ラストマイルのレビュー・感想・評価
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お客様の欲望のために私たちは商品を届け続ける
お客様ファーストですべての商売が進む、現代日本。夜中に頼んだ本や日用品が、半日も経たずに送料無料で届く。便利だよなあ。安いよなあ。こんな行き届いたサービスが成立するのは日本くらいだよ。だけど、裏を返せばその便利さの代りに犠牲になっている、人、もの、時間、金、がある。僕は、この映画のハラハラドキドキ展開にワクワクする気分よりも、そっちの、犠牲になっている方へついつい感情が引っ張られてしまう。満島ひかりや岡田将生の危難をかいくぐる爽快感もいいんだけど、阿部サダヲや火野正平や宇野祥平たちの抜け出せない徒労感の方に、シンパシーを感じて止まない。
だから、あれで終わった、よかったね、って僕の中ではならない。このままずっとこんな社会でいいのか日本、って気分のまま。それじゃ映画見てもつまんないでしょ?って言われたとしても。だって日本は、”人が飛び降りてもベルトコンベアが数秒間止まっただけの現実”はこの先もかわらないんだろうな、って思うから。
頼んだものが家に手元に届く、キセキ
街中で無数に見かける配送トラック、個人ドライバー、バイク便、人力車で汗だくになりながら運ぶ姿にこれから敬意を払わずにはいられない映画でした
どなたかのレビューにありましたが、システムの奴隷に人がなってきている現代だと思いました
カスタマーセントリックがマジックワードなのは一貫したテーマ。
というか、序盤から少しずつ少しずつ色んな登場人物とその背景を小出し小出しにして、ラストで回収して見る人の心を掴む手法は、アンナチュラルでもMIU404でもあった、最高の脚本だと思いました
武蔵野LCのベルトコンベアの音が終始効果的に使われている点も、シリアスさが伝わってよかったです
綾野剛ファンとしては、伊吹×志摩パートがもうすこーしあると嬉しかったです(笑)
だがしかし、大倉孝二×酒向芳 の高身長おじさん達も面白かったので推せます(笑)
さすがの野木脚本。 MIU404、アンナチュラルファンとしては嬉し...
さすがの野木脚本。
MIU404、アンナチュラルファンとしては嬉しい演出多数。満島ひかりも岡田将生も非常によかった。
ドラマの続編を是非
そうか、2024年問題だったか
「うわー、すっごいありそう」
途中まで観てて思ったこの感想がなにか頭に引っかかっていたのだが、他の方のレビューで気づいた。
「そうか、2024年問題だったか」
満島ひかりが好き。
こういう脚本好き。
ちょっと最後はショックだったけど、やっぱりそういうことだよな。
最初ですんごい伏線張りまくってるんだけど、それが「これ伏線なんだろうなぁ」と思わせたところがメインのストーリーで、そう感じさせなかったところが本当は伏線で。
こういう「そっちだったか」と思わせるのが、前回観た「ザリガニの鳴くところ」と似た雰囲気があってすごく好き。
でも、病院にいる彼、最後はどうなっちゃうんだろう。
どうするんだろう。
観了後そこに引っかかっていたから、一番感情移入してたのは彼だったらしい。
見事な伏線回収
『アンナチュラル』も『MIU404』もさほど熱心な視聴者ではなかったが、本作の採点がいいので鑑賞。見事な伏線回収に爽快感を覚えた。
舞台はAmazonを思わせる外資系通販会社。Amazonはメディアに非協力的だそうだから、他社の集配センターでロケしたか精巧なVFXだろうと思われるが、非常にリアルだ。もちろん部外者には通販会社の労働実態はうかがい知れないが、内情もよく取材されている。
ひとつ難点を挙げるとすれば、いくら恋人が過労で自殺に追い込まれたからといって、犯人の女性が無辜の第三者まで巻き添えにする爆弾テロを企てるかというところ。けれども、これとて決定的な瑕疵とはいえない。
2.7m/s 〜 翻弄される物流業界
巨大物流倉庫の関東センター長として舟渡エレナ( 満島ひかりさん )が着任する。
直属の部下、チームマネージャー梨本を岡田将生さんが演じる。
羊急便のドライバー佐野を演じた火野正平さんのさりげない演技が光る。
羊急便関東局長、八木を阿部サダヲさん、西武蔵野暑刑事、毛利を大倉孝行ニさんが演じる。
素朴な疑問:爆弾が仕組まれている可能性が高い巨大倉庫で、スタッフに商品の確認をさせる事、果たしてあり得るのでしょうか。危険過ぎますよね。。
経済に翻弄され疲弊する人間。今を生きる私達に様々な問題を投げかける。
映画館での鑑賞
シェアドユニバースというから
MIUの志摩&伊吹やアンナチュラルの中堂さん目当てで見に行って、出番の量的には期待外れでしたが、本筋がとても興味深く展開に引き込まれていたので、不意打ちでドラマの登場人物が出てきたときの感激もひとしおでした。
映画の後、ドラマの配信見返したくらいなので、次作公開になったらまたきっと観に行くことでしょう。
作品自体のメッセージというか、メインの事件の投げかけは非常に重く深刻な社会課題なので、映画観た人たちがみんな、一歩立ち止まって、待つことや不便さに備えることを真面目に考える機会になってくれたらな、と物流・人流に絡む業界の隅っこに棲息してる者として思います。
LAST SMILE 最後は誰が笑う?
巨大通販サイトの物流センターで荷物に爆弾が仕掛けられると言う社会派サスペンスで、なかなか見応えがありました。女性センター長が着任早々起きる爆弾事件に、警察や下請先、通販会社本社を相手に丁々発止とやり合うのは小気味いいです。爆弾探しや犯人の狙い、主人公の隠された秘密などサスペンスの要素を巧く散りばめ、しっかりと伏線を回収し、さらに2024年問題やブラック企業、過剰な消費社会への批判等の社会派的側面もあり、なかなか盛り沢山な内容です。一方で、無差別テロに走る犯人のキャラクターに感情移入できず今ひとつしっくりきませんでした。通販会社の悪玉も生き残っているみたいだし、結局,勝利者がはっきりせず、モヤモヤ感が残りスッキリしないのが残念。役者では、満島ひかりが八面六臂の大活躍でカッコよかったです。タフネゴシエーターでいながら、かつてメンタルを患ったと言う複雑なキャラを好演してました。意外と儲け役は阿部サダヲで、外資系キャリアウーマンの満島ひかりと対照に中間管理職のサラリーマン役がハマってました。
「使い捨て」
タイトルは「ラストマイル」よりも直球で「使い捨て」がふさわしいと思えた。
物流業界がテーマ。
統括、支店管理者、中間業者、末端配達者…
それぞれが立場と責任を負っている。
自身の過失を認めたくないとき、人は他責する。当作品では請負業者に事件の責任を迫ったり、大企業の圧力で「嫌なら取引を見直す」「顧客のため」ときれいごとを押し出して責任を負わせようとする。
物流業界では働くスタッフ一人一人が「使い捨て」――その思いが爆破事件へと発展。ともすれば誰もが爆破媒体を手にする危険性があると認識した。
新任管理者を演じる主人公の満島さんの芝居が素で上手。どこか裏のある笑みや軽妙なトークが取り巻く人物を惑わす。
個人的には中間業者の阿部サダヲさんの立場が気の毒で痛々しかった。
他者ネタバレで知ったが、他ドラマの融合で無理やりストーリーに詰め込まれているので全体がぼやける。無理やり石原さとみや松重豊等を出さなくてもよいため-1.5点。
ハラハラドキドキ
面白かった。エンターテイメント作品として、社会的問題も入れていて骨太感もある。
でも、ヤマサキの飛び降りた理由がどうして彼女のせいになったのか。どうして彼女がそこまで(無差別殺人を)企てることになったのか。そこが自分にはイマイチ理解できなくて、なんだかしっくりこなかった。
とはいえ、豪華キャストで見応え十分。
倒産した家電メーカーの伏線まで回収するのはお見事です。
無茶苦茶な設定で折角の社会批判が台無しに
ファーストショットが振るっている、ぎっしりの通勤電車のガラス窓に映る反対側に座っている主人公・舟渡エレナを捉える。この秀逸ショットで心つかまれ、以降の猛烈なスピード感でグイグイ突っ走る。満島ひかりの超早口で終始まくしたてるセリフ、実を言うと殆ど聞き取れない、画面の停滞一切無し、こりゃ「シン・ゴジラ」のパターンかと期待高鳴った。まさにコンベアのスピード2.7m/sを維持するごとく主題と方法論が合致する変な映画でした。
それにしても主役級の役者がぞろぞろと登場して驚いた。膨大なエキストラからトラックの看板設置まで相当に気合の入った大作だから当然かと、でもほんの僅かなシーンで再度の登場無し? こんな顔ぶれそんな端役にどうして? 満島ひかり/岡田将生/ディーン・フジオカ/大倉孝二/酒向芳/宇野祥平/安藤玉恵/丸山智己/火野正平/阿部サダヲ/石原さとみ/井浦新/窪田正孝/市川実日子/竜星涼/飯尾和樹/吉田ウーロン太/薬師丸ひろ子/松重豊/綾野剛/星野源/前田旺志郎/麻生久美子。まるで意味が分かりません。
言うまでもなくECコマースの実態を明らかに批判する社会派作品でもあり、誰もがアマゾンとヤマト運輸を念頭に思い描く。巨大なセンターに社員がたった9人ですって? 休日考えたら実質僅か5人でしよ、それを支えるのが1000人近くに及ぶ非正規労働者って構図。本作の冒頭に通勤電車から降りる人の波、イベントでもあるのかしらん、と思ったら毎日の出社光景とは。どこもそうでしょうが非正規なんて本質は奴隷扱いが本音でしょ。労働改革なんて欺瞞のもとにせっせせっせと派遣にシフト、日本全国のコンビニでレジいるのは外人さんばかり。この歪を作品の根底に据えているから評価すべきなのは確かですね。
とは言え、肝心かなめの山﨑佑(中村倫也)の自殺行動が不明瞭。この非情な労働環境への抗議なのは確かでしょうが、死をもってしても犬の遠吠えにしか扱われず、何事もなかったかのようにコンベヤは回り続ける。で、不審に思った彼の恋人が総ての犯人って設定ですが、その相談にわざわざ米国にいる舟渡に合いに行きますか? そんな手の込んだテロ行為をする意味に説得力はゼロ。おまけに最初の爆発で自らは死を選んでいたなんて、無理無理無理な設定でしょ。そこまでやるのなら、彼の当時の上司であった今は日本法人のトップである五十嵐・ディーン・フジオカに向けるべきでしょ、憎悪を。
「もう止めましょ」と舟渡の改心で、団体交渉から運賃経費20円/1個の焼け石に水の解決策に至る。これで160億円の収益が吹っ飛ぶ! ですって? 馬鹿言ってんじゃないよ、アマゾンのトップ、ジェフ・ペゾスの年収⇒日本円で4兆2000億円、月給⇒3500億円、時給⇒10億9000万円。呆れて物も言えないレベル。低価格でパワーを握れば一気呵成の搾取構造を構築する、それを成し得た功労者? だからそんな報酬は当然? これが資本の非情な論理なのです。
で、帰ってから調べたら、なんとTBSの複数のテレビドラマの合体ですって!!!!! シェアード・ユニバースですって。豪華出演者はこのためですって。実に馬鹿馬鹿しい、要はドラマの宣伝映画じゃないですか。これが大ヒットなんて国民も舐められたもので。ユニバースってマーベルよろしくろくなものはなし。バットマンとスーパーマンが共演したって大コケだったでしょ。歪はテレビ局だって問題ゴロゴロでしょ、現代の社会悪の根源みたいになってるでしょ。その制作体制の下請けいじめ、視聴率のためなら国民はみんな馬鹿になれ、政権忖度、スポンサー最優先、嗚呼溜息しか出ません。
もとよりクオーターの満島ひかりの美しさは分かってますが、ほとんど赤で統一したファッションで、米国企業のエキスパートともなれば嫌味なくありそうな雰囲気ですが、嫌ですねぇ、あんな独り言を終始つぶやくような上司は。対する部下役の岡田将生が冴えないのは何故? いかにもタイプキャストのような阿部サダヲの活き活きぶりと比べて。セリフにありますよね、日本的企業の組織に辟易して転職したと。この環境に対する批判がないから、作品のベクトルと相反するから冴えなく見えてしまう、のでしょう。
それでもあなたはネットで買い物しますよね、だって安いし早いし面倒なしですから。問題はそこではない、そのプロセスを末端までもっと成熟させないと。でもきっと成熟したら別の奴がかいくぐってもっと過酷なシステムを構築するでしょ、競争なんですから。
座席が振動した!
そういうスクリーンでの上映ではないのに、爆弾が爆発するたびに座席が揺れた。
満島ひかりさん、どんな時もかわいかった。
すごい海外かぶれって感じで。
いつだって、どこに出向くときも、海外のファッショニスタばりにおしゃれすぎるし。
これは家ではなくて映画館で観たい作品だな、いい意味で。
倉庫だから映像の規模が大きくて。
小さい画面で見たらこちゃこちゃしちゃっていろいろ伝わらないリアリティがあると思う。
最後、火野さんの息子さんが無事でほんとに救われた。
あの部屋のお母さんが、洗濯機、まだ使えますかねって聞いたのは、シーンとしてちょっとできすぎ感があったけど。
家に帰ったら置き配がしてあって、開けるときすごい気をつけて開けた。
爆発しなくてよかった。
届けてくれたかた、いつもありがとうございます。
TBSはもっと宣伝費かけるべき!!!!!!
とんでもない作品。
ヒットしてるわけだ。
でも、このヒット理由は
素晴らしい内容過ぎて
噂が噂を呼んでこうなった。
いやいや!TBSさん!
まだまだたくさんの人が観るべき傑作!
追加宣伝してして!!!!
これは社会派作品でありながら
パニック映画でもあり
サスペンス映画でもある。
しかも全てハマってるから
中途半端さがない。
「アンナチュラル」「MIU404」の出演陣が
ゲスト的ではなくちゃんと物語の中にいる。
「あー、カメオ的?」ではない。
それぞれキーポイントなのだ。
これはもう監督と脚本家とTBSの力だろう。
そして、もう、カメラワークから台本から演出から
個々の俳優部全て(子役の女の子まで!)
その役への徹底が半端ない。監督の力だなー!
こんなに物販と流通をわかりやすく、
そして残酷に、そして悲しく、
そして、カッコよく描いた作品はない。
ラストの震えは神経の一本一本全て震えた。
今年1の傑作。
全然引き込まれない難しすぎた
冒頭五分の爆破迄は集中出来ましたがそこから話が難しくてアンナチュラルやMUUが好きで観にきた私には全く良さがわからなかった
自分の理解不足?
頭が悪いのかな?
途中から眠気が来て全く集中できなかった
気づいたら終わってた
レビューが良すぎて期待してたから何だったんだろって感じ
最高でした!!
ドラマファンですし、新井P塚原監督コンビのドラマ大好きです。野木さんももちろん。
最初から最後までこんなに、一瞬も目が離せない、他のことを考える余地を与えてもらえなかった映画は初めてかもしれません。オープニングから、これまで接した映画だったりテレビだったりサブスクなどの映像でいいなと思ったものが劇伴含め、ワクワクする仕掛けに心が囚われてしまいました!終わったドラマを色褪せることなくまた活かしている世界観が最高過ぎるし、正直この気持ち言葉に出来ません!最後の驚きまでやはり素素晴らしい展開!なんとも言えない哀しく不条理なやるせなさもぶつけようもない静かな怒りも圧巻の映画でした。
追記、、エンドロールでふと考えて
最後の伏線解けたとき、主人公たちと同じようにゾワッと泣けた。
見事な脚本と演出
野木亜紀子作品らしく、社会の深層に潜む課題を巧みに描き出す秀作である。今回は「物流」の問題。重苦しくなりすぎず、しかし確実に、鑑賞する私たちに様々な問題点を訴えかけてくる。しかもそれがパズルのように絡み合い、作品のあちこちに散りばめられた伏線が見事に回収されていく。脱帽せざるを得ない。何度でも観直したくなる作品である。
エンドロールまでひとつの物語
アクション映画でもないのにスピード感がすさまじく、ぎっしり詰まった内容で満足度が高いんだけど、見終わった直後に犯人の感情描写が少なかったなという違和感のようなものがあった。
シリーズものの利点を活かして、MIU404やアンナチュナルのメンバーをメインに据えることで、説明が省略できる舞台装置にして犯人の心情や動機に重きをおけば観客も感情移入しやすいところ(イメージは容疑者Xの献身)、メインキャラも新キャラでそこを掘り下げないといけない。しかも他にも多くの人物が絡まり合って複雑になっているのが本作の肝なので、犯人だけを深掘りするには尺が圧倒的に足りない。
物語を構成する上で最低限必要な動機は過去の回想からで、リアルタイムでは犯人の口から語られることはなく、最後は登場人物が概ね、劇的に何かが良くなったわけじゃないけどそれでも明日を生きよう、という少し前向きな印象。ところがどっこいエンディングで米津玄師の「がらくた」が流れ出す。
この曲については映画を観る前からアルバムを買って曲も聴いていたけど、ラストマイルのエンディングで流れる場合にのみ、印象がガラッと変わる。ここでは犯人の遺書とも受け取れる。「例えばあなたがずっと壊れていても 二度と戻りはしなくても 構わないから僕のそばで生きてよ」「許せなかった何もかも全てを ずっとあなたを否定してきた その全てを」
この曲が流れるのであれば劇中の犯人の深掘りはたしかにあれくらいでいいとさえ思えた。
テレビドラマでは終盤の盛り上がる場面で主題歌が流れるところ、本作はエンディングでだけ流すのに意味があると思えた。
文字だけのエンドロールなのに、それも含めて一つの物語になる、素晴らしい体験だった。
結論は何?
先週劇場で鑑賞した際も、お客の入りが良かったので、大ヒットというのも分かります。
「お客様のために」と言っても、真逆の立場を包含しうる都合の良いキーワードであるというのがテーマのように感じました。
サスペンスとしては、お約束通りの展開で、被疑者が二転三転する中、次第に真相が明らかになってくる展開は、のめり込めて良かったのですが、すべてが終わった後、「それで、結論は何? どうすれば良いと言いたいの?」という疑問が残りました。
要するに、安く早くを求めるお客が悪いとでも言いたいのでしょうか?
社会派サスペンスなのですから、結論を観客に放り投げないで、製作者側のメッセージを明示して欲しかったところです。
いくつかのテレビドラマとのコラボ作品ということは後から知りましたが、それを知らない者としては、鑑賞中には大物俳優の無駄遣いにしか見えませんでした。
私は、劇場作品は劇場内で完結して欲しい派です。
しなやかな感性が、新しい視点とらえる
「ラストマイル」は、小口輸送における最後の消費者への配達をさしますが、そこに爆弾が仕掛けられるという恐怖を描いた、サスペンスとして第一級の出来。
ラストマイルを担当する下請け(孫請け)ドライバーの置かれている矛盾を突いた社会派ドラマとしても成功しています。
映画の進行するテンポが軽快で、主演の満島ひかりと岡田将生の会話も小気味よい。一方で、大手流通事業者が下請け・孫請けの物流労働者や非正規雇用の従業員をいかに過酷に搾取しているかも描いています。
これは、監督の塚原あゆ子、脚本の野木亜紀子、プロデューサーの新井順子、そして主演の満島ひかりなど女性陣の息があっている証拠です。しなやかな感性が、日本映画の犯罪ものには少なかった展開を実現しています。警察官・刑事が滑稽に描かれているのがいい。
主要な刑事2人は男性優位で紋切り型なのですが、空回りしていてどこかとぼけ気味。他の警察関係者はアンナチュラルのUDIメンバーなど男女ともユーモラスで個性的、しかも職人風なので、別に見えを切って力まないし、犯人捜しにはあまり関係しない。犯人は企業側の2人が割り出す。
圧巻は、満島ひかりがグローバル流通事業者(Amazonがモデル)を裏切り、ラストマイルドライバーと物流事業者のためにストライキを画策するくだり。これがよかった。
物流2024年におけるドライバー不足と労働時間の削減課題は、宅配などの小口配送というより企業間輸送がメインですが、小口配送の運転者が搾取されているのは事実。
ケン・ローチが「家族を想うとき」でも描いていたけれど、全世界的に非正規の運転者が、ウーバーやアマゾンのためひどい目にあっています。
全889件中、281~300件目を表示