「世界はどこかで繋がっている」ラストマイル パジャマさんの映画レビュー(感想・評価)
世界はどこかで繋がっている
レビューした記憶があるのに投稿がなかったので再度(?)投稿。
『アンナチュラル』の大ファンで、映画公開前に『MIU404』を初めて見てそちらも大好きになった人間です。
アンナチュラルとMIU404で既に世界が繋がっていることが示唆されていましたが、『ラストマイル』ではシェアードユニバースムービーとして3作品の世界が繋がりました。そしてそれは、現実のわたしたちの世界ともきっとどこかで繋がっているのだなと鑑賞後に感じました。きっとラストマイルが、他の2作品に比べ、かなり「わたし」個人の生活に近く、身近な題材を扱っているからなのだと思います。解剖や刑事事件に接することはほとんどありませんが、今日日、通販サイトを利用して商品を購入することはごく当たり前の消費活動です。
なので、初めての鑑賞後はうっすらと、自分も山崎佑を追い詰めたうちの一人なのかもしれないと思いゾッとしました。某ECサイトのセール開始の広告を見て、複雑な気持ちになりました。でもきっと、だからこそ、出来ることもあるのだと思います。通販サイトの商品が手元に届くまで、今までほとんど意識を向けていなかったたくさんの人に目を向けて、感謝の気持ちを持つことを、少なくともわたしに意識させる映画でした。
このレビューを書いてる時点で4回鑑賞していますが、観るたびに満島ひかり演じる主人公のエレナが好きになります。
犯人ではないかと岡田将生演じる孔に詰め寄られたときの「わたしがどんな気持ちでここまで…ッ」と涙を堪え言葉に詰まりながら、それでもすぐに表情を戻す気丈さが、気丈に振る舞おうとする強さが好きです。赴任してきたばかりでも、何も言い訳をしない。そんな彼女だからこそ、過去に一度「爆発」してしまったのだと、2回目以降で全く印象が変わるシーンだと思います。
ロッカーに残されたメッセージを見て、飛び降りの真意に察して泣き、「彼女を探さなきゃ」と言ったのは、筧まりかのことをきっと心の端のどこかでずっと、気にしていたのだと思います。だからこそ、最初の爆発の被害者が犯人にしか起こせない=筧まりか本人は死んでしまったのだと気付いて、「1番欲しかった答えがロッカーの中にあったのに!!」とその死を悼んだ。これだけ会社への損失を与えた張本人であるのに。このバランスが、舟渡エレナをとても魅力的なキャラクターに魅せている、と感じました。
初め、最後にエレナがサラに言った「爆弾はまだある」の意図を今ひとつ掴みかねていましたが、あれは中盤のエレナ自身の言葉、11個の爆弾を12個と偽って予告することで永遠に探させることにかかっているのかなとわたしなりに解釈しました。エレナ自身が「わたしが犯人ならそうする」と言っていたので。山崎佑の飛び降りが会社の責任とする証拠。あるいはもっと会社に不利益を生じさせる何か。
事件は解決しても、根本の社会問題は解決せず、どこか苦いものが残る物語の閉じ方。とてもこの製作チームらしい作品で、観て本当によかったです。