「家康が語る『安寧の世』に耳を傾けよ」もしも徳川家康が総理大臣になったら bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
家康が語る『安寧の世』に耳を傾けよ
時は2020年。日本史の教科書で誰もが知る偉人達が、AI技術でこの世に再生され、コロナウイルスによって崩壊した内閣を立て直すという、斬新な設定の作品。番宣や予告編で観る限り、おふざけ痛快なコメディーと思っていたが、コロナ禍に大ヒットしたビジネス書を原作としているだけあり、おふざけだけではなく、現代の政治家を含めた、日本人一人一人の心に訴えるインパクトあるメッセージを残してくれた。
その内閣布陣と言うのが、大政の世を築いた徳川家康をトップの総理大臣として、官房長官には、新たな日本の夜明けを目指した坂本龍馬、財務大臣には初めて天下を統一した豊臣秀吉、経済産業大臣には、カリスマ武将の織田信長、その他には文科大臣には紫式部、農水大臣には徳川吉宗、総務大臣は北条政子、外交大臣は足利義満、法務大臣は聖徳太子、そして厚労大臣には徳川綱吉と、私達が知るそれぞれの偉人のイメージと特徴、能力をよく捉えた組閣となっている。
前半は、各偉人のキャラとリンクした能力を発揮した、面白可笑しい斬新な政(まつりごと)の展開が続く。『国家農場計画』『令和版・楽市楽座』『ワクチンの売り込み』等の政策は、コロナ禍で生産力と外交力において思うように舵が取れなくなった日本にとっては、有益な政策として国民からの指示も急上昇。しかし、そうした政の裏には、ある一人の偉人が、時を経た現代においても抱く野望と企みを潜めていた。それによって、本内閣においても謀反や裏切りが横行し、次第に内閣を裏で糸を引く黒幕の影も浮かび上がってくるミステリーの要素も加味している。
そして、クライマックスの徳川家康の演説へと結びつくのだが、それは、本当の意味で現代の日本人が見直し、振り返り、こらから行動に移さなければならない、安寧の世を願った家康だからこその、心に響くメッセージだった。こんなシーンでラストを迎えるとは全く予想外で、いい意味で裏切られた結末だった。
また、配役もなかなか豪華。家康には野村萬斎、秀吉は竹中直人、信長はGACTO、龍馬は赤楚衛二、北条政子に江口紀子、紫式部に観月ありさ、吉宗は高嶋政伸等。これらのベテラン俳優の中に入って、偉人内閣と深く関わっていくキーマンの女性記者として、浜辺美波が主演を張って見劣りしないのも、女優としての大きな成長を感じる。それぞれの出番を上手に配分した、武内英樹監督の演出の巧さを感じた。
トミーさん(^^)コメントありがとうございます😊
秀吉の言い分は、傲慢で野望のためにあると思いましたが、今の世の中に対しては、一理あるとも思ったのも確かです
しかし、家康の演説は、本当に胸を打つ内容でしたし、日本国民へのメッセージでしたね。
共感ありがとうございます。
秀吉の野望は、理想達成と言うよりとにかくトップに立ちたい! 無邪気な感じが悪くなかったです。強制終了だとバッジが壊れ、任期完了だと昇天みたいになるプログラミングなんスかね?