劇場公開日 2024年2月9日

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「2024年上半期ベスト10に入りそう。ぜひぜひ。」同感 時が交差する初恋 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.02024年上半期ベスト10に入りそう。ぜひぜひ。

2024年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年69本目(合計1,161本目/今月(2024年2月度)22本目)。
(ひとつ前の作品「劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血」、次の作品(明日予定)「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」)

 大阪市では韓国映画といえばシネマートと相場があるのですが、1週間ずれの上映にもかかわらず9割埋まりというのが印象的でした。

 映画の趣旨としては韓国のアマチュア無線を媒体とする恋愛もの。実は映画で示される2つの年は皆既月食が見られた年で、アマチュア無線では月面反射技術という概念があります(映画内で月が出るのはこのことを指している)。

 2021年と1999年だったかの2軸でつながる映画ですが、特に1999年の描写については、日本ではいわゆる就職氷河期があった事情がありますが、アジア通貨危機に端を発する韓国の問題が日本にも波及してきた部分は多々あります。

 作内で「理系と工学の違い」や「工学部に女子が進学するなんて(男子の告白の)競争が激しくなるぞ」、またいわゆる高校→大学での「文転・理転」(高校時代に文系選択の子が大学入試で理系学部を選択するなど。逆も同じ)といった話題にも飛びますが、これはお隣韓国とはいえ日本でもほぼ同じ現象が見られます(私は理学部出身ですが、理工学部としてまとめる大学もある。また工学部は高専からの進学も見られる)。

 ※ 文転・理転は日韓共通ですが、当時(1999年)は日韓ともに就職氷河期で、少しでも職業選択で有利になるように「実技能力」が身につく工学部が好まれた時代は(日本でも韓国でも)存在します。

 映画内では明確に示されていませんが「初級アマチュア対策本」といった本があることは映画内で示されますので、日本のアマチュア無線(1~4級)に相当するような資格は多少差があっても実施されているようです(なお、日本と韓国は相互運用協定を結んでいるので、日韓のそれぞれの資格がもう一方で運用するときどの級みなしで運用できるか、が決まっています)。

 1999年といえば日本はもちろん韓国においても(工学部在籍という事情をみても)アマチュア無線という文化自体が廃れていた時期ですが(かつ、韓国では北朝鮮問題があるので、日本と比べると若干アマチュア無線に関する法規制が日本と異なる)、まったくないわけでもないですし、俗に「趣味の王様」と呼ばれるアマチュア無線を通じて生きる年代もちがう2人をおいかけていく映画としてはとても良かったです。

 シネマートで見ましたが、シネマートは時々、韓国映画にせよ映画の趣旨にあったイベントを開催する(例えば、大阪市での韓国料理専門店とコラボしてチキンだのをその場で売ったりレトルトでかえたりする)ことがありますが、本映画でそれはちょうど日本橋(東京の秋葉原に相当する電気街)とのコラボになりましょうが、日本ではもちろん「無資格者のアマチュア無線は禁止」なので、この点のコラボは(法律的に)しにくいです。

 採点にあたっては、やや「月面反射通信」といった高度な話題に飛ぶことについてその説明がないこと、また「日本で」見る分に関しては「アマチュア無線に関しては日本では資格が必要です」のひとこと(アマチュア無線を管轄するのは総務省)が欲しかったかなという気がしますが、2024年の日本でアマチュア無線を「これから」やってみようかという人は少ないか観念しづらいという「実際上の問題」まで加味して減点なしにしています。

yukispica