「よくできたストーリー。子育てをした親なら、さらに深く楽しめる。」インサイド・ヘッド2 p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
よくできたストーリー。子育てをした親なら、さらに深く楽しめる。
純粋無垢な子供だった主人公ライリーが成長する体験を、わかりやすく解説しながら、見事なエンタテーメントに仕立てていて、さすが。クライマックスのヨロコビが操作パネルに“呼ばれて”行くシーンは、本当に良かったなあと感じた。ラストのダリィが「ここは俺が」と操作して締めるオチは、思春期あるあるで、笑えた。
失敗などの、思い出したくないことをなかったことにして、「私はいい子」というライリーのこころができていくという設定は、『小さい子供の時はそれで良いけど・・』という話の展開になり、なるほどと思った。なかったことにせず、それを含めて本当のライリーのこころを作るというのは、何だか人生訓のようだけど、その通りと思う。
頭の中の感情たちの中で、ヨロコビがリーダー格で、率先して行動を起こす。確かにいろいろなモチベーションの中心にはヨロコビ(Joy)を求める気持ちがあるので、「そうだよなあ」と思った。ライリーが寝ようとベッドに入った時に、ヨロコビがネガティブな考えが浮かんでくるのを止めさせて、ポジティブな夢をライリーに送る場面は、「そうだ。ヨロコビがんばれ!」と思った。
カナシミとハズカシも、この映画ではけっこう活躍していて、感情もバランスが大事だねと感心した。
新しい感情のシンパイは、子供にはない「こざかしい大人の計算」という印象。英語ではAnxietyと表現されていて「心配」という意味もあるけど、「気遣い」とか、「~したいという気持ち」という意味もあり、日本語の心配よりもう少し広い範囲の感情らしい。
ライリーが友達に冷たくしたのに、その友達やさしさに救われる場面は胸が熱くなった。そういう友達をつくったライリー自身の積み重ねがあったのだろうと思う。
ライリーが小さいころに好きだったモノがピンチで活躍する。この場面も誰もが思い当たるモノがあるので、心に響く。
映画館には、小学生の子供と親というグループも多かった。でも、小学生の子供には新しい感情たちを理解するのは難しいので、面白くなかったということになりそう。
そうなったとしても、親としては「今の無垢な子供との時間を大切にしよう」と考えると良いのではないか。そして、その子が大きくなった時にもう一度見て、今回の鑑賞をナツカシむのが良いと思う。