「面白いが納得は出来ない。」ラストマイル yohさんの映画レビュー(感想・評価)
面白いが納得は出来ない。
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物流オペレーションの描写はわかりやすく、全体的にスピード感や緊迫感があり、それらは良かった。その意味では面白い。一方で、テーマと犯人の行動、テーマと主人公の言動がきちんと連動していない。
テーマは、物流の過重労働・低賃金・下請けイジメ・本社の隠蔽体質といったところか。あとは、舟戸エレナ(満島ひかり)の本社キャリアをベースとした新たなチャレンジと警察を超えた推理力か。
ところが、犯人の復讐と無差別テロが、大事なテーマに上手く結びつかない。犯人像をテロ集団に単純化したくなかったのはわかるが、自死を試みた従業員の恋人が出来る犯罪ではない。
本社から来た舟戸エレナが組織・業務課題を劇的に革新するわけでもなく、数日間で自社に多大な損失を齎して辞めた。彼女のこの着任への心持ちを察すると、そんな選択は合理性が無さすぎて不自然だ。
ラストマイルの過酷な労働と理不尽な低賃金については僅かな賃上げで、また物流センターの過重労働と自死未遂は会社の多額の補償損失で、それぞれ報われた?あるいは徒労感で終わりたかった?
繰り返し示された物流課題の根の深さと、舟戸エレナの一仕事やり切って颯爽と次のキャリアを目指す姿や、ラストマイルの疲弊した運送業者による人命救助のヒーロー感が、全く噛み合わない。
納得がいくストーリーではない。
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