「論外」名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ) 何処かの誰かさんの映画レビュー(感想・評価)
論外
長年コナンを楽しませていただいており、映画も全作品を視聴しています。
正直自分はコナン映画に関しては懐古厨ですので意見が偏る場合があります。申し訳ありません。
個人的に感じた問題点を先に並べますと
1.ストーリーの主題が何なのかがわからない
2.全体的に無理矢理、ご都合的な展開が多すぎる
3.明らかに人気キャラクターの活躍で金を稼ごうとする魂胆が見えてしまう
4.ラストのネタバレ(ここが一番腹が立つ)
です。
さて、2021年〜2023年にかけてのコナンの映画は、アニメや原作を長年楽しんでいるファン向けな作品が多いような印象でした(特に2022年の「ハロウィンの花嫁」は実質アニメではスペシャルで放送していた「揺れる警視庁 1200万人の人質」の続編的な要素が強かったり、スピンオフコミックの警察学校編の要素が深く関わるなど、コアなファン向けな要素が多く見られました)。そのため、自分も3年連続で面白い映画を楽しめていたので、その点でも今作に期待をしていたのですが、実際は期待を大きく裏切るほどの酷さでした。
ここまでくると、ひどいという問題を通り越して理解不能・意味不明だと言いたくなりましたが、ここから自分が述べる見解(あくまで陰謀論に近い自論です)を思い立ってしまったことで、今作への評価が評価以前のレベルに感じられてしまったことが非常に残念です。
まず問題点1のストーリーの主軸がわからないという物ですが、映画comさんで他の方が書いている今作のレビューをいくつか見たの際に何人かの方があげていた「ストーリーがゴチャゴチャしている」というのが普通に悟られてしまう点が問題だと感じます。
結局この作品は「服部と和葉の恋愛」を描きたかったのか、それとも描きたいのは「怪盗キッドの活躍」なのか、はたまた「北海道のPR」なのか「お宝探し」なのか……そのどれもを描きたいと製作陣が感じたのかは存じませんが、1つの映画でその全部を混ぜて作ってしまったように感じるレベルになっていることで、そのどれもが中途半端に思えてしまうほどの完成度になっていたことが残念です。描きたいテーマを1つに絞っていれば、もう少し映画自体の面白さがわかるように思えるのが余計に勿体ない……。
次に問題点2の無理矢理さなのですが、映画後半に今までストーリーに介入していなった少年探偵団や阿笠博士が突如登場して本編における謎を解くための実験をするというシーンがあるのですが、それまでほとんど話題にも出ていなかった彼らがいきなり登場するという展開には正直「無理矢理だなあ」と感じてしまうぐらいに呆れてしまいました。そして博士がそのシーンで劇場版恒例のクイズをするというのも、そこまでして劇場版のルールを守る必要があるならば物語の最初から登場させとけよと思いますし、北海道が舞台ということで同地出身のゲスト声優として大泉洋さんが出演していますが、そのキャラクターのキャラ設定も流石に無理があるのではと感じてしまうぐらいに安定していない点も変だと感じてしまいます。
そして、ストーリーで重要なカギを握る「世界情勢を揺るがすほどの兵器」の正体が現代ではスマホで事足りる通信機だったというネタも「そのネタやるためだけにこんなストーリーなの?」と自分は感じてしまったように、流石に無茶だろと思うようなツッコミ所が多かった点には正直結構ドン引きしてしまいました(脚本構成はこれで許したの?って思えちゃうのが癪でした)。
先にも述べた通り、2021〜2023年の映画はストーリーもしっかりと完成されており、いつも通りの常人超えのアクションの多さと謎解き要素の少なさなどは感じましたが純粋に楽しめただけに今回ではそういったものがなかったのが本当に悔やまれます。
次の問題点3「明らかに人気キャラクターで金を稼ごうとする魂胆が見えてしまう」に関しましては完全に懐古厨の私怨ですので読まなくて結構です。まあ一応書きますと、昨今のコナン映画の問題点だと個人的に感じる、赤井や安室、怪盗キッドなどのファン人気が高いキャラクターを派手なアクションやクールなシーンで活躍させてファンを悩殺する商法が今回はずいぶん多かったなあと感じちゃったのが嫌でした。この点に関しましては、2021年の緋色の弾丸での赤井一家のアクションシーンや、2023年の黒鉄の魚影での赤井と安室の協力シーンなども流石に無理があるだろとは感じていましたのでその点を並べれば今作に限った話ではないのですが……。今作に関して特に不満に感じたのは、怪盗キッドの扱い方です。
問題点1で述べたように、今作は一体誰をメインとしているのかが不明瞭です。映画のメインキャラクターが怪盗キッドだとして、仮にそうであった割には服部が活躍するシーンがあったり紅葉たちがワイワイしているシーンがあったり、映画のオリジナルキャラクターがたくさん動くシーンがあるなど、メインキャラクターがキッドだけだと感じられる要素が少ないという点に、違和感を感じてしまうのが問題の一つでした。それなのに、映画の予告などで「怪盗キッドの真実が明らかに!!!」みたいに描かれているのも若干変だなと思ってしまいますが、それが「キッドをメインみたいにしたのは、問題点4で挙げるラストのネタバレのためで、それを見たいと思うファンを意図的に集めて金稼ぎをするための客寄せパンダ役だったのでは?」という良くないイメージを思い起こさせているようにしか感じられなかったのが古参ファンをナメてんのかと思う一番の理由なのです。実際、映画公開の数日後にキッドや服部のアクリルスタンドを持って函館に聖地巡礼するファンの姿がニュースで取り上げられていましたが、そういうニュースも興行収入を稼ぐためのマッチポンプに感じらてしまうのがなんとも言えない怒りになったのが残念すぎます。(実際、ここ数年で名探偵コナンという作品に関わるファン層の形質が変化しているようには感じていましたが、それって良いことなのかがわからないのでこればっかりはどうも言う筋合いはありませんが……)
はい、という感じで3つの問題点を挙げてきましたが、これだけならばただのつまらない映画だったねという感想で終わった自分のレビューを「論外」とまで言わせた1番の問題点である問題点4の話をこれからします。
ここからは完全にラストシーンのネタバレになりますので注意してください。
主題歌が終わったシーンにて。そこで工藤夫妻のシーンが流れるのですが、ここで散々予告でも引っ張ったキッドの衝撃の真実として、工藤優作が黒羽盗一の双子の弟であり、コナンとキッドが従兄弟同士であるということ、そして「まじっく快斗」にて消息不明とされていた黒羽盗一の生存が明らかとなります。
はい、ここで言いたいことが2つあります。正直このネタさえなければつまんねーだけで終わったものをこの2ネタのせいで映画終わってここまで胸糞悪くなるのかと思えるぐらいには腹が立ちました。
はい、まずキッドとコナンが従兄弟という点なのですが、赤井と灰原で全く!全く同じネタやっといてそれやるか!!!!????と言いたいんですよ。映画の前半にて怪盗キッドの素顔を見た服部が新一に似ているという話が出ており、その時点でまあ少し嫌な予感はしましたがまんまとやりやがった!!!正気か!!??としか思えない。青山剛昌先生は、自分の作品のキャラクターの顔が似ているという描き癖を従兄弟にしなきゃ気が済まないのか!!!!!それだったら今度は蘭と青子も従兄弟か!!どんだけ近親恋愛させたいんじゃ!!!血の閉鎖を意図的に引き起こすとか頭の中にハプスブルク家でも飼っているのか!!??つうかその理論で言えばあだち充の描くキャラはみんな親戚じゃねえか!!!!
という気持ちになりました。長年漫画を描き続けると頭おかしくなってしまうのだろうか。
そしてもう一つツッコみたい部分の、黒羽盗一が生きていたという点なのですが……。
まじっく快斗でやってくれよそのネタさあ!!!!!な〜んでコナンでそんな重大な事実を明らかにすんの!!??もう青山先生の作品は全部同じ世界線で良いのか!?だったらコナンの世界には魔法が存在してんだな!!最近は京極さんや蘭姉ちゃんたちみたいにYAIBAレベルで人間辞めてる奴ばっかだもんな!!!ただでさえ最近青山先生の作品が最近一つの世界線になりつつあんのに……!!何十年もグダグダ引っ張って終わる気配を一切見せないコナンの連載が長引きすぎてすごいイライラしている所に、1987年から2024年まで未完で止まったままだったまじっく快斗のネタはもうコナン本編で改修させる気なんだ〜!!!!ふーん!!!!いや意味わかんないよ………!!!!!!そんなに世界線一緒にしたいなら紅子の魔法ネタもちゃんと取り上げてよね!!!!白馬が追ってる殺し屋のネタとかもコナンで回収すれば!!
ってなわけです。
とりあえず要点をまとめると今回の映画は「青山先生が全ての作品を一つに統一させるためのPR動画」でしかなく、長年まじっく快斗や名探偵コナンを好きだと言っている人間を完全に舐め腐っている映画以前の劇物だったということしかわかりませんでした。