「それぞれの素材は最高なのに」ラストマイル 今野さんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれの素材は最高なのに
クリックして本文を読む
前提として、同脚本家の他作品や「MIU404」「アンナチュラル」は何度も見返しましたし今回の役者陣も全員好きな方ばかり。
実力派俳優たちの演技はもちろん、舞台の倉庫や爆発現場の映像技術も素晴らしかった。
現実世界の社会階層や過重労働への問題提起についても、物流ではないものの社会インフラ業界に身を置く労働者として強く共感します。
スタッフロール後のお決まり「この物語はフィクションです」のあとに続いた、心の痛みに寄り添うメッセージにも制作側の真摯さが伺えます。
ただ脚本は…。露悪的かと思えば突然弱い立場への共感を示したりスタンスがよく分からず最後まで不安定な印象の主人公。
小粋にしようとして失敗している余計なセリフと事態の深刻さとのアンバランスさにも違和感しかありませんでした。
主人公の不安定さが過重労働の後遺症の現れというならまだ理解はできますが恐らくそうではない。
それぞれの行動の意味がきっとあるはず、と期待しましたがそういったカタルシスもなく。
話題性と出演陣の豪華さだけで評価されると筋の通った脚本のある他の中規模作品が浮かばれないな、と言う気持ちになりました。
繰り返しますが素材は素晴らしいです。これからも野木さん、俳優さんたちの作品を楽しみにしています。
コメントする