「多少の不快感と疑問、後味の悪さが残る」ラストマイル 村神さんの映画レビュー(感想・評価)
多少の不快感と疑問、後味の悪さが残る
アンナチュラル、MIU404共に何周も観ました。
ですから、今回そのキャラが出てくると聞いて、珍しく公開初日に都合をつけて映画館まで行きました。
結論から言うと、第一印象は
「期待しすぎた?私の感性が乏しいだけ?」
でした。
まず、主人公のエレナのコウや取引先に対する態度が不快。傍若無人というか、海外かぶれっぽいのが鼻につく。後に精神を病んだ過去があり、それなりの信念を持っていることも触れられるが、それで帳消しにならないくらい主人公としての印象が悪い。
福岡?から来たと言っていたが、その仕事ぶりと「時差ボケ」発言から本国から来た何者かなんだろうな、という所までは最初の段階で予測できた。
また、運送業の軽視に対する問題提起をしたかったようだが、「華麗に事件を解決していく痛快なエンタメを観るつもり」で行くと重すぎる。
もちろん、現状がよく分かるし、宅配サービスやECサイトをよく利用する身として感情移入できる部分は多くあった。(羊急便の親子など)
しかし、あそこまで全面的に押し出されてしまうと、あまりにも罪悪感が勝ってエンタメとして楽しめなくなってしまう気がした。特に感動して涙する訳でもないので、こちらの感情が報われないというか特段ポジティブな感情が残らない。
そこまで意図して公開されているのであれば、製作陣のねらい通り。だが、観る側としては心して欲しい。まあまあ重いし、華麗に事件が解決されていく訳ではないので。
そして、散々予告されていた過去ドラマのキャラクター。予想はしていたが、案の定ほとんど出ない。本筋には絡まない。
シェアードユニバースの名の通り、同じ世界線にいる というだけ。ここに関しては、個人的には数年ぶりにキャラクターを見られるだけで満足だった。
特に、ドラマ1話では初動捜査の際に志摩の手袋を片方借りていた伊吹が、今回はちゃんと持参していた所成長を感じた。
「手袋、ある?」「(ガサゴソ)、、、ある!」
のやり取りさえ尊かった。なんなら、映画の中で1番好きなシーンと言っても過言ではない。
また、「クソ」と言わない契約をした中堂系が、
「クっ、、、」と「く」で始まる言葉を探し、それをUDIのメンバーがいじるシーンでも、ドラマ以降の日常が描かれていた。
これも、「あのキャラ達ががっつりタッグを組んで捜査するんだ!」と思っていくと物足りなくなると思う。ドラマキャラ達のその後を「垣間見せてもらう」くらいのつもりがちょうど良いと思う。刑事コンビは大活躍だった。
全体として、主人公コンビ?に感情移入できなかったのと、想定以上に重い社会風刺、特にパッとしない犯人とトリックに肩透かしを喰らった印象。少しでもスクリーンでアンナチュラルやMIUのキャラに会いたい人は映画館に行けばいい。そうでなければ地上波/サブスク解禁してからでも良かったかな。
塚原あゆ子×野木亜紀子作品ですから、ただの爽快エンタメムービーになるはずは無いですよね。後味の悪さこそ、この映画が求めたものなんじゃないでしょうか。
エレナの描き方については、『逃げ恥』であれだけヒロインに女であることを愚痴らせた作家の手からこういう人物像が出てきたかと、こっちについては爽快!でしたよ。
感想共感しました🤩😀🤩ただ私は制作側の狙いとおり🤩という意味で、星4つです🤩
エレナみたいな上司、ほんとにいるんですよね、見せつけられて🤩嫌でした。そこも制作側の狙いとしたら、やられました🤩ただ現実では、そういう上司は[ほんとに自分を省みない]から、後半のエレナみたいにはならないんですよね。
エンタメではないけれど、問題提起してくれました。