると言うべきか、例えば爆弾を仕掛けた犯人はもっといろいろできたんじゃ無いかとか、犯人の恋人とのあれこれがかなり置いてけぼりだと感じたので、そこに感情移入は難しい。
出ている役者は一級品でした。長くなるので満島ひかりは,絶品の演技だったとだけ。全員良かったけどね。
大ヒットしたらこれからのシリーズものになることを期待しつつ、この余韻に浸りながら次の作品を待とうと思う。
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