劇場公開日 2024年2月23日

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「GOD IS NOWHERE」ハンテッド 狩られる夜 クラさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 GOD IS NOWHERE

2025年11月21日
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劇中で頻繁に映る、GOD IS NOWHERE の電光掲示板。"神なんて居ない"というワードは日本よりも熱い信仰心のあるアメリカでは不穏な看板だが、本作ではまさにそんな言葉が当てはまる。不倫相手と家路を急ぐ主人公は製薬会社勤務であり、夜中の2時に電話をかけて来てちょっとイラッ💢な旦那には愛されている模様。不倫相手は同じ会社の、旦那とは正反対そうな寡黙な男性。
立ち寄ったコンビニ併設のガソリンスタンドにて、店内から出ようとした瞬間に銃弾の雨に襲われる。腕を深く負傷し、不倫相手は頭をぶち抜かれて死亡した状況に置かれる。何故、なんで私が…なんて誰も聞いてくれない。店内にあったトランシーバーを使い、狙撃犯と会話をしながらちょっとした心理戦になるのだが、まぁ犯人がベラベラと喋ってくれるお陰で怖さは半減してしまう。映画としてはどうだか分からないが、何も言わない相手から狙われている方が100倍怖いのでは無いか。
それでも、いつ撃たれるか分からない状況はかなり怖く、90分強の本編はずっと緊張感が漂う。映画館の大音量では銃弾の猛攻が来る度に体がびくついたが、テレビ画面ではそこまでのサラウンド効果も無い為、非常に劇場向きのホラー作品と言えよう。相手が主人公の事を事細かく知っている点や、店内で既に死亡していた女性の事を犯人が"妻"と言った上で"浮気をされた"という、渦中の主人公もピクッと来たであろう話をされた事から、旦那が犯人では無いかと恐らく誰しもが思うはずだ。そして、途中で買い物に来た男性。亡くなっていた犯人の妻とはここの店で知り合って親しくしていたという明らかに怪しそうな人物も一緒に狙われるのだが、出てくる人物がそれぞれ怪しいのである。しかしそれもミスリードであり、「SAW/ソウ」のジグソウよろしく最前列で死を鑑賞するのかとも思ってしまったが、犯人が見えない状況下で、誰しもが「誰が犯人なんだ」という答えを欲しているのを意識した上で上手く観客の心理を利用した展開を呈している。

やはり犯人が喋りすぎだが、1人の少女がやって来た所から別のハラハラ展開となる。思わず「あぁっ…」と声を漏らしてしまった。主人公が妊活中であり、旦那は少しの登場だが早く子どもを授かりたいと願っており、主人公は恐らく仕事から離れる気が無く、どこか心ここにあらずな表情なのだが、それらを考慮して見ず知らずの子どもが危険になった際に働いた本能を描いたのだろうか。前半と後半で主人公の表情が全然違うのもポイントだ。犯人に全てを話した事で心の中のモヤモヤが晴れたとでも言うのか。あの状況で前半みたいな無表情でいられたら犯人よりもサイコ野郎だが、少し意味ありげに思えた。細かな演出は上手いと思うが、全体を通しての恐怖感は薄く、意外とグロも控えめであり、(何を隠そう製作はアレクサンドル・アジャ)終始マイルドな恐怖だが緊張感は張り詰めた形の作品だった。少しでも雰囲気を高める為にはなるべく音量高めで観る事をオススメする。

クラ
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