「現実の運送にも思いをはせる」ラストマイル ひよこまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
現実の運送にも思いをはせる
まず、面白かった。ラストマイルとはそのことなのかと初めて知った。
大手通販サイトのセールを狙い撃ちした無差別テロ。
いったい誰が何の目的で?がほぼわからないまま進んでいくのだが、普通であれば事件を追う警察目線になりそうなものを、この作品では通販サイトの人間の目線である。
だからこその、配送が止まることへの恐怖、実際にどんな問題が巻き起こるのか、そもそもどんな問題をはらんでいるのかが浮き彫りとなり、現代の便利さが常に綱渡りの上に成り立っているのだとフィクションでありながらも知らしめる。
そのうえでも最終的なところが、作中にちょっとだけかわされるセリフにあったあれがヒントだと伏線回収。
これまでの脚本野木さん作品に登場した面々も豪華にカメオ出演。そのサービスだけではなく、あまりにも悲しい決意を明らかにする役目もちゃんとある。
無駄のない組み立て、作中人物たちの抱く思い、どれも絡み合って面白く見ごたえあった。
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