「脚本より面白くなっていない。」ラストマイル さいてょさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本より面白くなっていない。
テレビ局の制作というトラウマを踊るシリーズに植え付けられて以降期待しなくなって何年も立ちましたが、『ちゃんと楽しいじゃないか!』と嬉しくなる本作。
ドラマ全話観て、バキバキにパンプアップした状態で見に行きましたが、ドラマのキャラが出てくるっていうファンサービスよりも、ドラマのテーマとの共通項を感じさせる部分に脚本の上手さを覚えた。
特に、満島ひかりがスカした若者も羨む『バイタリティ』で労働環境改善に乗り出す一方で、自殺した人が誰か判明した石原さとみの『そんな根性いらない』からの、再び満島が負け確ディーンへ『何もしなかったからだよ』っと捨て台詞の流れ。
復讐を通して描く、1歩勇気をもって踏み出すこと、そのベクトルの重要性はアンナチュラルにも通づる所ですごい上手い。
君塚脚本と違い、メッセージや、社会問題意識についても外してなくて不快感もなかった。
絵的にもずっと豪華で観てられるし、ショウヘイ親子のシーンは全部良かった。
ただ、実際に撮影されたものが脚本を超えてるシーンがほとんどなかったように思うのはすごく残念。
数多ある凡作の『説明台詞』ではないけども台詞で説明していることが続きすぎて、映画的な魅力やエモーションがほしかった。
あと、ギャグパートは全部うまくいってなかった。(ロジスティックス、きゅるん、例え下手ですね、それまだ動きますか?等、、、)笑いの取り方はどうしてもテレビ的なものがスクリーンに入ると気になってしまう。
気になる点もあるが、気になる点どころか気に入る点を見つけるのが大変で、映画終わるころにはぶちギレてたこれまでのテレビ制作と比したら大成功。大拍手。
この成功を薄いレベルで理解したおじさんが『うちもユニバースだ』と安易な企画を乱立しないことを祈る。