「もったいないと感じる作品」ふれる。 なみとさんの映画レビュー(感想・評価)
もったいないと感じる作品
映画を見終わった後、内容のなさを感じてしまった。「相手の気持ちがわかる能力がなくても理解しあえる」というメッセージしか、この映画で得られなかったような気がする。
キャラクターそれぞれの深堀りが足りないのかなと思った。秋と諒と優太の三人が、「ふれるの力を使わなくても親友になっていた」的なことを言っていたが、秋以外の心理描写が少なく、本当にふれるがいなくても親友になれていたのだろうか。副担任の先生はなぜ、ななをストーカーしていたのか。優太はなにが原因で学校で孤立していたのか(島の人間だったからが原因なら、エンディングで仲良く話していたのが謎)。諒があれほどまでに不動産会社に依存していたのか(会社内での諒の心情がわからない)など、よくわからない共感できないシーンが多かったように感じる。
それと、ななが主人公を好きになった理由が後で「高身長、イケメン」だったとわかったが、何のためにそのシーンを出したのかわからなかった。普通に見ていれば、ひっかくりからカバンを取り返してくれたからだと思うのだが。この映画を見た人に、このキャラは実はこういうことを考えていましたと伝えたかったからかもしれないが、それを納得させるような伏線も張ってなかったような気がする。
また、ストーリー展開にも疑問を感じた。秋と諒と優太の三人の友情に亀裂が入り、ふれる暴走、仲良くなったと思ったら、ふれるが自分の存在価値が分からなくなってしまい世界を巻き込む大事件に発展する...という展開。ふれるにスポットを当てたいのなら、ふれるが急にしゃべりだすだったり、自分の付加価値を示すように行動し始めるだったり、ふれるが何考えてるのかわかりやすくするべきだったと思う。
作画のクオリティは高く、人の感情が触れただけでわかるという設定は面白かったので、単純にもったいないなと思った。