「面白かったが....」ふれる。 ざんぎさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かったが....
作画はとても良かった。
声優陣にも個人的には違和感なし。
そして映画のテーマもとても良かったと思う。
(解釈の違いはあるかもしれないが)昔ながらのコミュニケーションや
現代のネット社会(主にSNS)にも言える問題提起だろう。
全体としては面白かった。
ただ、描き方というか表現というか...演出方法が好きになれなかった。。。
----以下ネタバレ注意----
タイトルおよびCMの中でも見て取れるが
「ふれる」という人の心を繋げてくれる妖怪?神様?の力を借りて
友情が育まれるところから物語はスタートする。
徐々に「ふれる」の力によるコミュニケーションのデメリットが
浮き彫りになるというストーリー展開なのだが
問題の起点が男女間のモツレってのが...
リアルではあるかもしれないが、ありきたりな上に
「ふれる」なんていう尋常ならざる力の問題点が
その程度のことから始まってしまうのかと、少々ガッカリした。
「ふれる」という力や存在の大きさに対し
起こっている問題が小さく感じてしまうため
これって「ふれる」がいなくても、いつかはぶつかる悩みだよねと考えてしまい
「ふれる」の存在意義そのものが低くなってしまっている気がする。
そもそも、ヒロインが登場したあたりからずっと
「この話の流れはどうなの」という感じが続きっぱなしになる。
ヒロインは登場時、ストーカー被害に合っているのだが...その暫定解決策が
『名前も知らない男共(=主人公たち)の家に上がり込む』って時点で理解ができない。
曰く「男所帯に混ざれば無茶なことはされないだろう」的な...
「そうはならんやろ」が過ぎる。
しかもそのヒロイン、多少なり気がある男性がいながら
他の男に対する同情やその場の空気でキスまでしてしまうのだ。
そりゃストーカーに「尻軽そう」って言われても仕方ない。
ストーカー行為はただの犯罪なので、間違っても賛同するつもりは無いが
この作品のヒロインにおいては、被害者側にも原因アリと思えてならない。
というか、作品内では何故ストーカー被害にまで発展したのか語られないため
勝手な妄想が膨らんでしまうのだが、ヒロインが(自覚・無自覚はともかく)
何かしたんやろなって思ってしまう描かれ方に感じる。 これは意図的なんだろうか?
言っては悪いがこのヒロインの存在自体が問題だったのでは?という
キャラクターへの嫌悪感に繋がっていて、気持ちよく見れなかった。
全体を通して
「ふれる」という存在を使って伝えたいこと(本作のテーマ)は大変良いものなんだが
それを伝えるまでの経緯が尖りすぎており
結論(エンディング)を見る前に、気持ちがゲンナリするストーリー展開に感じるため
鑑賞後に(というか鑑賞途中から)モヤモヤした気持ちが晴れない状態になってしまうのが残念。