「何とも微妙に感じた作品でした」Black Box Diaries Bigcatさんの映画レビュー(感想・評価)
何とも微妙に感じた作品でした
なかなか日本での公開がされず、非常に気になっていた作品でした。
特定個人(この作品では監督ご自身)ついてを扱うドキュメンタリー作品については、何を基準に評価をするべきか、そもそも評価をするべきものなのか悩ましいところです。
こういう事件についてもっと話せる社会にしたい、こういう事件から被害者が守られる社会にしたい、そもそもこういう事件が起きない社会にしたい、ということは伝わってきました。
この作品を1人でも多くの人が見ることで、社会でのとらえ方が変わる一歩になるのではと思う反面、以下に示すような理由により、ぜひ見てくださいとおすすめするのもどうなのかと微妙に思う作品でした。
当事者からの指摘を受けて、日本語版ではその部分に修正が加えられたようですが、修正後の内容に納得が得られたのか明らかにはされませんでした。当該関係者の理解がもし得られたのであれば、日本語版公開のタイミングできっとその旨言及されたと思いますが、そういうコメントはなかったので、理解を得るには至っていないのだろうと推測してしまいます。
また報道などで言われているように、伊藤さんの主張全体を揺るがせてしまうような事実関係があったという指摘に対するコメントがなかったのも、描かれているとおりに理解してよいのか微妙に思ってしまう理由でした。こちらも、反論できるところがあればきっと反論していそうなのに、なぜそうしないのかとは考えてしまいます。
このドキュメンタリーで示されているままとらえるのではなく、この点は同意できる、この点はよくわからない(同意できない)などと、他のドキュメンタリー作品以上に、自分で考えながら見る必要のある作品だと思いました。見る側に、見る力を強く求められる作品、と言った方が良いのかもしれません。
描かれているとおりであるなら、加害者(とされる)側に汲むべき事情はなさそうに思いますが、そこまで安心・確信して見ることまではできなかった、というところです。
とはいえ、外部から大きな力が働いて伊藤さんが大変苦労されたということだけはどうも間違いなさそうです。
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