「青山作品への理解度が相当必要なうえに情報量の多い映画」名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ) MTさんの映画レビュー(感想・評価)
青山作品への理解度が相当必要なうえに情報量の多い映画
私は楽しめましたが、非常に人を選ぶ映画だと思います。
まず「名探偵コナン」をはじめ「まじっく快斗」、「YAIBA」など青山作品の基本知識が絶対的に必要な映画。特にコナンに関する知識はアニメ・原作をきちんと追ってそれなりに記憶していることが必須条件で、これらの理解度が足りないと何を言ってるのかすらわからないレベルだと思います。
そしてテンポが速く、情報量が多い。他作品からのクロスオーバー登場が多いうえに、敵の組織も複数あり関係性が複雑なので理解するのがかなり難しく、相当のストーリー読解力が必要です。
そして映画自体も2時間弱あるので、タイパ至上主義の現代人にとってはかなり長い時間拘束されることになります。
最後に人間離れ&科学離れアクションも満載なので、これも受け取り手によるかと思います。
これらの難関を潜り抜ければかなり楽しめるのではないでしょうか。
ごく普通の一般人が完璧な犯罪計画を実行し、銃を放ち、爆弾を使用するなどのそれはないだろっていう設定はなく、あくまで敵組織もマフィアのような悪の組織という設定なので、ある程度の傭兵がそろっていて対決に苦労するというのは納得できる設定でした。
コナンが捜査から締め出されたり、現場からつまみ出されたるたびにその都度潜入して…という回りくどい描写が無いのもよかったです。ハロウィンの花嫁をはじめ近年こういった締め出し描写が少ないのですが、コナンの行動自由度が上がるとテンポが良くなり必然的に映画が面白くなる気がします。
導入からクライマックス並のアクションシーン&新一とキッドが似ているという疑問がもたらされ、それが明かされるのではという期待が高揚感を高めてくれるため、その流れで映画に入っていければかなり楽しめますね、
結果、怪盗キッド&工藤新一に関する重大情報、黒羽盗一に関する重大情報なども公開されたのでこれだけでも相当ムネアツな映画です。ただし喜べるのはファンだけです。
マイナスポイントもあります。
①やはりキャラクター数が多すぎます。
これはもっと絞った方がよかったなと思います。コナンに加えて平次とキッドが主役になります。敵組織も複雑です。そこに特に必要のないYAIBA関連のキャラまで出ると人物が多すぎてただただ視聴難易度が上がります。また、大岡紅葉もストーリーには関わってきて何度かギャグ要員的にインサートされますが、正直に言うと他キャラで代用可能で必要はないです。平次が和葉に告白する展開があるので必然的に出ないとおかしくなってしまいますから、この下り自体を今回は無しにしてもよかったんだと思います。結果的に二人の関係性は何も変わりませんし、どうせ原作でじっくりやるだろうなと思っていたのでただのブラフになっていました。それでいてストーリー的には結構圧迫していたので削ってもいいんじゃないかなと思ってしまいました。(青山先生曰くコナンは殺人ラブコメ漫画らしいので必要なんでしょうけど苦笑)
②ストーリーがご都合主義なところがあります。
福城家という一般宅に保管されている刀がどう考えても一番警備が手薄なのに、服部たちが取りに行くまで無事なのが都合が良すぎます。殺人に使われた刀の鞘から福城聖の指紋が検出された?とかで(誤認)逮捕されます。しかし、警察は前科のない人間の指紋など持っていませんので、例え証拠品に指紋が残っていても警察が人物を特定することは不可能だと思います。といった具合にストーリーの穴も多かった気がします。
③物理法則離れが激しすぎます。
セスナ機の上で剣を交えるシーンがありますが、さすがに人間離れどころか物理法則離れ、科学離れの域に達しているのであれはやりすぎだと思いました。人間離れ程度なら慣れっこなのでいいですけど。ヘリの低空飛行やスタングレネードをばら撒くなどとてもヒーロー側の人間とは思えない悪行を繰り返すのもさすがにやりすぎでしたね。苦笑
ということを思いつつもエンタメとしては楽しめる映画でした。青山作品・コナンが好きなら★5、コナンをよく知らない人は★1という極端な評価になりそうな映画です。気分的には★5ですが、上記の通りマイナスポイントも多かったので★4にします。