「正直申し上げて、腑抜け達に共感はできない。」ふれる。 やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
正直申し上げて、腑抜け達に共感はできない。
日本のどこかの離島で育った子供時代の秋くんは、感情が昂ると声が出せなくなる悩みがあり、学童保育で一緒だった2人(諒くんと優太くん)ともなかなか馴染めずにおりました。しかし、秋くんがひょんなことから「ふれる」という謎の生物を海辺の祠?で捕獲することになります。そのふれるの能力が発現し、それ以来3人は手を触れさえすれば言葉を介さずともお互い気持ちが通じ分かり合えるようになりました。
親友になって硬い絆で結ばれた3人は学生時代も親交を深め、それぞれ別の進路に進みながらも同時期にふれるも含めて上京し、同じ一軒家(借家)に住むことから始まるストーリーです。
仮に考えが分かるからって性格や価値観が違えば互いに共感出来る範囲には限界があるし、それで仲良しになるのは変な設定だな、と当初から違和感がございました。また、悪意や嫉妬、隠しておきたい不都合な思考が不用意に伝わったらプライバシーもへったくれもなく心休まらないよなあ、と思いました・・・が、これらは「ふれるの裏設定」により後にそれなりに解消されるんですがね。
上記の違和感は、そういう設定なんだと自らに言い聞かせなんとか許容できたのですが、私がストーリー序盤で一番納得いかなかったのは、「被害者の女性が困って居ることを(おそらく)認知してるのに、ひったくり犯を追跡しようともしない秋くん以外の二人。」・・・つうか、やっかいごとに巻き込まれんな・・・みたいな発言さえして最初秋くんを止めてませんでしたか?最後はしぶしぶ行動してたけど。ちょっとあっけにとられて記憶が曖昧ですが、正義感のかけらもない悪いイメージだけ深く刻まれた次第です。期待したふれる能力もこのシーンでは効果的に発動しないし、設定が脚本にうまく絡んでおりません。
何より、いつから日本男児はこないな腑抜けになったんだと、情けなくなりましたよ。確か島んちゅうの漁師の息子居ましたよね。「お前、海の男は口だけか!」・・・と罵倒してやりたくなりましたよ。私、関東北部山沿い地方で育った山の男なので!
アニメの中だけでも正義に燃えてほしかったのですよ。ファンタジーアニメなのに変なとこだけリアルにすんなって思いました(笑)。
第一印象があまりに良くない2人だったので彼らには共感出来ず、3人の感情のすれ違いにはむしろ当然と思い、早く別居すべきだよ、秋くんにとってはむしろ悪友だよ・・・なんて終始思っているうちに、想定内の男女のいざこざがあり、しまいにゃ暴走モードに入って・・・終わってました。なんか最後だけ都合よく纏めた感じ。
最後に加点要素を!
大好きなレジェンド声優である平野文さんのお名前をエンドロールに見つけたこと。そして主題歌が何頼まれてたって名曲にしちゃう、YOASOBIだったことです。個人的に素晴らしいキャスティングだけど、頑張って+0.5星ですね。
では。