ラストマイルのレビュー・感想・評価
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「会社」「組織」に毒されて、人の辛さに鈍感になった人たち
会社組織にマヒした人たち。人の辛さに鈍感になっていく。
会社のフィロソフィー。企業側の利己的な意図を高尚なセンテンスで包んだ空虚な言葉たち。そんなもの達成して何になる?売上〇〇達成してどうなる?1日200個配達しても死んでしまったら意味がない、人を崖っぷちに追いやっての地位など意味がないのに。属していた時は、なぜかそれが全てで意味があるものに見えてしまう。巧妙な洗脳。
「安いだけで買ってはダメ。必ず誰かに皺寄せがいっている。」
「短絡的で一元的な買い方は見直さなければならない。」
それは頭では解かる。この映画を観なくても知っている。
でも「そういう高尚なことは他の誰かが考えてくれたらいい。裕福ではない私は安いものを買わせてもらう。。」と、ブラックフライデーで数百円の差額欲しさにポチッてしまう。しかもどうでもいいものを。。。そしてこれは当然に私だけでなく他の人も同じように考えるのよ。 「得したい病」「損したくない病」の慣れの果て。
仕事の本懐をかろうじて守っていたのは、火の正平親子の配達業者だけ。
最後に商品を子供に手渡すシーン。これこそが流通の本懐である。
※「爆弾は12個ある」の根拠があまりに弱い。こんな根拠の薄い推理に人命をかけてしまっていいの?20個あったらどうすんのよ。
※最初の爆弾は自分で起動させたのだろう、という根拠もちょっと強引だよ。
※ブラックフライデーは間違いなく嫌いになるな。
※エレナのような女性社員いる。外資で。よく仕事ができるわ。
※エレナが「ここまで準備してきて。。。」と涙ぐんだが、その準備とは?よくわからんかった。
※火野正平親子がいい。火野正平さん、いい味だしてます。ありがとうございました!天国でも自由で、笑って、カッコかわいく、お過ごしください。
現代人が便利さと引き換えに失ったもの
満島ひかりさん主演、主題歌米津玄師さんということで迷わず鑑賞を決定。
人気テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の監督・塚原あゆ子さんと脚本家・野木亜紀子さんが再びタッグを組み、両シリーズと同じ世界線で起きた連続爆破事件の行方を描いたサスペンス映画です。
私は両ドラマとも観ていませんでしたが、単体映画としても十分に楽しめました。両ドラマからの出演者も加わり、これでもかというくらいに出演者が豪華!一度に3度美味しいお得感満載の映画となっております。ドラマファンならより一層楽しめること間違いなしです。
塚原監督曰く、
「夜にポチッと注文した荷物が、貴方に届くまで」のお話を、ビールとポップコーンにあう映画に仕上げたとのこと。
脚本家の野木さん曰く、
「宅配荷物が爆発する話で、物流が止まると大変」という監督のワンアイデアをネタに一本書いたとのこと。
主題歌担当の米津玄師曰く、
「今回の『がらくた』という曲は、壊れていても構わないんじゃないかという、そういう意味合いを込めて作りました」とのこと。
「アンナチュラル」「MIU404」と繋がるシェアード・ユニバース・ムービー!!(複数の作家による複数の作品によって共有される物語世界)
監督:塚原あゆ子、脚本:野木亜紀子、主題歌:米津玄師の最強チームが贈る、極上のノンストップ・サスペンスエンタテインメント!
ワンクリックで、夜注文した物が次の日には家に届くというこの便利な世の中で、大いなる歪みを被った人たちがいることを再確認することになる映画です。スマートフォンの登場によりこの20年で大きく変わった私たちの生活。
便利さと引き換えに、
現代人が失ったものとは?
もしも願いが叶うなら
スマートフォンのないあの頃に
もう一度戻らないものか?
そう思ったことがあるのは、
私だけではないハズ…
目的地に着くまでのドキドキ
何かが届くまでのワクワク
なんだろうと想像するトキメキ
何かを待つという贅沢な時間
失ってしまった贅沢さを取り戻すために、私たちが今すべきことはなんなのか?難しい宿題を持たされて、映画館を後にすることになります。
鑑賞して損はない、
良作映画となっております♪
「システムよ止まれ」と彼と彼女は言った
ハンムラビ法典には、同害報復を表す有名な「目には目を、歯には歯を」の文言がある。この血讐法は、どれだけ社会が高度に発展しても、人間の感情の発露として、捨て去ることはできないかもしれない。〈DAILY FAST〉により、恋人を過労自殺に追い込まれた筧まりかの復讐は、荷物に爆弾を仕掛け、デリファスという会社の信用を失墜させることだったように見える。が、それは表面的だ。彼女が本当にしたかったことは、山崎佑とデリファス、そしてそれを取り巻くシステムを「同じ状態」にしてやること。つまり「機能停止」だ。
物流は都市のメタボリズムの生命線だ。それを止めると、メタボリズム(代謝)が不全に陥る。山崎のような「植物状態」に。物流のラストマイルの末端で、筧は自壊し、目的を完遂した。そう、労働者のストライキを惹起した。山崎が万が一目覚めても、筧はもういない。しかし、働く人たちの環境が1ミリでも改善されていれば、それが彼への世界の贖いになるだろう。
山崎がロッカーに残した謎のメッセージは、飛び降り自殺でベルトコンベアの流れを止める、というほのめかしだった。同時に、おそらく、利益最優先で何らかの不正を行っていた五十嵐に関する内部告発ではないか。
私たちのために「システム」があるのではなく、「システム」のために私たちがいる。近代社会の複雑化により、私たちは程度の差はあれ、「システムの奴隷」になった。その部品である自分が壊れることで異議申し立てをする。荷物がちゃんと届くことの「奇跡」の代償は、存外巨大なのかもしれない。
「物流の叫びを聞け」
などとタイトルに銘打っても私は詳しい現場の事情は知らないのですが、業界の網羅っぷりが凄まじい。業界のトップから配送センター、運送業者、末端の運送屋に、荷物を受け取る家族まで、それぞれの狂おしい事情を見事に噛み合わせて、物流全ての絵巻を画ききった凄まじい社会派サスペンス。
とはいえ、本当にリアルに再現されているかどうかは、自分には判らないけど。仮想の運送業者、配送センター、ウェブサイトや広告動画まで作り込みは凄いけど、こうした事件があった場合の企業の対応、警察の動きは本当にこれで良いのか。議論を呼ぶかもしれないけれど、やっぱり自分には判らない。その辺、評論家の方にお願いします。ただ、広告はワザとだろうけど、映像が暗いなあw 本当はもっと楽しげですよね。
でもまあ、本当にそれぞれの対応が正しいのか疑問に思うほど、「お前はいったい何と戦っているんだ」といちいち問いかけたくなるほど、問題は爆破事件なのに、それぞれの都合に振り回され、例え爆破の被害者が出ようとも配送を止めるわけにはいかないトップの事情。むしろ犯人よりも悪役に見えるけど、仕事に振り回される人なら痛いほどよく判る使用人ならではのストレス。
そう、むしろ犯人が戦っていたのはそのストレス。事件の動機ともいうべき「ブラックフライデーが恐ろしい」という、彼氏の言葉を伝える彼女のシーンが凄まじかった。恐らく、自分の映画鑑賞体験のトップランクに入ると思う。日の丸構図に近い役者を中央に置いたインパクト。そしてむしろ人物を小さく、広く開けた空間が痛いほど心境を物語る。キューブリックのシンメトリーとか、この手の構図が好きな私には、エグイほど突き刺さった。むしろ犯人が自らの死をトリックに使う壮絶さよりも。
ただ、ロッカーの落書きの意味が自分にはつかみ取れなかった。どういうことだろう。身投げによる自分の死を持って物流を壊してしまいたかったのだろうか。それほどに頑なで酷薄な社会のシステムに訴えかけたかったのか。それとも、「飛び込めば、全てから逃れられる」という仕事に押しつぶされてしまった者の心理か。
それ故に、爆破事件の解決よりも、トップにストライキで訴えかける逆転劇こそが、この映画のクライマックスだったのでしょう。本当に戦うべき相手は誰なのか。本当の事件は何か。それはむしろ爆破事件なのではなく。
とにかく、幸せな人がほとんどいない、見ていて辛い映画だったのは否めない。わずかな合間で語られる、離婚に至った陰鬱な家族の事情が、お届け物で笑顔になった。それだけが最大の救いであったような気がします。
いや本当に、仕事が辛くなったら、みんな逃げよう。後のことは気にせず、退職届なんか後回しで良いから一目散で。
便利で効率的な暮らしの裏で戦う人々の姿
きっとみんな薄々気づいているけれど見てみぬふりをしているもの。
送料無料で頼んだものが明日届く。
よく考えたらわかる。利便性を追求し、それを当たり前のように享受している日常の奥で、苦しみながらも闘っている日本の物流の人たちがいることを。
けれどその豊かな生活を手放したくないから、課題解決を後回しにし続けている。
きっとこれはフィクションではなくて、ノンフィクションになってもおかしくない悲劇なんだと、見終わった後すごく考えさせられた。
大好きな野木脚本な上に、大好きなアンナチュラルとMIUの2作とのシェアーズユニバースムービーというだけで、ワクワクが止まらないのに、それを抜きにしてもしっかりと作り込まれたストーリーとキャラクターとメッセージに、やはり塚原✖️野木タッグは裏切らないと感動した。天才すぎる。
最後の伏線回収もお見事だし、シンプルなハッピーエンドで終わらせないところも良い。
きっと2度目はまた違ったことに気付いたり感じたりできそうな映画だなと思った。
日本のブラックフライデー
「アンナチュラル」と「MIU 404」は見ていないけれど、すごく楽しめたし、歯ごたえ抜群の社会派ドラマだった。というより、2本のテレビドラマの要素はあまり多くないのでは。初見の人の方が楽しめるんじゃないかとすら思った。
舞台は、巨大ショッピングサイトの物流センター。ブラックフライデーに向けて大忙しの中、配達物が爆弾とすり替えられて、死者も出てしまうが、繁忙期に物流を止めたら、経済的な損失が大きい。警察の捜査も迫る中、犯人捜しと経済活動を両立させるために主人公たちがもがく様を、上層部や配送センターの下請けの従業員など多数の関係者のエピソードを交えながら描いている。
そもそも、ブラックフライデーはアメリカのサンクスギビングの後の金曜日の安売りデーのことなのだが、なんでサンクスギビングのない日本でそんなのやってるんだと改めて思わされる内容である。もう、単に商品売る側が何でもいいから理由つけて、商戦期創り出しているみたいな話であって、グローバル資本の歪そのものだ。
人が死んでもベルトコンベアは一瞬しか止まらない。巨大なグローバル資本主義は何もかも呑み込んで利益のために人を動かそうとする。資本主義との対決は難しい。自分たちもその土台に乗っていないと生活できないのだから。でも、資本優先になりすぎた社会は明らかに歪んでいるのも確かだ。
「映画『ラストマイル』と僕の“疎外労働”体験」
物流業界の闇を描いたサスペンスだが、そこに浮かび上がるのは“新自由主義が生み出した労働の現場”だった。
ラストワンマイル——最後の配達工程。受け手からすれば当たり前の便利さだが、その裏で「迅速」「丁寧」「安価」を求められる労働者たちは、常に疲弊し、すり減っていく。
これはかつて僕自身が経験した「疎外労働」の構造と重なる。小売店を継ぎ、フランチャイズ本部との軋轢の中で自由も尊厳も奪われていった。あの時、自分がまるで“顔のない労働力”に変わっていくような感覚があった。
マルクスの言葉を借りれば、それは「自分の労働と自己に対する疎外(疎外労働)」。何のために働いているのか、誰のためなのかも見えなくなっていく。映画の中でも、システムや企業は責任を個人に押し付け、「便利さ」だけが正義になっていた。
これはエンタメ映画ではあるけれど、“僕たちが日々無意識に享受している便利さの裏側”を鋭く突きつけてくる。労働とは何か、正義とは誰のものか。観終わったあと、そんな問いが静かに残った。
注文するのが怖くなる!テンポ良く進むストーリー!
映画館で観るの迷っていた作品。
プライムビデオで配信されているのを見つけてすぐに視聴!
最初からテンポ良く物語が進んでいくため、画面から目が離せない!
MIUもアンナチュラルも見ていたので、登場人物は分かりましたがここまで長尺映るとはびっくり!
自分が注文したものが爆発するなんて(しかも爆弾の威力強すぎる!)
近年の物流問題を大きく取り上げているようで、ここまでリアルに描写していいのかとまで思ってしまいました。
阿部サダヲさんの演技さすが、、。タバコ吸ってる姿とか本当にお疲れに思いました。
大好きな満島ひかりさんは可愛くてかっこよくてとても美しかった!
買ったゲームに爆弾が仕掛けられているシーン、こちらもとてもハラハラしていました。
仕事のしすぎで休職していたという過去は、本当にそんな人日本に多そうすぎてリアル。
中村倫也さんをあの役に起用はとても贅沢だし、中村さんだからより威力があるようにも感じました。
そしてまさかまさかの伏線が。
お母さんにプレゼントをこっそり考えている、なんて心優しいんだ!
最後の洗濯機のシーンなんて、私が大好きな伏線の回収の仕方でとてもスッキリ感じました。
サブスクでの配信ありがたいです!
周りの人にもたくさん勧めるくらい面白く感じました!
これをAmazonが配信するの?
巨大物流システムを題材に
誰もがAmazonを想像するであろう巨大な物流倉庫とその配送システムを舞台に、爆弾が混入されるという事件の解決に向け、それに関わる人々を群像劇として描いた映画。
事件推理とかパニック映画的な側面もある。けれど、映画の特徴としては、なんと言っても超巨大な物流システムの仕組みや、それを支える人々(ノルマを徹底管理された(死んでも止めることは許されない)倉庫の社員から、出荷される荷物を運ぶ下請けの配送業者、そして最後の末端(ラストマイル)の配送ドライバーまで)を描き、問題提起をしている点だと思う。
「カスタマーファースト」の言葉と表裏一体の利益優先のアメリカ巨大IT企業、それに翻弄され辛酸を舐める人、建前や矛盾を抱え込みながらも、それが人々の生活を支えているという現実。
Amazonをヘビーユーズしている我が身を振り返ると、決して他人事とは思えない(でも本当に便利なんだよな)。
ストーリーとして、少し筋が追いにくく難しいと感じる部分があったけど、よくできた脚本だったと思う。
満島ひかりは、超優秀な外資系社員(でも秘密やどこか不安定な感情を抱えている)という役によくハマっていました。
最初は
良かったかなーなんでなんで?と見て進んでいくうちに楽しかった。倉庫の仕事がどうゆう風になってるか、内部の中が見れるのは楽しかった。Amazonはこうなってるのかなーとか笑
それで、あの人が犯人だったらもっと面白かったのになーって。
でも、仕事はなんでも大変。思い詰める前に、誰かに相談したり、なんとか会社が対処して欲しいと思う作品でした。あとはドラマとちょこちょこコラボしているところはめっちゃテンション上がった!!
ブラックなフライデー
邦画にしては悪くはなかった
人の存在価値「ゼロ」?いや、、、
アマプラで配信してたので鑑賞。謎解きや伏線を考えつつ、最後までハラハラドキドキでき、さらに現代の資本主義社会の問題点について批判的な目線で問いかける佳作。ドラマの名作アンナチュラルのシーンが挿入されるなど、懐かしい面々も見ることかできて楽しめた。
ネットでは考察も色々出ているが、ロッカーに書かれた暗号「27m/s 70kg →0」が、何を意味しているのか説明がないまま終わり、皆さまざまな解釈をしているようだが、メモとして、以下4つの私の解釈を残しておく。
①単純には毎秒27m進む耐荷重70kgのベルトコンベアを止める(=0)には、山崎が飛び降りればいいという意味
②山崎が飛び降りることで瞬間的に止めることはできたが、飛び降りた彼を床に移動させてしまえば、無情にも再びベルトコンベアは動き始め、全く意味がない(=0)という意味
※これが山崎が意識を失う前のセリフにつながる
③①と②から、現代の資本主義社会においては、「金=資本」こそが主役で「労働者」は資本階級にとって交換可能な単なる商品にすぎない、存在価値などない(=0)というマルクスの「資本論」を暗喩しているのではないか?
④この暗号をもっと希望的に捉えるならば、主役は「資本」などではなく「人」そのものなのだから、仕事で追い詰められたら休めばいいし、作業をみんなで止めればいい(=0)、というメッセージが込められているのかもしれない。
なんちゃって。。。★
止まらない世界…
この映画をアマプラで見てる…デリファスはAmazonをイメージしたものだと想像難くないが、自分の生活には欠かせないものになってしまっている。世界中そうだと思う。当たり前のように届く、遅配はほぼ無いし、毎日のように届く。それが爆弾だったら恐ろしいと共に、この環境、システム、歯車の一つになってしまっているのがもっと恐ろしい。会社の掲げるスローガンによって雁字搦めになる社員、そして下請けの会社。合理主義の末路なのだろうか。便利さにストップは掛けられないし、より安価に買おうとする流れは止められないし、映画は警鐘的ではあったが救いがない。ドラマを見てなくても楽しめたが、各ドラマの役者が豪華出演しているため、クセ強キャラが多く非現実的で食傷気味。爆弾魔の訴え方は人を巻き込んではならないし、満島ひかりの行動も全てには共感はできなかった。
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