「痛烈な批判に真っ向勝負!?アマプラで独占見放題配信!で笑うw(2025年8月末現在)」ラストマイル ycoさんの映画レビュー(感想・評価)
痛烈な批判に真っ向勝負!?アマプラで独占見放題配信!で笑うw(2025年8月末現在)
どっからどうみてもAmazonがモデルでめちゃくちゃ批判されているのだが、公開から1年たった今、配信はもちろんのこと独占見放題とさ。ある意味男気(?)を感じる、が、単にアメリカの会社だからドライなのか?え、あなた達のことだよ?わかってる??って言いたいw。
さて本編。
冒頭の迫力あるシーンからの切り替わり、巨大な倉庫と目まぐるしく動く機械と押し寄せる労働者。もう一瞬でアマゾンがモデルでそこに批判的メッセージが込められた映画であろうことがすぐ読み取れる。
ストーリはリミット系サスペンス。臨場感が感じられるように中々のテンポで進むが、そこに群像人情劇が織り込まれ、緩急のメリハリがありただのパニック映画にはならない。社会問題についてのメッセージが押し出されつつユーモアもある。単純に「面白い」。サスペンス要素もマニアからしたら初級編程度かもしれないが、伏線回収が随所でなされカタルシスも味わえる。
ただ、そこに深みがあるか、といえばちょっと物足りない。
役者はかなり豪華で皆上手い。しかしキャストが多い上に二時間で納めるという制限ゆえか、どうしても一人一人を深堀りすることが難しい。いや、かなり上手に組み込み、役者たちも僅かな時間で最大限伝わる演技をしてくれている。だが、だからこそ、もっと個々の事案を深く描いてほしかったという気持ちが残る。(これは李監督の『怒り』でも感じたのだが)
例えば岡田将生。言わずと知れた準主演で出番もたくさんある。本人も「この監督・脚本・キャストの方たちとできて本当に嬉しい。やっと「こっち側」にこれた」というような発言をし、その意気込みたるやいかほどか!と思うも、実際には彼の(役としての)個人的な感情の深い所を見せてくれるようなシーンはあまりなかった。ひたすら物語を動かすために走っている印象。ディーンフジオカも中村倫也もバックグラウンドにたくさんのものを感じさせる演技なのに与えられた尺だけでは表しきれない感じだ。ある意味では登場人物たち各物語のダイジェストのよう。
しかしながら作り手の強い気持ちと巧みな手腕はよくわかった。
その手腕がもっとも発揮されたのは『アンナチュラル』と『MIU404』の組み込み方だろう。
友情出演・ファンサービスのためのお飾り的出演かと思いきや、それぞれの設定を活かしてしっかりストーリに食い込んでくる。これはとても見事と思った。(水上恒司が出なかったのは残念だが)しかもエンドロールではそれぞれの物語名を明記しのあとにキャスト名を載せる。これは『ラストマイル』から他二つの物語に視聴者を誘い込む作戦もあると思われる。同じ制作陣によるドラマ『海に眠るダイヤモンド』もだが配信をしっかり意識した抜け目なさを感じる。ちなみに個人的には『海に眠るダイヤモンド』の方がかなり良い出来だと思う。
いずれにせよ、野木亜紀子×塚原あゆ子×新井順子のタッグの次回作が楽しみである