「素晴らしい、けども。」インサイド・ヘッド2 Liskyさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい、けども。
1は本当に大好きで数あるピクサー作品の中でもナンバーワンクラスです。その続編ということで楽しみにしていきました。もちろん素晴らしい作品です。
「思春期」という難しい時期にさまざまな感情が生まれ、ヨロコビやカナシミなどだけでは無い感情たちと共にいわば「大人になっていく」というストーリーはどの人にとっても共感できるものです。
特にクライマックス、シンパイが動きすぎて(つまり過剰に心配になってしまって)逆にコンフリクトを起こし動けなくなってしまう、という描写が素晴らしいです。これは誰だって経験したことあるものでしょう。
それぞれの新たな感情もいいです。特にハズカシとイイナ、このふたりは実は「他者ありき」の感情なんですよね。世の中に自分しかいなければ、ハズカシもイイナも起こらない。このふたつを持つことが、他者を意識する思春期でしょう。
ただ。
流石に感情のキャラクターが多くなりすぎです。そのせいでそれぞれのキャラクターが活きていないという感じです。それはとても勿体無いですね。むしろ今回はシンパイの登場だけでも良かったかもしれません。(ダリィ、ハズカシ、イイナがいいキャラなので苦しいところですが)
ナツカシは本当にたまに顔出すだけなのでこれは削っても良かったのではないでしょうか。
前作にあったギャグ(理想のボーイフレンドやガムの歌)なども減りそこも惜しいです。ただこの上映時間に収めるには仕方ないところかもしれません。むしろこの話は配信ドラマのほうが合うかもしれません。
【日本語版主題歌】
前作冒頭の日本語版主題歌は正直、私にとってはトラウマ級のひどいものでした。なぜピクサーの映画を見に来たのに冒頭数分、日本語版主題歌を聞かなきゃ(見なければ)いけないのか。あれは酷かった。もちろん歌ってるアーティストに罪はありません。今回も日本語版主題歌があるとのことで本当に憂鬱な気持ちで行きました。しかし今回はエンディングロールに使われておりそれほどまでの不自然さはありませんでした。1の日本語版主題歌に憤っている方にもそこはご安心いただけると思います。
【日本語吹替版声優について】
メインキャラクターであるシンパイを演じた多部未華子さんは素晴らしいですね。彼女の新境地と言えると思います。そのほかの声優さんもすべて素晴らしいです。
一点だけ。これはもう叶わぬ願いですが、1と同じ声優さんが演じる2のヨロコビ。。聞きたかったですね。もちろん2のヨロコビの声優さんは素晴らしい演技です。