「サイコパスに人の心が宿るとき」スマホを落としただけなのに 最終章  ファイナル ハッキング ゲーム bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0 サイコパスに人の心が宿るとき

2025年12月10日
PCから投稿

『スマホを落としただけなのに』シリーズの第3弾。スマホの個人データーを盗み見て、若き黒髪の美しい女性を惨殺してきた犯連続殺人魔・浦野善治を主人公にした本シリーズも、いよいよ最終章。前作で、加賀谷刑事によって逮捕された浦野だったが、得意のサイバー攻撃を仕掛けて刑務所から、まんまと脱獄を企て、その後足取りはつかめなかった。

今回は、韓国と日本を舞台に、韓国の反政府組織の手下となった浦野が、再び加賀谷刑事と対峙する。本作の見所は、浦野を演じる成田凌のサイコパスとしての演技にある。本シリーズ通して、少しずつ浦野の言動にも変化があった。これまでは、人を殺すことを厭わず、変態的なストーカー振りを見せ、猟奇的な闇の顔を常に押し出していた浦野だった。しかし、本作では、単なるサイコパスとしての猟奇さだけでなく、その心の片隅に愛する感情を抱いた孤高のヒーロー的な存在として描かれていく。1作目から執着していた麻美への思いを玄関先で断つシーン、ラストで加賀谷刑事に「浦野~!」と、名前を呼ばれるシーン、そして、韓国の組織の女・スミンとの間で感情が揺らぐシーンは、これまでになく、一人の男として浦野善治を描いている。

物語は、韓国の反政府組織が、逃亡者となっている浦野を雇い、日韓首脳会談の狙ったサイバー・テロを仕掛け、加賀谷刑事がサイバー・テロ防衛チームに加わり、迎え撃つと言う内容。その中に、警察内部の者による裏切り、加賀谷の妻の妊娠、スミンの浦野への恋慕、と共に2人の忌まわしい過去の記憶などを絡め、1.2作目のオマージュも取り入れながら展開していく。しかし、イマイチ盛り上がりには欠けて、観る者の感情を鋭く突いたり、揺さぶったりするような作品にはならなかった。

と言うのも、これまでも加賀谷刑事を演じる千葉雄大のミスキャストを感じたが、今回も同様。童顔で女性的なイメージの強い千葉には、こうした血生臭い刑事役としての凄味に欠ける。ドスの効いた兵頭刑事を演じた井浦新と違いを強く露にした。また、物語そのものも、先が読める展開で、日韓首脳会談シーンが、あまり物語の意味をなしていない事も含め、ミステリ―・サスペンスとしての面白さは、あまり感じなかった。そしてラストシーン。あまりにふざけてないだろうか…。

出演者の中で、成田凌がこのシリーズを通して、役者として大きく成長した事だけは、確かな事である。また、韓国の反政府組織のボスを演じた大谷亮平は、韓国語を流暢にしゃべり、韓国のボスらしい立ち居振る舞いは、良かったと思う。

bunmei21
りかさんのコメント
2025年12月13日

大谷亮平さんは、以前に韓国🇰🇷で俳優として活動されてからのようですね。
千葉雄大さんのこと同感。

りか
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