「阿部サダヲとおディーン様の髪型が同じ」ラストマイル たちつてとんさんの映画レビュー(感想・評価)
阿部サダヲとおディーン様の髪型が同じ
ややもすると社会への青臭い問題定義を黄色いクチバシで叫んでるだけになりそうなテーマをスポンサー様のいるエンターテイメントとして料理することに定評のある野木亜紀子の脚本であり、監督もテレビシリーズ同様塚原あゆ子が務める。
「アンナチュラル」も「MIU404」も全部見た。
それらのドラマが過不足なくしっかり作られていたので心配はそれほどしていなかったが、所詮TBS。最近も「VIVANT」などの金遣いの見せびらかし方に品がなくて企画を台無しにした(ように見える)ホモソーシャルっぽさや、下手な人気俳優を下手に使って人気だけでどうにかしようという小手先ばかりの日本のテレビ局である。
他局でも「劇場版」とか「The Movie」などと名乗っているにも関わらず、レンズの選び方から音声のポストプロまでしょぼしょぼってことも結構ある。映画館はでっかいテレビではない。
この「ラストマイル」は劇場版として完璧か?と問われればさすがにそうではないが、極力テレビ臭を消そうという努力は買う。
テレビシリーズの俳優たちはお飾りで登場するのかと思っていたらそうではなくしっかり絡み、キャラクターの扱い方に愛情がある。代理店と芸能事務所を丁寧に説得した人がいるんじゃないかと想像。映像作品業界も流通業界並みか、もしかしてそれ以上にブラックだ。
テレビシリーズに出演していなかった「世界観をよりリアルに見せるための俳優たち(子役含む)」をしっかり演出したり監督の力量も秀逸だ。
わかりやすさを優先してやりすぎた部分もあるが「伝えるため」の割り切りと捉えたい。
最近、入りがまばらな映画館ばかり見ていたので、相当数の客が入っていて興行的に成功している姿は喜ばしい。
作り手の放ったダイレクトな表現のメッセージがなるべく多くの人々に伝わればいい。なぜ今世界はこうなのか。