「物流の重要性を改めて知る一本」ラストマイル まあささんの映画レビュー(感想・評価)
物流の重要性を改めて知る一本
巨大ECサイトとそのラストマイル輸送を担う物流会社で働く人々を中心に描かれるクライムサスペンス。テンポが早く少し置いてけぼりになる箇所もあるが、小気味良く進むストーリー展開は心地よさを感じる。取り上げられている物流問題についても現状をよく取材されており臨場感があった。顧客のわがままに対応するために高度にシステム化され、決して止まらないあのベルトコンベヤーが歪にゆがんだ資本主義の邪悪な仕掛けのように見えてくる。あのセンターを担う者は、「2.7m/s→70kg→0」の呪いに取りつかれ、その魔物を止めなければという気持ちに駆られていくのではないか。ある者はベルトコンベヤーに飛び込み、ある者は物流の動脈を断ち切ってまでそれを止めようとする。ただし、一旦は止まるように見えたその巨大な仕組みは歪んだ資本主義の中で生きる人間の欲望を燃料としてまたゆっくりと動き始め、それが日常化していく。岡田将生演じる梨本孔はその役目を引き継がれ、ロッカーの前であの呪文を見ながら、これまで同様に繰り返される自身の運命を見通し身震いする。
物流を扱った映画というのは少ない。裏側がどうなっているのか分からず、インフラとしてうまく回って当たり前ということでブラックボックス化し軽視されやすいという側面があると思う。血液が体内に上手く回らないと生物が死んでしまうように、物流が滞ると経済自体が破綻してしまう危険性があるということをエンターテインメントに落とし込み、物流の重要性を改めて理解する意味でも意義のある一本だと思った。
細部を味わうためにももう一度観たいと思った一本だった。
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本作、人間の感情を擬人化して分かり易く描いた作品です。思春期前、思春期中、思春期完了の幅広い年齢層で楽しむことができると思います。特に、思春期の子供がいる親世代、思春期が終わった大人世代の心に強く響く作品だと思います。
ー以上ー