「感謝の意 形で示そう いますぐに」リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング 流離いのオオハシさんの映画レビュー(感想・評価)
感謝の意 形で示そう いますぐに
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膨大な映像資料や多数の関係者へのインタビューを織り込みつつ、その一生と遺したレガシーを101分にギュッと纏めた良作。
ロックスターには珍しく?身内、友人や関係者からの評判が非常に良いのが印象的。
I am everythingの言葉通り、音楽史における創造者で建築家で破壊者で革命家で解放者・・と称号に事欠かない。アップダウン激しく人生そのものがジェットコースターのような人物。
神を深く信じ、一方で破天荒な面もあり、他人にはとても優しいが自分自身はなかなか満たされず心を晒せない。クイアーだが(内心はさておき)女性と結婚して良き夫として尽くした。黒人アーティストはまだ不遇の時代、作り出した音楽は白人にある種踏み台として扱われることも多かった。不平等な契約のために困窮し、神の愛を説く生活からまたショービジネスに舞い戻った。
沢山のアーティストに多大な影響を与えたが、自分自身は65歳まで賞を貰えなかった。ようやく表彰されて彼が大粒の涙を流した場面にはこちらも号泣。感謝の気持ちがあるのなら、存命中になるべく早く形にして示すべし。〇んでからでは遅すぎる。
音楽ドキュメンタリーとして十分見ごたえあるが、彼と関係者の言葉が非常に示唆に富んでおり、中身の濃い講義を受けたような知的充足感を覚えた。
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