劇場公開日 2024年8月23日

「“観る”映画、“識る”現実」ラストマイル だいさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 “観る”映画、“識る”現実

2025年9月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

興奮

難しい

ここ数年の邦画ではダントツ面白かった
元々アンナチュラルが大好きで、特定の言葉を聞けば次の台詞が出てくるほど見返した
唯一無二のストーリー、オリジナリティ溢れるキャラクターや予想外の展開が物語を左右する、他にない最高のドラマだった

次作のMIU404は、綾野剛が好きで見た
その結果、アンナチュラルと同じくらいハマった
アンナチュラルより解像度が荒く、いい意味で“理解”しないと面白くない作品だったと思う

最初、この映画の広告やキャッチコピーを聞いて不安を感じていた
なにせ“シェアードユニバース”をしきりに推し、ミコトや伊吹が出ることを全面に掲げていた
MARVELが多用し有名になったユニバース形式、個人的にはいい思い出が無く、設定や登場人物を共有しても、結果「え?じゃあこの時この人どこで何をしてたの?」と、後々後付けのツケが回ってくる
本作のCMを見たときも、「シェアードユニバースは良いけどこう言うのって、告知されてなくて“サラッと”登場するのが良いんじゃないの?」と内心不安でしかなかった
だからこそ逆を返すと、過去2作の登場人物が出てくる以外の魅力がないんじゃない?と邪推していた

しかし蓋を開けてみれば、告知されていたからこそ、それぞれのドラマのBGMが流れてそれぞれのコンビが登場したときは、もう興奮して喜びたってしまった
更に、言われないと気付けないほどの細かい設定の共有や、あの人物のその後、それに伴うほかのメンツのその後など、これほどまでに丁寧な"アフターストーリー"は見たことが無い

本筋も、現在日本で社会問題になっている"配送業"に焦点を当て、既存の他作品ではあまり触れない「リアル」にメスを入れ、フィクションと現実を織り交ぜた素晴らしい物語展開、綺麗な起承転結には脱帽した

個人的には、"見せかけのハッピーエンド"が大好き
悪い意味ではなく、言葉通り
冷静に考えて本作は、ハッピーエンドなのか?
そこまで考えさせられる脚本、演出、各俳優の演技力

もっと言えばこの映画、先述の2作品を見ていなくても単体で鑑賞できると言う、完成度の高さも素晴らしい
ユニバース物は、「設定を共有する」とは言いつつも実は前作を見ていないと理解できなかったり、この作品は1だが違う作品の3であり別の作品の2でもある…みたいな
そう言うのにうんざりしている人も多いと思うが、本作はきっちり単体で完結している
しかし、アンナチュラルとMIU404を見ていればより深みがでる構成になっているのが凄い
本当に、何から何まで素晴らしい映画

だい
PR U-NEXTで本編を観る