劇場公開日 2024年10月4日

「求められているものとのギャップ」ふれる。 じゃがり子さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0求められているものとのギャップ

2024年10月6日
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鑑賞方法:映画館

映画は「普通に」面白かった。
先入観や期待がなければ普通に楽しめる作品だと思う。

ただ、秩父三部作ファンの私としては、長井岡田田中トリオの作品が期待されているレベルには達していないと感じた。
...というより、求められているものと製作陣の方向性が合っていないのかもしれない。

少し肩透かしをくらった気持ちになった。

【ストーリー】
普通におもしろい。青春感は感じられる。
人間関係のところは岡田さんらしい胸の奥がチクチクする描写で良かったが、主人公たちの魅力があまり感じられなかったのが残念。

あと、後半の持っていき方や映像の使い方がありきたりで新海誠監督の劣化版という感じがしてしまった。
そういう系はあっちに任せた方がいい。

【キャラクター、作画】
秩父三部作のようなかわいらしさやかっこよさがない。
ただし作画はさすがの一言。綺麗でかわいい。人もキャラも、背景も。

【声優】
そもそもファン層が売れっ子俳優に飛びつく層ではないのに、何故起用するのか。
結果的に古のアニメガチ勢も、新規の俳優ファン層も、どちらもリピーターにはできないものになっている。
これは「空青」で学ばなかったか。
明らかな失敗の一つがこの配役。

とは言っても、主人公の俳優たちは想像よりも頑張っていて評判より全然悪くなかった。ただ、幼少期担当の声優がプロなので、成長後に切り替わったあたりはどうしても違和感がある。

それと、脇役に過去作のキャストがいるのはエモくて最高だった。

【音楽(劇伴、主題歌)】
劇伴はあんまり注意して聴いてなかったが、良かったと思う。
主題歌のYOASOBIはあまり合ってなかった。
フリーレンや推しの子のような化学反応はなく、無難に男性Vo.の青春ロックで良かったのではないか。
正直これも失敗だと思う。

【総合】
流行りものをハメておけば客が釣れるだろう、で失敗している典型。
期待していた人はたぶん全員ガッカリする出来栄え。

冷静になって過去作見てない人にはどうだろうか…と考えると、「普通に」面白い。という感じ。

じゃがり子