ラストマイルのレビュー・感想・評価
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現代人が便利さと引き換えに失ったもの
満島ひかりさん主演、主題歌米津玄師さんということで迷わず鑑賞を決定。
人気テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の監督・塚原あゆ子さんと脚本家・野木亜紀子さんが再びタッグを組み、両シリーズと同じ世界線で起きた連続爆破事件の行方を描いたサスペンス映画です。
私は両ドラマとも観ていませんでしたが、単体映画としても十分に楽しめました。両ドラマからの出演者も加わり、これでもかというくらいに出演者が豪華!一度に3度美味しいお得感満載の映画となっております。ドラマファンならより一層楽しめること間違いなしです。
塚原監督曰く、
「夜にポチッと注文した荷物が、貴方に届くまで」のお話を、ビールとポップコーンにあう映画に仕上げたとのこと。
脚本家の野木さん曰く、
「宅配荷物が爆発する話で、物流が止まると大変」という監督のワンアイデアをネタに一本書いたとのこと。
主題歌担当の米津玄師曰く、
「今回の『がらくた』という曲は、壊れていても構わないんじゃないかという、そういう意味合いを込めて作りました」とのこと。
「アンナチュラル」「MIU404」と繋がるシェアード・ユニバース・ムービー!!(複数の作家による複数の作品によって共有される物語世界)
監督:塚原あゆ子、脚本:野木亜紀子、主題歌:米津玄師の最強チームが贈る、極上のノンストップ・サスペンスエンタテインメント!
ワンクリックで、夜注文した物が次の日には家に届くというこの便利な世の中で、大いなる歪みを被った人たちがいることを再確認することになる映画です。スマートフォンの登場によりこの20年で大きく変わった私たちの生活。
便利さと引き換えに、
現代人が失ったものとは?
もしも願いが叶うなら
スマートフォンのないあの頃に
もう一度戻らないものか?
そう思ったことがあるのは、
私だけではないハズ…
目的地に着くまでのドキドキ
何かが届くまでのワクワク
なんだろうと想像するトキメキ
何かを待つという贅沢な時間
失ってしまった贅沢さを取り戻すために、私たちが今すべきことはなんなのか?難しい宿題を持たされて、映画館を後にすることになります。
鑑賞して損はない、
良作映画となっております♪
「システムよ止まれ」と彼と彼女は言った
ハンムラビ法典には、同害報復を表す有名な「目には目を、歯には歯を」の文言がある。この血讐法は、どれだけ社会が高度に発展しても、人間の感情の発露として、捨て去ることはできないかもしれない。〈DAILY FAST〉により、恋人を過労自殺に追い込まれた筧まりかの復讐は、荷物に爆弾を仕掛け、デリファスという会社の信用を失墜させることだったように見える。が、それは表面的だ。彼女が本当にしたかったことは、山崎佑とデリファス、そしてそれを取り巻くシステムを「同じ状態」にしてやること。つまり「機能停止」だ。
物流は都市のメタボリズムの生命線だ。それを止めると、メタボリズム(代謝)が不全に陥る。山崎のような「植物状態」に。物流のラストマイルの末端で、筧は自壊し、目的を完遂した。そう、労働者のストライキを惹起した。山崎が万が一目覚めても、筧はもういない。しかし、働く人たちの環境が1ミリでも改善されていれば、それが彼への世界の贖いになるだろう。
山崎がロッカーに残した謎のメッセージは、飛び降り自殺でベルトコンベアの流れを止める、というほのめかしだった。同時に、おそらく、利益最優先で何らかの不正を行っていた五十嵐に関する内部告発ではないか。
私たちのために「システム」があるのではなく、「システム」のために私たちがいる。近代社会の複雑化により、私たちは程度の差はあれ、「システムの奴隷」になった。その部品である自分が壊れることで異議申し立てをする。荷物がちゃんと届くことの「奇跡」の代償は、存外巨大なのかもしれない。
「物流の叫びを聞け」
などとタイトルに銘打っても私は詳しい現場の事情は知らないのですが、業界の網羅っぷりが凄まじい。業界のトップから配送センター、運送業者、末端の運送屋に、荷物を受け取る家族まで、それぞれの狂おしい事情を見事に噛み合わせて、物流全ての絵巻を画ききった凄まじい社会派サスペンス。
とはいえ、本当にリアルに再現されているかどうかは、自分には判らないけど。仮想の運送業者、配送センター、ウェブサイトや広告動画まで作り込みは凄いけど、こうした事件があった場合の企業の対応、警察の動きは本当にこれで良いのか。議論を呼ぶかもしれないけれど、やっぱり自分には判らない。その辺、評論家の方にお願いします。ただ、広告はワザとだろうけど、映像が暗いなあw 本当はもっと楽しげですよね。
でもまあ、本当にそれぞれの対応が正しいのか疑問に思うほど、「お前はいったい何と戦っているんだ」といちいち問いかけたくなるほど、問題は爆破事件なのに、それぞれの都合に振り回され、例え爆破の被害者が出ようとも配送を止めるわけにはいかないトップの事情。むしろ犯人よりも悪役に見えるけど、仕事に振り回される人なら痛いほどよく判る使用人ならではのストレス。
そう、むしろ犯人が戦っていたのはそのストレス。事件の動機ともいうべき「ブラックフライデーが恐ろしい」という、彼氏の言葉を伝える彼女のシーンが凄まじかった。恐らく、自分の映画鑑賞体験のトップランクに入ると思う。日の丸構図に近い役者を中央に置いたインパクト。そしてむしろ人物を小さく、広く開けた空間が痛いほど心境を物語る。キューブリックのシンメトリーとか、この手の構図が好きな私には、エグイほど突き刺さった。むしろ犯人が自らの死をトリックに使う壮絶さよりも。
ただ、ロッカーの落書きの意味が自分にはつかみ取れなかった。どういうことだろう。身投げによる自分の死を持って物流を壊してしまいたかったのだろうか。それほどに頑なで酷薄な社会のシステムに訴えかけたかったのか。それとも、「飛び込めば、全てから逃れられる」という仕事に押しつぶされてしまった者の心理か。
それ故に、爆破事件の解決よりも、トップにストライキで訴えかける逆転劇こそが、この映画のクライマックスだったのでしょう。本当に戦うべき相手は誰なのか。本当の事件は何か。それはむしろ爆破事件なのではなく。
とにかく、幸せな人がほとんどいない、見ていて辛い映画だったのは否めない。わずかな合間で語られる、離婚に至った陰鬱な家族の事情が、お届け物で笑顔になった。それだけが最大の救いであったような気がします。
いや本当に、仕事が辛くなったら、みんな逃げよう。後のことは気にせず、退職届なんか後回しで良いから一目散で。
便利で効率的な暮らしの裏で戦う人々の姿
きっとみんな薄々気づいているけれど見てみぬふりをしているもの。
送料無料で頼んだものが明日届く。
よく考えたらわかる。利便性を追求し、それを当たり前のように享受している日常の奥で、苦しみながらも闘っている日本の物流の人たちがいることを。
けれどその豊かな生活を手放したくないから、課題解決を後回しにし続けている。
きっとこれはフィクションではなくて、ノンフィクションになってもおかしくない悲劇なんだと、見終わった後すごく考えさせられた。
大好きな野木脚本な上に、大好きなアンナチュラルとMIUの2作とのシェアーズユニバースムービーというだけで、ワクワクが止まらないのに、それを抜きにしてもしっかりと作り込まれたストーリーとキャラクターとメッセージに、やはり塚原✖️野木タッグは裏切らないと感動した。天才すぎる。
最後の伏線回収もお見事だし、シンプルなハッピーエンドで終わらせないところも良い。
きっと2度目はまた違ったことに気付いたり感じたりできそうな映画だなと思った。
日本のブラックフライデー
「アンナチュラル」と「MIU 404」は見ていないけれど、すごく楽しめたし、歯ごたえ抜群の社会派ドラマだった。というより、2本のテレビドラマの要素はあまり多くないのでは。初見の人の方が楽しめるんじゃないかとすら思った。
舞台は、巨大ショッピングサイトの物流センター。ブラックフライデーに向けて大忙しの中、配達物が爆弾とすり替えられて、死者も出てしまうが、繁忙期に物流を止めたら、経済的な損失が大きい。警察の捜査も迫る中、犯人捜しと経済活動を両立させるために主人公たちがもがく様を、上層部や配送センターの下請けの従業員など多数の関係者のエピソードを交えながら描いている。
そもそも、ブラックフライデーはアメリカのサンクスギビングの後の金曜日の安売りデーのことなのだが、なんでサンクスギビングのない日本でそんなのやってるんだと改めて思わされる内容である。もう、単に商品売る側が何でもいいから理由つけて、商戦期創り出しているみたいな話であって、グローバル資本の歪そのものだ。
人が死んでもベルトコンベアは一瞬しか止まらない。巨大なグローバル資本主義は何もかも呑み込んで利益のために人を動かそうとする。資本主義との対決は難しい。自分たちもその土台に乗っていないと生活できないのだから。でも、資本優先になりすぎた社会は明らかに歪んでいるのも確かだ。
息をつかせぬ展開
何度ももしかして‥と思っては覆され、最後まで飽きること無く楽しめました。
ドラマシリーズのキャラクター達も違和感無く登場していましたがそんなにアピールしなくても作品の力だけで宣伝も十分だったのでは?と思います。
主人公のキャラクターは好きじゃないし共感も出来ないし清々しい感じでラストを迎えていましたがそんなに何かをしたか?と思ってしまいました。鑑賞後ネットで買い物をするのに何とも言えない感情になります。
シンプルに面白いが久しぶり
評価が高くみたいものもないので見に行ってみました。
シンプルに面白かったですね。
最近の日本の映画ってしっとり、無音、独特の世界観みたいなものが芸術的だと思われてるのか?また長ったらしいタイトルの映画ばかりで飽きていました。
そういった作品も嫌いではなかったですが、たまにでいいからもうお腹いっぱい。
そんな中こういったシンプルにハラハラする、次の展開どうなる?みたいな、結論はイメージつくが過程が読めない作品は久しぶりで久しぶりに楽しめた!
更に「アンナチュラル」「MIU404」要素もちょこっとではなくだいぶがっつり繋がっていてキャストとのスケジュール調整可能だったのか?とか無駄なこと考えてしまった笑
ジャンル的にサスペンスといっていいのかわかりませんが、こういったところが韓国に負けてるのでもっと頑張ってほしいですね。
極限まで効率化された巨大物流倉庫の不気味さ
世界的ショッピングサイトの巨大物流倉庫の社員はわずか数名のみ。
数百人の従業員はシステムの一部として働き、完全自動化出来た暁には、即座に解雇されるのだろうなと予感させられる。
そんな物流倉庫で起きたサスペンスフルな事件。社会問題としても考えさせられます。
お祭り映画ながらも緊迫感があって良い
予告編を観た感じお祭りサスペンス系だと思ってみたが、全体的にシリアスな雰囲気で、それが良かった。超豪華キャストでサスペンスをやるというのは踊る大捜査線を思い出した。メインキャラがピンチになるとMIU404やアンナチュラルが登場するのも日本版アベンジャーズと言っても過言では無いくらい盛り上がった。また、社会問題にもたくさん触れており、日本の伝統工業が海外の安価な製品によって衰退していることや、日本全体が欲しいものに溢れていること、それによって物流全体が過労働になっている事、そして更に物流を支える人も欲しいもので満ち溢れていること、これを伝えたいような皮肉もたくさん見られた。
シェアードユニバース。。。
アンナチュラルやMIUの面々にまた会えたのは本当に嬉しかったです。ですが、これ、シェアードユニバースに入れます?この映画の主人公、人が死んでもしょうがない的な発言しましたよね。少なくともドラマ2作品の主人公はまっすぐで正義感ありましたよ。一本の映画としてみればいいキャラクターなのでしょうが、ユニバースとしてはあまりにも主人公のキャラクターが異質すぎて同じ土俵に立たないで欲しいなと。
いろんな考察もあるようですし、監督さん達もコメンタリーやったりしているようですが、そんなのは本当にこの映画が楽しかった人たちが見るものであって、そこまで楽しくなかったので全然興味が沸かないです。
それと、公式のX、白井くんたちの発表早すぎです。公開から1週間経つ前にやりましたね。最悪です。
運送業界の現実
ネット通販が急速に発達するなかで、それに追い付かないインフラや人手不足などの諸問題に焦点をあてた作品。
ワンクリックで注文できるのに対して、商品を届けるには、商品の選別・梱包・発送など様々な機械や人間が関わっているから、そりゃこんな事件が本当に起きてもおかしくないなと思った。
満島さんの演技は職場のシゴデキ女子そのままといった感じでみていて少し疲れてしまった(笑)
責任者が次々と変わっていく職場(中には自殺者も含む)は大変だよなあと共感してしまった。
トップのデジタル主義と末端のアナログ現場でのギャップがなんとも今の様々な業種における問題なのかなと感じた。
ミスリードという手法
満島ひかりの一本気の演技力に押し切られちゃうけど
物語は イマイチ乗り切れず
謎の新任センター長が 怪しいとミスリードさせる為だけの犯人像
飛び降りた男も 爆弾犯の恋人も 動機や方法に 腑に落ちるトコロが 無い
愉快犯や株価操作のが まだ 納得だったかも
最後のアレのための 母子家庭話 宅配便親子のシーンはリズムを崩すし
中途半端な ドラマ主演級の出演者の絡みも 勿体無いよね
拙いストーリーを覆すほどの疾走感が欲しかったかも
ロッカーの字は謎なの?
面白いんだけど、肝心の2.7→0がいまいち響いてこない。コンベアーを止めるという意味なら表現が不自然だ。謎解きに使われそうな思わせぶりな表現方法なので、観客は謎を知りたいと思って期待する。秒速の変化をそのまま書いただけとは、工夫が無く期待感が萎んでしまう。一番ポイントとなる場面なのに、想像力が膨らまないうえ、当の人物の動機がぼやけてはっきりしないのでもったいなかった。
まあでも全体的には満足できる。
細部まで再現力がすごい
関連ドラマを見ずに視聴。
洋画みたいな始まり方してかっこいいです。
大手外資系企業の内情や倉庫、システム、そこで働く日本人の心情など再現力が高くおもしろかったです。
動機の部分や過労死の部分はやりすぎな印象ですけど笑
(ベルトコンベアを止める為に!?飛び降りた!?そんなに!?w)
絶対に止めない!という強い意志が売り上げに繋がっているというのは、当たり前なことですが確かにそうだなと考えさせられました。そこまで考えず利用してましたね。
犯人に辿り着くまでの過程やサスペンスとしての展開も二転三転してよかったです。関連ドラマみてたらもっと面白いんだろうなって思う登場人物が沢山でてきました。
配送業者の方には心から感謝です。できるだけまとめて配送📦🚚を心がけて不在なしにしようと改めて思いました。
大手企業の実態、根源にあるお客様ファーストは、果たして会社の利益のためか、それともお客様のためか。従業員の心もうまく再現しており素晴らしかったです
あくまでも映画なので実際とは異なる部分もあるでしょう。ですが、ポチるだけでほしいものがすぐに届くことが当たり前になった現代人に向けて、そこにはたくさんの人達の努力と労力が詰まっていることを伝えているいい映画です。
働いてる人がみたらさらに面白いかも。という印象。
何を楽しめば良いのか
キャストは豪華で知ってる人ばかり。
ただ内容が社会派のテーマを扱っている事は良いが、それで観てる人が何を感じ取れば良いのかよくわからなかった。
メッセージ性もなく、どこに魅力があったのかよくわからなかった。取り上げたテーマが一番の見所という事なのか。
野木&塚原の社会を見る力
現代の物流問題を下敷きにしてこれだけ見事なサスペンスを作り上げる“創作力”はさすが人気ドラマを打ち立てた野木&塚原コンビの成せる技だ。どこかで聞いたような台詞がひとつもない、生き生きした個性的な会話の連続には感嘆してしまう。
何より、物流問題に、働く現代人の蝕まれた精神を投影してみせたことがこの作品の価値を高めている。
また、アンナチュラルとMIU404の世界観の交錯はまさにエンターテインメント!
満島、岡田両人の達者な演技力もさすがと言う他ない。
一方で、折り重なる謎解きに埋もれてしまって、働く人の葛藤や無力感といったものが解き放たれるような切実な人間ドラマが乏しいように感じたのは心残りだ。
アンナチュラル、MIU404メンバー集合
アンナチュラル、MIU404を観てからこの作品を鑑賞しました。
この作品は本当に現代の流通システムや弊害等をよく描いていて、そこに事件が起こり最初から最後まで引き込まれます。
また、主軸はアンナチュラル及びMIU404のメンバー達ではないのですが無理なく自然と登場して事件解決に寄与していく点も良いです。
アンナチュラル、MIUの続編が待望されます。
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