「「日本のわがまま運びます」、その後の日本の姿。」ラストマイル リュウジさんの映画レビュー(感想・評価)
「日本のわがまま運びます」、その後の日本の姿。
「日本のわがまま運びます」は、
ネコのマークの運送配送会社のかつてのテレビCMのコピー。
荷物を全国へラクに送れるビジネスモデルを創り上げた企業は、
以後、スキー板、ゴルフバック、冷蔵食品…
それまで運ばなかったものを運ぶサービスを開発していく
その企業努力を
「日本のわがまま運びます」
というコトバで表現した。
CM発出は1991年(平成3年)。
当時はお客さまの暮らしの便利を第一に考える発想≒
マーケットアウトを見事に実現する企業姿勢を
見事に示したブランディングコピーとして高く評価されていた。
そして約35年後に生まれたのがこの映画。
この映画のデイリーファスト(デリファス)も
「Customer-centric(カスタマー・セントリック) すべてはお客様のために」。
物流の主導権は運送会社の手を離れ、ショッピングEコマースの企業へ。
「日本のわがまま運びます」の行きつく先にあった顧客第一主義は、
働く人たち(特にラストマイルの人たち)を苦しめるものとなってしまっていた。
確かに映画の結末は「おかしいと思ったことには声をあげよう」
「ちょっと止まって考えよう」だった。
が、反戦映画が戦争を終わらせることができないように、
この映画も現実を変えるまでにいたらないのは、やっぱり悲しい。
置き配の設定も加わり、宅配ボックスも設置されるようになったものの、
通販で【送料無料】という表現はやっぱりおかしい(送料は私たちが負担します)し、
別に今日注文して今日・明日に手に入らなくても困らない(自分はですが…)。
まぁ、映画はミステリとして面白かったけどね。
エレナ演じる満島ひかりさんが突然涙を流すシーンはびっくりしたけどね。
冒頭からグダグダ書いた感想を自分が抱いたのも、
この映画がとてもすばらしい証左なのかも。