「ドキュメンタリーの限界を超えた傑作」Black Box Diaries nahahaさんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタリーの限界を超えた傑作
映画としてとても良くできている。悪質な性暴力の被害者が自らを題材に映画を作るというのは前代未聞ではないだろうか?当時の報道なども思い起こしながら鑑賞したが、その裏での本人の苦悩や葛藤が痛いほど伝わった。
加えて、テロップや自らの心情の吐露に至るまで、映画内の説明を基本的に全て英語で通していることに、伊藤氏の覚悟を感じた。制作が日本人では無いことも一因だろうが、それだけではなかろう。想像だが、伊藤氏は日本の枠内に留めていてはこの作品の説得力は半減してしまうことがわかっていたのだと思う。若い頃から海外で過ごした伊藤氏にとって、極めて日本的な闇の存在を正確に普遍的に可視化するためには、日本的な枠組みの中に留まるわけにはいかなかったのではないか?その意味で、海外公開後の弁護士との行き違いもそれを押しての日本公開も、全て覚悟の上でのことだろう(余談だが、弁護士側の言い分を聞いていると、結局は日本的な常識の枠組みの中で伊藤氏を批判しているように感じる。それは映画の中で出てくる伊藤氏に批判的なメールを送りつけてくる女性や、ラストの方で罵声を浴びせる女性と同じに見えてしまう)
そして英語での伊藤の語り口も、非常に明快で力強い。難しい言い回しなどは殆ど無く、少しヒヤリングに慣れた人なら中学生でも理解できそうな明快な単語で語る独白は、ストレートに聞く人の心に響く。
日本のドキュメンタリー映画もようやくここまで来た。
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